これは私が20代のころに同棲していた彼とのお話です。交際を始めた当初の彼は、携帯電話を無造作に置き、通知が鳴っても気に留めない人でした。ところが1年が経ったころ、彼は携帯電話を手放さなくなったのです。まるで誰かに見られてはいけないことがあるかのように……。そんなある日の深夜のこと……。


深夜に目を覚ますと…彼がいない
ある日の深夜、ふと目が覚めると、隣で寝ているはずの彼の姿が見当たりません。
リビングにもトイレにもおらず、不思議に思いながら窓の外を覗くと、駐車場にはいつも通り彼の車が停まっていました。けれどよく目を凝らして見ると、車内からはぼんやりと光が漏れていたのです。
動揺する彼
私は息をひそめたまま、しばらく車を見つめていました。そして「まさか」とは思いつつ、そっと外に出て、ゆっくりと車へ近づいて……。
車内には、誰かととても楽しそうに電話をしている彼の姿が。数分ほど、遠くから車内の様子を見ていましたが、彼が車から出てくる気配はありません。
そこで私は意を決して車に近づき、窓をノックしました。すると、彼は慌てた様子で携帯電話をしまい、ひと言。「……何してんの!?」と。
後ろめたいことをしているのはバレバレでしたが、彼の様子には私はあえて何も言わず、そのまま寝室へ戻りました。

