「不妊治療を始めたいけれど、どこから手をつければ良いかわからない」。そんな悩みを抱えている方は少なくないようです。不妊治療は、個人の体質や年齢に応じて進め方が異なり、どの医療機関で、どの治療を選ぶかが成功への大きなポイントとなります。本記事では、不妊治療に踏み出す際の基本ステップを、放生先生の具体的なアドバイスとともに解説します。

監修医師:
放生 勲(こまえクリニック)
昭和62年弘前大学医学部卒業。都内の病院にて2年間の内科研修修了。ドイツ政府国費留学生としてフライブルク大学病院およびマックス=プランク免疫学研究所留学。東京医科歯科大学難治疾患研究所を経て、「こまえクリニック」を開院。自らの不妊治療の患者体験から院内に「不妊ルーム」を開設し、1万組近いカップルの不妊相談に応じている。医学博士。
編集部
「不妊症」とはどのような状態を指すのでしょうか?
放生先生
不妊症とは、医学的な治療を必要とする状態を指します。以前は「結婚後2年間妊娠しない場合」を不妊症と定義していましたが、女性の結婚年齢の高齢化に伴い、現在は期間を問わず「妊娠が難しいと感じた段階」でアクションをおこすことが望ましいと思います。不妊と不妊症の違いも重要です。不妊は単に妊娠できない状態を指しますが、不妊症はその原因を医学的に診断し、治療が必要な場合を指します。この違いを理解することで、適切な治療への第一歩を踏み出すことができます。
編集部
不妊の原因にはどのようなものがあるのでしょうか?
放生先生
不妊の原因は、女性側が4割強、男性側が4割弱、そして夫婦双方に原因がある場合や原因が特定できない「機能性不妊」が約2割とされています。女性の場合、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)や子宮内膜症が代表的な疾患です。特に子宮内膜症は、不妊女性の約3分の1に影響を及ぼし、早期の発見と治療が必要です。男性の場合、精子の数や運動率の低下が主な原因であり、性機能障害が妊娠の妨げになることもあります。不妊は男女双方の問題であるため、夫婦で一緒に取り組むことが望ましいです。
編集部
医療機関を受診するタイミングについて教えてください。
放生先生
妊娠しにくいと感じたら、できるだけ早めにアクションを起こすことが重要です。不妊症には目立った痛みや症状がないため、判断が遅れることがありますが、女性の年齢は妊娠率に直結するため、早期の対応が推奨されます。不妊治療をおこなうと決めたなら重要なのは「どの医療機関を選ぶか」です。不妊治療の実績が豊富で適切な検査や治療法を提供できる医療機関を選ぶことが、治療の成功につながります。
※この記事はMedical DOCにて<不妊治療は何から始めるべき? 初心者が知っておきたい基本ステップを医師が解説>と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。
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