冬の時期に流行する代表的な感染症としてインフルエンザと新型コロナウイルス感染症があります。どちらも発熱や咳、倦怠感といった症状が出るため、「自分はどちらにかかったのだろう」と迷う方も少なくありません。特にいずれも流行している時期は、症状だけで正確に見分けるのは難しいのが実情です。
この記事では、インフルエンザと新型コロナウイルス感染症の症状の違いや見分け方、受診の目安を解説します。

監修医師:
居倉 宏樹(医師)
は呼吸器内科、アレルギー、感染症、一般内科。日本呼吸器学会 呼吸器専門医、日本内科学会認定内科医、日本内科学会 総合内科専門医・指導医、肺がんCT検診認定医師。
【インフルエンザとコロナ】症状の違い

インフルエンザの症状を教えてください
インフルエンザの代表的な症状は下記のとおりです。
38〜39度あるいはそれ以上の高熱
強い全身のだるさ
頭痛
筋肉や関節の痛み
咳や喉の痛み
鼻水
発熱と同時か、少し遅れて咳や喉の痛み、鼻水などの呼吸器症状も現れます。
発症から1週間程度で治癒することが多いですが、65歳以上の高齢の方、糖尿病や心臓病、呼吸器疾患、腎疾患などの基礎疾患を持っている方、妊婦さんや乳幼児は肺炎やインフルエンザ脳症といった重い合併症を引き起こすことがあります。
参照:
『インフルエンザ施設内感染予防の手引き』(厚生労働省)
『Signs and Symptoms of Flu』(CDC)
新型コロナウイルス感染症の症状を教えてください
新型コロナウイルス感染症で、多くみられる症状は下記のとおりです。
発熱
咳
喉の痛み
倦怠感
また、味覚障害や嗅覚障害が現れることもあります。
さらに、症状の現れ方に幅があり、軽い風邪のような症状で済むこともあれば、肺炎や呼吸不全にまで進行することもあります。
インフルエンザと新型コロナウイルス感染症の違いを教えてください
インフルエンザと新型コロナウイルス感染症は、いずれも呼吸器の感染症ですが、原因となるウイルスが異なります。
インフルエンザはインフルエンザウイルスによって起こり、新型コロナウイルス感染症は2019年に確認された新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)によって発症します。新型コロナウイルス感染症はインフルエンザよりも感染性が持続する期間が長いため、周囲に広がる可能性が高いと考えられています。
潜伏期間や経過にも違いがあります。インフルエンザは感染から1〜3日で発症し、1週間程度で治癒することが多い傾向です。一方で、新型コロナウイルス感染症は1〜7日(中央値2〜3日)の潜伏期間を経て発症し、多くは発症から5~10日以内に軽快しますが、最大で14日ほど急性の症状が持続する場合もあります。
また、インフルエンザは回復すれば後遺症は残りにくいのに対し、新型コロナウイルス感染症では倦怠感や息切れなどが長期間続く後遺症が問題となる点も違いです。
参照:
『Symptoms of COVID-19』(CDC)
『新型コロナウイルス感染症の罹患後症状(いわゆる後遺症)に関するQ&A』(厚生労働省)
『新型コロナウイルス感染症診療の手引き第10.1版』(厚生労働省)
インフルエンザとコロナを見分ける方法

インフルエンザとコロナを症状だけで見分けることはできますか?
症状だけでインフルエンザと新型コロナウイルス感染症を正確に見分けるのは困難です。どちらも発熱、咳、喉の痛み、倦怠感など共通した症状があります。そのため、流行期にはどちらに感染したのかを自己判断で見分けにくいのが実情です。
ただし、違いがまったくないわけではありません。インフルエンザは発症が急で、朝は元気でも夕方には高熱と関節痛で動けなくなることがあります。一方、新型コロナウイルス感染症はのどの違和感や咳から始まって熱が出る場合があります。また、味覚や嗅覚の異常、息苦しさが強く認められるのは新型コロナウイルス感染症の特徴です。
それでも、これらの症状には個人差があるため、最終的な判断は医療機関で検査を行う必要があります。
薬局などでインフルエンザやコロナの検査キットは販売されていますか?
現在、薬局やインターネットで一般の方向けに抗原検査キットが販売されています。種類は インフルエンザ専用、新型コロナウイルス感染症専用、さらに両方を同時に調べられるタイプがあり、いずれも厚生労働省の承認を受けた体外診断用医薬品が存在します。これらは検査の精度や有効性が評価されており、信頼性の高い検査方法とされています。
一方で、市販されている製品のなかには研究用と表示された承認外のキットもあります。これらは検査の正確性が保証されていないため、パッケージに体外診断用医薬品と明記されているかを確認してから購入しましょう。
市販のコロナ検査キットの精度を教えてください
厚生労働省の承認を受けた抗原検査キットの精度は、発症から数日以内に使用すれば、感染している方を正しく陽性と判定できる確率が70〜80%程度とされています。PCR検査と比べると確率は少し劣りますが、結果が短時間でわかる利点があります。
ただし、発症初期や無症状の段階ではウイルス量が少なく、検出できずに陰性と出ることがあります。つまり、検査結果が陰性でも感染を完全に否定することはできません。
そのため、強い症状がある場合や感染の可能性が高い場合は、医療機関でPCR検査や抗原定量検査を受けることが推奨されます。
参照:『新型コロナウイルス抗原検査の有用性・注意点,活用方法について―ワクチン・検査パッケージの導入時期を迎えてー』(厚生労働省)

