漁師「見たことのない魚が取れた」→水族館「これは...!?」 茨城で〝捕獲記録のない魚〟見つかる

2025年9月末、茨城の海で1匹の魚が定置網にかかった。

それを見た漁業関係者は、こう言ったという。

「見たことのない魚が捕れた」

いったい、どんな魚が見つかったというのか。

  ソトイワシ(画像提供:アクアワールド茨城県大洗水族館)

10月20日、茨城県の太平洋岸・大洗町の「アクアワールド茨城県大洗水族館」は公式Xアカウント(@aw_oarai)でこう呟いている。

「『見たことのない魚が捕れた』と日立市の漁業関係者の方よりご連絡を受け、急いで駆けつけたものの、経験豊富な飼育員もその場では種を判断できず、水族館へ戻り確認したところ...なんと茨城県での捕獲記録のない『ソトイワシ』でした」

投稿の続きによると、ソトイワシは主に九州の南部や南西諸島などに生息する魚だ。「本州で捕獲されるケースはとても珍しい」という。

それが、茨城で......。

水族館からの報告には8000件を超える「いいね」のほか、こんな声が寄せられている。

「なんか古代魚みたいでかわいい」
「ニゴイ感あるな」
「このウグイにしか見えない顔......ボーンフィッシュ(※編注:ソトイワシの英名)!」
「ウグイとニゴイ足して割る2したような見た目だなぁ」
「茨城沖にボーンフィッシュ!?」
「九州で捕れる魚が茨城県沖で捕れる...」
「この前大船渡でもボーンフィッシュが水揚げされてたし、そりゃ茨城にもいるよな〜」
「魚の生息域が北上してるってコト...?」
「本当に海が温かくなっちゃってるんだな」
「で、味は? と思ってしまう辺りが日本人」

水族館好き、釣りマニアなどを中心に、Xユーザーはすっかり盛り上がっているようだ。

いったいこの「ソトイワシ」は、どんな状況で捕獲された、どんな魚なのか?

「アクアワールド茨城県大洗水族館」に詳しい話を聞いてみよう。

海の環境、考えるきっかけに

ソトイワシ(画像提供:アクアワールド茨城県大洗水族館、再掲)

Jタウンネットの取材に応じたアクアワールド茨城県大洗水族館・経営企画課の担当者は、「ソトイワシ」が捕れた時の状況を、こう話す。

「このソトイワシは2025 年9 月30 日に日立市会瀬町の定置網漁で混獲されました。水揚げの際、水面近くに浮いてくる魚種であれば、状態良く捕獲できるのですが、このソトイワシは船に荷揚げするときまで気付かれることがなかったとのことで、傷が多くなっていました」
「珍しい魚が獲れると連絡をくれる漁師の方から『見たことがない魚が獲れた』とLINEで写真と一緒に報告をいただき、漁港に引き取りに向かったところ、傷は多かったのですが、思ったよりも元気だったため、水族館に持ち帰り、治療を始めました。治療の甲斐があり、搬入後4 日程度で餌に反応するまで回復しました」(「アクアワールド茨城県大洗水族館」担当者)
 ソトイワシ(画像提供:アクアワールド茨城県大洗水族館)

ソトイワシは名前に「イワシ」と付くが、我々が「イワシ」と呼ぶマイワシやカタクチイワシとは全く違うグループの魚だ。

稚魚期には透明な柳の葉のような形をした時期(レプトセファルス期)があり、これに似た生態を持つウツボやウナギなどに近いグループであることが、遺伝子の解析からも判明しているそう。

大きな鱗を持ち白銀に輝く魚体は、「ウナギ」はもちろん「イワシ」にもまるで似ず、顔つきなどはむしろ淡水魚の「ニゴイ」に似ている。

ソトイワシ(画像提供:アクアワールド茨城県大洗水族館)

沖縄県や鹿児島県などマングローブの海に棲むソトイワシが、茨城沖に出現した理由は?担当者に尋ねたところ、次のように答えた。

「正直なところ分かりません。海水温の高水温化や黒潮の流れなどの影響は否定はできませんが、捕獲されたのはこの個体1個体のみですので判断しかねるところです」
「なぜ南にいた魚が茨城の海まで来てしまったのか、海の環境など色々と考えてもらうきっかけとしてもらえると嬉しいです」(「アクアワールド茨城県大洗水族館」担当者)

また、「関東周辺ではなかなか見ることのできない珍しい魚なので、ぜひこの機会にご来館いただき実際に見ていただきたいと思います」ともコメントした。

Xにも、「見に行くか」「見に行かないと」「見に行きたい」という声が殺到している。

右に同じ、という方はアクアワールド茨城県大洗水族館3階・出会いの海ゾーンの「大洗の生物1」水槽の前に行かれたし。

配信元: Jタウンネット