母親の何気ない一言が「娘の一生」決める 母娘関係を深める“言葉術”

母親の何気ない一言が「娘の一生」決める 母娘関係を深める“言葉術”


母子関係を深めるコツとは?

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 母娘関係について書かれた育児書は山ほどありますが、歯科医・心理カウンセラーとして活動する松谷英子さんの著書「母と娘の関係を変える魔法の言葉術」(WAVE出版)のように、「言葉」という一点に絞って深く掘り下げた作品は珍しいでしょう。

 松谷さんは米国の経営コンサルタントのスティーブン・R・コヴィーさんが執筆した「7つの習慣」の「まず理解に徹し、そして理解される」という教えを冒頭に引用しながら、母親が娘に掛ける日々の言葉の重要性を、自身の体験を通して訴えかけています。

理想と現実のギャップを率直に描く

 本書の最大の魅力は、著者の松谷さんが「完璧な母親」の仮面を脱ぎ捨てて、生身の感情をさらけ出している点です。「早く起きて!」「なんでまだ宿題やってないの?」「どうしてうそをつくの!ママは信じていたのに!」といった感情的な言葉を子どもにぶつけてしまった過去を、「今思い出しても恥ずかしい」と振り返ります。

 こうした率直さが読者の心をつかみます。なぜなら、多くの母親が心の奥で感じている罪悪感や自己嫌悪を、著者が代弁してくれているからです。

 特に興味深いのは、夫との子育て観の違いに対する複雑な感情の描写です。冷静に見守る夫に対して「これ、腹立ちません?同じ親なのに」と読者に問い掛ける部分は、多くの母親が共感するでしょう。しかし同時に、夫の「一度決めたことなら、あとは口出ししてはいけない」という言葉を「カチンと来ました。でも、正論でした。悔しいけれど」と受け止める素直さも見せています。

言葉の創造力への気付き

 本書の転換点となるのは、娘から受け取った「ママが育てると人も動物も、みんなから愛されてかわいい性格になるね!」という言葉の場面です。松谷さんはこれを「心の底からうれしい言葉であり、娘からの最大のギフト」と表現します。

 この何気ない一言が、松谷さんに言葉の持つ創造力を気付かせます。「言葉とは『文化』そのもの。言葉が未来を創っていく」という洞察は、本書の核心部分でもあります。

 ただし松谷さんは、愛犬の性格の良さについて「私の育て方というより天性のものだと思う(笑)」と付け加えることを忘れません。この謙虚さと現実感覚が、本書を単なる自画自賛に終わらせない重要な要素となっています。

 松谷さんは母親の言葉を「種」、娘の心を「畑」に例えます。「『あなたは優しい子ね』と言えば優しさの種が、『あなたはダメな子』と言えば自己否定の種がまかれる。そして娘は、その種から育った木の実を一生食べ続けることになる」という表現は印象的です。

 この比喩の秀逸さは、言葉の影響が瞬間的なものではなく、長期的に人格形成に関わることを視覚的に理解させる点にあります。多くの母親が「そう言われてみれば」と納得するのではないでしょうか。

配信元: オトナンサー

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