
介護の現場では、利用者さん同士や職員との密な接触が避けられないため、感染症のリスクと常に隣り合わせ。
中でも厄介なのが疥癬(かいせん)。
一人でも感染者が出ると、施設全体に広がる可能性があるため、迅速かつ適切な対応が求められます。
今回は、僕が実際に体験した疥癬発生時の現場対応と、そこから見えてきた感染対策の課題、そして再発防止に向けた工夫を共有します。
現場で働く介護職の方々にとって、役立つ内容になれば幸いです。
疥癬とは?

疥癬(かいせん)とは、ヒゼンダニというダニが皮膚に寄生して起こる感染症です。
主な症状は強いかゆみと発疹で、特に夜間にかゆみが増すのが特徴。
介護施設では、利用者同士や職員との接触が頻繁にあるため、感染が広がりやすい環境にあります。
疥癬には通常型とノルウェー型(角化型)があり、特にノルウェー型は感染力が非常に強く、早期発見と隔離が重要です。
介護施設での疥癬の感染経路

介護施設では、利用者同士の距離が近く、介助の際に身体接触するため、疥癬が広がりやすいです。
特に、入浴や排泄介助、着替えなどの場面では、感染のリスクが高まります。
ここでは、主な感染経路を紹介します。
直接接触による感染
疥癬の主な感染経路は、ヒゼンダニが寄生した皮膚との「直接接触」です。
通常型疥癬は長時間の肌と肌の接触が必要とされますが、介護職員が皮膚の発疹部位に触れることで感染するリスクがあります。
リネン・衣類を介した間接感染
ノルウェー型疥癬(角化型)は、皮膚の角質が大量にはがれ落ちるため、シーツや衣類、車椅子のクッションなどを介した「間接的な接触」でも感染が拡大します。
感染者が使用した物品の適切な消毒・交換が重要です。
発見の遅れによる集団感染
高齢者はかゆみの訴えが少なかったり、そもそも訴えることができない方もいます。
そのため、発見が遅れ、他の利用者や職員に広がってから初めて感染が判明するケースもあります。

