「乳がんの部分切除」はご存じですか?身体の変化も医師が解説!

「乳がんの部分切除」はご存じですか?身体の変化も医師が解説!

乳がん治療の基本は手術によるがんの切除です。乳房の手術には、がんのある部分だけを切除する乳房部分切除術と、乳房全体を切除する乳房切除術(全摘)があります。本記事では、乳がんの部分切除術に焦点を当て、その種類や適応となるケース、併用される治療法、全摘手術との生存率の違い、術後の身体の変化などを解説します。

武田 美貴

監修医師:
武田 美貴(医師)

平成6年札幌医科大学を卒業し、札幌医科大学放射線科に入局。画像診断専門医となり、読影業務に従事。その後、新たな進路を模索するため、老年医療や訪問医療、リハビリテーションなどを学ぶ。現在は、一周回って画像診断で母校に恩返しをする傍ら、医療事故の裁判では、患者に寄り添う代理人を、画像診断と医学知識の両面でサポートすることをライフワークとしている。

乳がんの部分切除術とは

乳がんの部分切除術とは

乳房部分切除術は、乳房の一部分のみを取り除く手術方法です。乳房部分切除術には切除範囲や切開法の違いによっていくつかの術式があります。本章ではそれら乳房部分切除術について解説します。

乳房扇状部分切除術

かつて多く行われていたのが乳房扇状部分切除術です。がんのある部分を含め、乳房の約4分の1を扇形に切除する方法で、特にがんが乳頭方向に広がっていると考えられる場合に選択されます。場合によっては皮膚も含め広範囲を切除するため、術後に乳房の変形が大きく、整容性の面ではデメリットがありました。現在では画像診断の発達により必要以上に広範囲を切除しなくても病変を把握できるため、扇状切除よりも小さな範囲で済む術式が増えています。

乳房円状部分切除術

近年主流となっているのが乳房円状部分切除術です。しこりが小さく、かつ乳房内での広がりも限られている場合に行われる手術法で、がん病変の周囲1~2cm程度の正常組織を含めて丸く切除します。扇状切除に比べて切除範囲を狭く抑えられるため、術後の乳房変形も少なく、傷跡も小さくできます。特に腫瘍が皮膚直下まで達していない場合は、皮膚表面の切開位置を工夫することで傷跡を目立ちにくくすることも可能です。

腫瘤摘出術

腫瘤摘出術とは、乳房の中の腫瘍そのものと、その周囲のごく限られた組織だけを切除する方法です。一般的な乳房部分切除よりもさらに切除範囲が小さい術式といえます。ただし、切除断端にがんが残らないよう安全域を確保する点では円状部分切除と本質的に同じであり、通常は腫瘍周囲に1~2cmの正常組織を含めて切除する点は共通しています。

乳がんの部分切除が選択されるケース

乳がんの部分切除が選択されるケース

乳房部分切除術が選択されるにはいくつかの条件があります。一般的に、以下のようなケースで部分切除が適応となります。

腫瘍の大きさが小さい場合

腫瘍が単発である場合

患者さんが術後の放射線治療を受けられること

患者さん自身の希望

以上の条件を満たす場合、主治医と相談のうえで乳房部分切除術が検討されます。

配信元: Medical DOC

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