疥癬発生時の対応

疥癬は、早期発見と適切な対応が感染拡大を防ぐカギです。
特に介護施設では、利用者や職員が密に接するため、感染対策を迅速に徹底する必要があります。
ここでは、疥癬が発生した際に現場で実践すべきポイントを紹介します。
ケアの仕方
発疹部位には素手で触れず、使い捨て手袋やガウンを着用してケアを行います。
介助後は必ず手指衛生を徹底し、物品や車椅子など利用者の接触面も都度消毒することが重要です。
また、感染者は可能な限り個室対応や専用の物品を使うようにします。
入浴の頻度
入浴介助は感染者専用の浴室・時間帯を設定し、他の利用者と分けます。
頻度は、皮膚科医の指示に従って調整し、入浴前後の衣類やタオルはすべて交換します。
入浴後には床や浴槽などをしっかり清掃・消毒し、二次感染を防ぎます。
衣類・リネンの処理
感染者が使用した衣類や寝具は、他の利用者のものと分けて処理し、60℃以上の熱湯消毒や高温乾燥機を活用します。
交換頻度も増やし、使い回しを避けることで、間接的な感染拡大を抑えられます。
当施設で起きた感染対策の課題を共有

普段あまり皮膚トラブルのない利用者さんが、数名立て続けに「かゆみ」や「掻き壊し」の症状を訴えたことがきっかけで、医師の診察を受けました。
その結果、1名がノルウェー疥癬、もう1名が通常疥癬と診断されました。
初期対応
ノルウェー疥癬の方は感染力が非常に強いため、すぐに個室隔離とし、ケアにあたる職員はガウン・手袋を着用。
通常疥癬の方はカーテン隔離とし、同様に防護具を徹底しました。
罹患者のケア
入浴は毎日行い、使用後の浴室はすぐに消毒。
衣類や寝具は50℃以上の高温で洗濯し、他の利用者と分けて管理しました。
疥癬対応の課題
今回の疥癬は、職員を介して感染が拡大していたことが後に判明しました。
2名の職員に指の間や手首の湿疹が見られ、受診の結果、疥癬と診断されました。
ケアごと手袋の交換や手指消毒が不十分だったことが一因と考えられます。
この経験から、「1ケアごとに手袋を交換」「手洗いとアルコール消毒の徹底」の重要性を職員全体で再確認しました。

