「乳がんの部分切除」はご存じですか?身体の変化も医師が解説!

「乳がんの部分切除」はご存じですか?身体の変化も医師が解説!

乳がんの部分切除後の身体の変化

乳がんの部分切除後の身体の変化

乳房部分切除術は乳房を温存できる反面、術後に残る乳房の状態や全身への影響について不安に思われる方もいます。ここでは術後の乳房の様子と身体全体の変化について解説します。

乳房の様子

部分切除術では全摘に比べ傷口が小さくて済みます。切開の場所にもよりますが、円状部分切除の場合は乳輪の周囲など目立ちにくい位置に傷を配置できることがあります。扇状部分切除術では乳房を扇形に切開するため、乳房表面に放射状の傷跡が残ることがありますが、円状切除では傷跡も小さく目立ちにくいとされています。とはいえ、手術である以上多少の乳房の左右差やへこみは避けられません。特に腫瘍が大きかった場合は、温存しても乳房の減少による凹みや形のいびつさが出ることがあります。

身体の変化

乳房部分切除術自体は乳房の一部摘出に留まるため、身体機能への影響は全摘よりも小さいです。例えば、術後の痛みは全摘に比べ軽く、手術創も小さいため回復も早くなります。腕の可動域についても、乳房温存手術単独であれば大きな制限は生じにくいです。ただし、多くの場合は乳房手術と同時にセンチネルリンパ節生検が行われます。それ自体は大きな負担ではありませんが、一時的に腋窩部のつっぱり感や腕の軽いしびれが起こることがあります。

乳がんの部分切除についてよくある質問

本章では、乳がん部分切除術を受ける患者さんやご家族から寄せられるよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

乳がんの部分切除をした場合、がんが再発する可能性は高くなりますか?

乳房部分切除術単独では、乳房内にわずかに残ったかもしれないがん細胞から局所再発する可能性があります。そのため、部分切除術後に追加治療を行います。しかし、万一乳房内に再発しても、その時点で乳房切除や追加治療を行えば対応可能です。

乳房の傷跡が目立ちにくい部分切除術を教えてください。

一般的には乳房円状部分切除術の方が傷跡は目立ちにくくなります。円状切除では腫瘍を中心に丸くくり抜く形で切開するため、場合によっては乳輪の縁など目立ちにくい場所に切開線を置ける利点があります。一方、かつて多く行われた扇状部分切除術では乳房の表面に扇形の切開が入るため、乳房に放射状の傷跡が残りやすく、乳房の変形も大きくなることがあります。現在は術前画像でがんの広がりを精密に把握し、必要以上に広範囲を取らない工夫がなされています。その結果、円状部分切除術が適用できる症例が増え、傷跡も小さくできるようになっています。

早期に発見しても部分切除ができないケースもありますか?

はい、早期乳がんであっても部分切除が適さない場合はあります。例えば非浸潤がんの場合、一見すれば早期なので温存できそうですが、乳管内にがん細胞が広範囲に広がっているケースでは乳房全体を切除しないと取り残しリスクが高くなります。このため、広範な乳管内がんでは、ステージ0でも全摘がすすめられることがあります。また、腫瘍が同一乳房に多発している場合、早期でも温存は困難です。また、妊娠初期に発見された場合など、術後に放射線治療が受けられない状況では温存は安全上できません。このように、「早期は必ず温存できる」わけではなく、がんの分布や患者さんの状況次第では早期でも全摘術が最善となることもあります。


配信元: Medical DOC

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