緑内障は、進行すると失明に至るリスクがある恐ろしい疾患です。自覚症状が少ないため、気づかないうちに進行してしまうケースが多く、早期発見・早期治療が視力を守る鍵となります。本記事では、失明のリスクを防ぐためにできる対策などについて、「入間すずき眼科」の鈴木先生に解説してもらいました。

監修医師:
鈴木 貴英(入間すずき眼科)
新潟大学医学部卒業。順天堂大学医学部附属練馬病院や順天堂大学医学部附属順天堂医院、東京都立東部地域病院などで経験を積む。令和6年に「入間すずき眼科」を開院、院長となる。日本眼科学会認定眼科専門医。
編集部
失明しないためにはどうしたら良いのでしょうか?
鈴木先生
早期発見が大事なので、眼科での定期検診が最も効果的です。特に40歳を超えると発症リスクが大幅に増加するため、たとえ自覚症状がなくても、40歳以降は少なくとも年に1回は検診を受けることをおすすめします。また、ご家族に緑内障の方がいらっしゃる場合、強い近視のある場合などは、とくに意識して検診を受けるようにしましょう。
編集部
ほかに、失明を回避する対策はありますか?
鈴木先生
早期に発見できた後も注意が必要です。緑内障の治療は「完治させる」のではなく、「進行を遅らせる」「出来るだけ現状を維持する」のが目的ですので、治療を開始したからといって、何かが改善するわけではありません。治療の効果がわかりにくいため、患者さんの中には途中で治療を辞めてしまう方もいますが、治療を辞めると緑内障はまた進行してしまいます。緑内障の診断を受けたら、とにかく治療を続けることが大事です。
編集部
ずっと治療を続けなければならないのですね。
鈴木先生
特に、比較的若いうちから発症したケースは注意が必要です。緑内障の進行スピードには個人差がありますが、単純に考えると早期に発症する緑内障の方が、発症してからの経過が長くなるため、失明に至る確率は高いのです。せっかく発見できたのですから、効果がわかりにくくても、治療はきちんと継続しましょう。
編集部
具体的にはどのような治療があるのですか?
鈴木先生
眼圧を下げるための点眼薬があります。まずは1剤から開始し、進行を認める場合は2〜3剤を併用することになります。それでも進行を抑えられない場合、以前は手術が選択されていたのですが、最近は緑内障レーザー治療(SLT)などの比較的侵襲の少ない方法も出てきています。
編集部
最後に、MedicalDOC読者へのメッセージがあればお願いします。
鈴木先生
緑内障は一度発症すると視野障害が戻ることはなく、進行すると失明のリスクもある疾患ですが、早期に発見して治療を続ければ、失明を回避することは十分可能です。早期に発見するために、40歳を過ぎたら定期的に眼科で検診や緑内障の検査を受けるように心掛けましょう。特に強い近視がある方や家族に緑内障を患った方がいる場合は、積極的に検査を受けることが大切です。
※この記事はMedical DOCにて<「緑内障」による失明のリスクと対策を眼科医が解説 症状に気づいたときには末期!?>と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。
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