糖尿病になったら気を付けること

糖尿病になったら食事はどうすればよいですか?
糖尿病患者さんにおける食事療法は、治療の基盤となる重要な要素です。適正なエネルギー量を、栄養バランスを整えて規則正しく摂取することが推奨されます。
栄養素の摂取比率は全体のエネルギー摂取量のうち、50〜60%を炭水化物で摂取し、タンパク質を20%以下、残りを脂質とするのが目安です。個々の食習慣を尊重し、柔軟に対応することが必要です。
食事以外に気を付けるべき生活習慣を教えてください
食事療法と同様に、運動療法も糖尿病治療の根幹をなす要素です。適切な運動習慣の維持により、インスリン抵抗性の改善、エネルギー消費量の増加による血糖コントロールの改善、高血圧症・脂質異常症・内臓脂肪型肥満などの心血管病リスク因子の是正を目指します。
安全上の注意としては運動療法を始める前には、未治療の糖尿病網膜症、虚血性心疾患、末梢動脈疾患などがないか事前評価が重要です。これらの疾患がある場合は、治療して安定した後に運動療法が許可されます。
糖尿病と診断されたらお酒やタバコは止めた方がよいですか?
禁煙の遵守は、生活の質(QOL)の維持と寿命の確保に大きく貢献するとされています。したがって、糖尿病と診断された場合、タバコは止めるべきです。喫煙は糖尿病の合併症リスクをさらに高める可能性があります。アルコール摂取については、大量飲酒例がビグアナイド薬(メトホルミン)の禁忌に該当し、メトホルミンを飲んでいる方が大量飲酒を続けると、乳酸アシドーシスという重篤な副作用のリスクがあるため、細心の注意を払う必要があります。アルコールを完全に止めるべきとはされていませんが、一般的に糖尿病患者さんにおいては、節度ある飲酒が求められます。特にメトホルミンを服用している場合は、飲酒量について医師に相談し、指示に従うことが重要です。
編集部まとめ

糖尿病はインスリンの作用不足に基づく慢性の高血糖を主徴とする代謝疾患群です。現在の医学では完治は難しいものの、適切な治療によってQOLを維持し、合併症を予防・管理することで、糖尿病ではない方と変わらない寿命を確保することを目指します。
治療の基盤は、年齢や病態に合わせた食事療法と運動療法による生活習慣の改善です。それでも血糖コントロールが不十分な場合には、個々の病態や合併症、生活スタイルに合わせた薬物療法が選択されます。
また、食事や運動は薬物療法との関連性を考慮し、偏った食事や自己判断による極端な制限、特定の薬剤服用中の過度な運動は低血糖を招くおそれがあるため、主治医に相談しながら進めましょう。
参考文献
日本糖尿病学会(編・著):糖尿病治療ガイド 2024,文光堂,2024
一般社団法人日本糖尿病学会『健康食スタートブック』

