「脳梗塞の前兆」についてよくある質問
ここまで脳梗塞の前兆となる症状・予防法などを紹介しました。ここでは「脳梗塞の前兆」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。
女性の脳梗塞の前兆となる症状にはどんな特徴がありますか?
丸山 潤(医師)
女性特有の前兆症状はありませんが、洗濯物を干す時に腕があげにくい、お化粧するために鏡を見たところ、顔の左右差が目立つといった場面で脳梗塞の前兆に気づく可能性があります。
脳梗塞の前兆となる症状にめまいや頭痛はありますか?
丸山 潤(医師)
あります。めまいと頭痛は、どちらも脳梗塞の前兆に起こる典型的な症状です。脳梗塞を起こした場所が脳幹や小脳の場合、めまいを起こします。めまいと共に体の半分がまひを起こす、言葉がうまく喋れない、言われても理解できないなど言語障害を併発することが多いので、そのような時はすぐに脳梗塞と判断できるでしょう。しかし、めまいしか自覚症状がないこともあります。今までに経験したことがないようなめまいを自覚した場合は、すぐに脳神経内科、脳神経外科を受診しましょう。
肩こりは脳梗塞の前兆となる症状に含まれますか?
丸山 潤(医師)
含まれます。肩こりはありふれた症状ですが、脳梗塞を起こすきっかけになることがあります。
首の動脈が裂ける「椎骨動脈解離(ついこつどうみゃくかいり)」という病気では、肩こりや頭痛が起こることがあります。特に「急に首を動かした後に肩こりが起き、治らない」場合は注意が必要です。
放置すると、脳梗塞を引き起こす可能性が高い前兆症状です。しつこい肩こりが治らず整形外科に行ったら専門機関で精密検査を受けるよう指示され、MRIで椎骨動脈解離が見つかることがあります。
肩こりがなかなか改善しない時は、一度は整形外科を受診することをおすすめします。肩こりだけでなく脳梗塞を疑う他の症状もあるような場合は、すぐに脳神経内科、脳神経外科を受診しましょう。
編集部まとめ
脳梗塞は111万人以上(2017年時点)の患者がいる、決して珍しくない病気です。特に40代からリスクが上がり、60~64歳では男性約4万人、女性約3.1万人の方が発症しています。年間約12万人の方が亡くなり、65歳以上の寝たきりの最大の原因になります。
脳梗塞は早期治療で後遺症リスクを大きく下げることができます。特に、4.5時間以内なら血栓を溶かす薬で脳細胞の死滅を防げる可能性があります。しかし、4.5時間以内なら遅くてもよいわけではなく、処置は早ければ早いほど回復の可能性が上がります。
脳梗塞らしき前兆が出たら「顔のゆがみ、腕は上がるか、喋れるか・言葉を理解できるか」を確認し、家でも職場でも、道端でも、その場ですぐに救急車を呼びましょう。

