「乳がんの部分切除」はご存じですか?身体の変化も医師が解説!

「乳がんの部分切除」はご存じですか?身体の変化も医師が解説!

乳がんの部分切除と組み合わせる治療法

乳がんの部分切除と組み合わせる治療法

乳房部分切除術単独では、乳房内にわずかに残ったかもしれないがん細胞から局所再発する可能性があります。そのため現在では、部分切除術後に追加治療を行うのが標準的です。代表的なのが薬物療法(抗がん剤やホルモン剤など)と放射線療法の組み合わせです。これらを適切に併用することで、全摘手術と同等の再発防止効果と生存率が期待できます。

薬物療法

乳房部分切除術と薬物療法の組み合わせには大きく二通りあります。1つは術前薬物療法(ネオアジュバント療法)、もう1つは術後薬物療法(アジュバント療法)です。

術前薬物療法

手術前に抗がん剤やホルモン療法剤を投与し、腫瘍を小さくすることを目的とします。

術後薬物療法

手術で切除しきれなかった可能性のある微小ながんや、全身に散らばっているかもしれない見えない転移を抑える目的で行います。ホルモン受容体陽性乳がんであればホルモン療法、HER2陽性であれば分子標的薬を追加することがあります。

放射線療法

乳房部分切除術を行った後は放射線療法が原則として必要になります。これは手術で乳房の一部を残す以上、残存乳房内に微小ながん細胞が潜んでいる可能性がゼロではないためです。このように放射線療法を加えることにより、温存乳房内再発が約3分の1に減ることが明らかになっています。さらに、温存した乳房内の再発を防ぐことにより、生存率も向上させることが示されています。

乳がんの部分切除術と乳房切除術の生存率

乳がんの部分切除術と乳房切除術の生存率

乳房を残す部分切除術と乳房をすべて取る乳房切除術では生存率に差があるのでしょうか。結論からいえば、早期乳がんにおいて部分切除および放射線療法を行った場合と、全摘術を行った場合で、長期生存率に有意差はないことが明らかになっています。そのため、生存率の観点からは、適応があればどちらの選択肢も選択することができます。

配信元: Medical DOC

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