調理をする上で一番重要なのは“必然性”
小竹:今日は大澤さんにビリヤニを作っていただけるということですが、どういったビリヤニでしょうか?
大澤さん(以下、敬称略):僕のレシピ本に載っているメニューなのですが、きのこのビリヤニ2人前です。材料が、バスマティライス150g、きのこは種類をミックスしたほうがおいしいので、椎茸、エリンギ、舞茸、平茸、タモギ茸を使います。
小竹:タモギ茸は初めて見ました。
大澤:タモギ茸は“出汁きのこ”と言われていて、これさえ入れればおいしくなっちゃう。レシピがいいのかきのこがおいしいのかわからなくなるので、あまり触れたくないのですが、タモギ茸は最高です(笑)。最近はスーパーでも売っているので、見かけたらぜひ買ってみてください。
小竹:きのこは複数種類あるほうがおいしいですよね。
大澤:そうですね。食感も香りもうま味も重ね合わせたほうがおいしいので、複数種類のきのこを合計で200gカットです。あと、ニンニク2かけ、生姜1かけ、無糖のプレーンヨーグルト。『ナチュレ恵』がおすすめです。日本でビリヤニを作る最大のメリットが『ナチュレ恵』です。
小竹:そこまでですか?
大澤:ありとあらゆるヨーグルトを買ってきて食べ比べたのですが、『ナチュレ恵』にしかないうま味がある。無脂肪はなくて赤いほうを80gですね。あと、醤油大さじ1、バターが50g、できれば発酵バターのほうがより香りが良くなります。
小竹:あとは、スパイスですね。
大澤:ビリヤニマサラ小さじ1.5、チリパウダー小さじ1、辛味が苦手な方はパプリカに置き換えるなどしてください。ただ、辛い唐辛子ほど香りがいいので、パプリカだとビリヤニマサラの味が全く変わってきちゃうんです。
小竹:色味はつくけどという感じ?
大澤:そうですね。別の香りがあるのですが、ほしい香りとはちょっと違う。だから、キムチを食べられる人であれば、チリパウダーを入れていいかなと。アンビカという大手のインド系スパイスショップがあって、そこのチリパウダーのスタンダードがおすすめです。あと、ブラックペッパーが3粒。これは粗めに砕いて最後に仕上げでかけます。
小竹:すごくシンプルですね。
大澤:僕が調理をする上で一番重要だと考えているのは必然性です。必然性がないレシピや必然性がない料理がすごく嫌なんです。だから、レシピも“最小構成で最大のおいしさ”というのを常に意識しています。
味のムラを楽しむのもビリヤニの特徴
小竹:では調理のほう、よろしくお願いします。
大澤:まず米は最低30分、できれば1時間以上浸水してください。冷蔵庫で浸水すると1~2日経っても大丈夫なので、24時間いつでもビリヤニが食べたい人は冷蔵庫で浸水をしておく。米を浸水さえしておけば、このレシピは20分かからないです。
小竹:そんなに早くできるのですね。
大澤:フライパンでバターを温めて、ニンニク、ショウガを入れて炒め、香りを移した後にスパイスを加えます。次に、スパイスの香りをバターに移します。最初にバターで炒めてあげたほうが粉っぽさが消えます。
小竹:なるほど。
大澤:次にきのこを投入します。もうバターソテーでいいのではないか説もありますが、これも必然性が大事で、超えるものができないのなら、ビリヤニは作らずにバターソテーでいい。きのこのビリヤニはバターソテーを超えないと、ビリヤニとしてのアイデンティティが吹き飛んでしまう。
小竹:大澤さんの探究心が燃えますね。
大澤:そうですね。でも、おいしくなるに決まっています。バターときのこの相性は最高ですし、バターにバスマティライスもおいしい。バスマティライスは油分と相性がいいので、バターを乗せて塩をパラパラしたらそれだけですごくおいしい。そこにきのこと醤油まで登場するのだから、おいしいのは約束されています。
小竹:聞いているだけで幸せな気持ちになってきました。
大澤:ここで、お米を茹でるためのお湯を塩を入れて沸かします。お米の茹で時間は5分。茹で湯の量はお米の5倍必要です。お米を入れたらかき混ぜて、素早く再沸騰させる。これはそうめんと同じですね。お湯をしっかり沸かして入れて素早く再沸騰させてかき混ぜる感じです。
小竹:うんうん。
大澤:今、ソテーしたきのこに醤油を入れました。醤油の香ばしさをちょっと出したら、ヨーグルトを投入して完成です。あとは、お米を5分茹でて、茹で上がったらざるにあげて上に乗せて炊いていきます。
小竹:5分経ちましたが、次はどうしますか?
大澤:仕上げに潰したこしょうをパラパラと上にかけます。そうしたら、5分茹でたお米をざるにあげてお湯を切って、アルミホイルで蓋をします。
小竹:例えば、厚鍋でやるときにはアルミホイルをかけなくてもいい?
大澤:アルミホイルは絶対にかけたほうがいいです。ビリヤニを炊くには鍋の中を100度にする必要があるんです。加熱しなかったらビリヤニには絶対に炊けないし、加熱も100度にならないとおいしく炊けないです。
小竹:アルミホイルをかけて10分くらい炊くらしいですが、開ける目安があるそうですね。
大澤:アルミホイルの横から蒸気が出てきたら炊き上がっています。炊けているのか、温まった直後なのかは、蒸気の香りを嗅ぐとわかります。簡単に言うと、おいしい香りがしたらOK(笑)。今もあからさまにおいしい香りがするじゃないですか。ビリヤニは香りの料理なので、食べる前からいい香りがするんです。
小竹:では、炊き上がったので蓋を開けていきましょう。ガシガシと混ぜず、混ざっているところと混ざっていないところがあるのがいいのですよね?
大澤:そうですね。ビリヤニは液体ではないので、場所によって全く味が違う。そのムラを楽しむのもビリヤニの特徴ですね。
小竹:お米と具材のバランスや比率などはありますか?
大澤:お肉の場合、お肉10の米6が一番適量だと思います。5対3ですね。野菜とかになるとちょっと縮みますので、それに合わせて量を変えていく形ですね。

