「シェーングレン症候群」を発症したら日常生活でどんなことに注意した方がいい?

「シェーングレン症候群」を発症したら日常生活でどんなことに注意した方がいい?

目や口腔内の乾きが続き、「もしかしてシェーグレン症候群かも…」と不安を感じていませんか?この病気は自己免疫疾患の一つで、慢性的な症状が日常生活に影響を与えることもあります。どのように日常生活を送ればよいのか、寿命への影響はあるのか、不安を抱える方も多いのではないでしょうか。

本記事では以下の点を中心にご紹介します。

シェーグレン症候群の検査・治療・注意点

シェーグレン症候群の寿命への影響について理解するためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。

※この記事はメディカルドックにて『「シェーングレン症候群」を発症すると「寿命」にどれくらい影響がある?症状・原因も解説!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

中路 幸之助

監修医師:
中路 幸之助(医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター)

1991年兵庫医科大学卒業。医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター所属。米国内科学会上席会員 日本内科学会総合内科専門医。日本消化器内視鏡学会学術評議員・指導医・専門医。日本消化器病学会本部評議員・指導医・専門医。

シェーグレン症候群の検査・治療・注意点

シェーグレン症候群の検査・治療・注意点

シェーグレン症候群ではどのような検査が行われますか?

シェーグレン症候群の診断では、乾燥症状の評価に加えて、免疫異常や臓器障害の有無を確認するため、さまざまな検査が行われます。

・血液検査
抗SS-A抗体や抗SS-B抗体などの自己抗体の有無を確認し、免疫異常の可能性を調べます。必要に応じて甲状腺機能や腎機能も評価します。

・涙の分泌量検査(シルマー検査)
目尻に専用のろ紙を挟み、5分間でどれだけ濡れるかを測定します。涙の量が少ないとドライアイの診断につながります。

・唾液の分泌量検査(サクソンテスト)
ガーゼを2分間噛み、吸収された唾液の量を測定します。2g以下であれば唾液分泌低下と判断されます。

・生検(唾液腺や涙腺の組織検査)
唾液腺などから小さな組織を採取し、リンパ球の浸潤があるかを顕微鏡で調べます。

・画像検査・その他の検査
必要に応じて、レントゲンやCT、尿検査、心電図などを行い、ほかの膠原病や臓器の合併症の有無を確認します。

シェーグレン症候群の治療について詳しく教えてください

シェーグレン症候群の治療は、根本的な治癒を目指すのではなく、症状を和らげる対症療法が中心です。症状の種類や重症度に応じて、次のような治療が行われます。

・ドライアイへの対応
人工涙液やヒアルロン酸の点眼薬で乾燥を緩和します。涙の分泌を促す点眼薬の使用や、涙の排出を抑える涙点プラグの挿入も検討されます。

・ドライマウスへの対応
ガムや酸味のある食品で唾液分泌を促し、人工唾液を使って乾燥を補います。漢方薬が用いられることもあります。また、服用中の薬剤の見直しも重要です。

・全身症状への対応
関節痛や皮疹には非ステロイド性抗炎症薬やステロイド薬が使用され、臓器に炎症が及んでいる場合には免疫抑制薬、生物学的製剤、血漿交換療法が行われることもあります。

患者さん一人ひとりの状態に応じて、適切な治療法が選ばれます。

シェーグレン症候群の患者さんが日常生活を送るうえでの注意点はありますか?

シェーグレン症候群の患者さんが日常生活を送る際には、乾燥症状の軽減と全身の健康管理を意識することが大切です。

ドライアイやドライマウスへの対策として、加湿器の使用やマスクの着用、こまめなうがいや人工唾液の活用がすすめられます。口腔内の衛生を保つためには、食後の歯磨きやうがいを徹底し、甘いものや刺激物を控えることも重要です。

また、レイノー現象がある方は指先の保温と保湿を心がけ、冷水の使用を避けるとよいでしょう。加えて、規則正しい生活、十分な睡眠、バランスの取れた食事、適度な運動を日々継続することが、免疫バランスを保つうえでも有効とされています。
ストレスを避け、体調の変化に気付けるよう、定期的に医療機関での診察や検査を受けることも欠かせません。

最後に、読者へメッセージをお願いします。

シェーグレン症候群は、適切な対応と体調管理を行うことで、日常生活を大きな支障なく過ごすことができます。
乾燥症状や全身の体調変化に気を配りながら、定期的な通院や検査を続けることが、ご自身の健康を守るうえで大切です。不安を抱えすぎず、医師と相談しながらご自身のペースで向き合っていきましょう。

編集部まとめ

編集部まとめ

ここまでシェーグレン症候群の寿命への影響についてお伝えしてきました。要点をまとめると以下のとおりです。

シェーグレン症候群は免疫異常により唾液腺や涙腺が炎症を起こし、口腔内や目の乾燥などさまざまな症状を引き起こす自己免疫疾患である

シェーグレン症候群はドライアイやドライマウスをはじめ、関節痛や皮膚症状、全身の倦怠感などの症状が現れる自己免疫疾患である

シェーグレン症候群は乾燥症状の検査と対症療法が中心で、生活管理や定期的な診察が安定した日常を支える鍵となる

シェーグレン症候群と診断されると、不安を感じる方も多いかもしれません。
しかし、適切な治療とセルフケアを続けることで、日常生活を大きく損なうことなく過ごすことができるとされています。
大切なのは、症状を我慢せず、医師と相談しながらご自身に合ったケアを続けていくことです。

この記事が、少しでも前向きな一歩を踏み出すきっかけとなれば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

参考文献

シェーグレン症候群(指定難病53)|難病情報センター

シェーグレン症候群(Sjögren’s syndrome: SS)|慶応義塾大学病院

配信元: Medical DOC

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