「梅毒の初期症状」はご存知ですか?男女別の症状を解説!【医師監修】

「梅毒の初期症状」はご存知ですか?男女別の症状を解説!【医師監修】

梅毒は性感染症の一つで予防や治療が可能な病気です。

梅毒には特徴的な初期症状があり、早期に受診することが治癒と感染拡大防止に重要です。

この記事では、梅毒の初期症状などを詳しく解説します。

※この記事はメディカルドックにて『「梅毒の初期症状」はご存知ですか?男女別に解説!【医師監修】』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

本多 洋介

監修医師:
本多 洋介(Myクリニック本多内科医院)

群馬大学医学部卒業。その後、伊勢崎市民病院、群馬県立心臓血管センター、済生会横浜市東部病院で循環器内科医として経験を積む。現在は「Myクリニック本多内科医院」院長。日本内科学会総合内科専門医、日本循環器学会専門医、日本心血管インターベンション治療学会専門医。

梅毒の初期症状

落ち込む女性

男性の梅毒初期症状を教えてください。

梅毒は1期から4期まで長い期間をかけて進行します。初期の症状が出現するのが1期です。初期に早期発見し、早期治療することが自身とパートナーを守ることにつながります。梅毒の侵入した部位にしこりや潰瘍ができることが初期の症状です。具体的に注意して観察すべき部位は性器やお口のなか、肛門周囲が挙げられます。梅毒の男性の初期症状は、平均的に感染から3週間後に現れます。以下のような症状が特徴的です。

初期硬結:感染した部位に軟骨のような硬さのしこりができる

硬性下疳:進行して潰瘍が形成される

リンパ節の腫れ:感染部位近く(鼠蹊部)のリンパ節が腫れる

初期硬結が生じる具体的な部位は亀頭や陰茎が多く、同性間でのアナルセックスがあった場合は肛門周囲にも生じます。直径は3mmから3cm程度で、痛みやかゆみなどの症状はほとんど認められません。硬性下疳はしこりが進行すると潰瘍が形成され、この潰瘍も痛みやかゆみなどの症状はほとんど伴わないため気付かれにくいことに注意が必要です。リンパ節が腫れる原因は、異物を排除しようと免疫反応が活発化し、免疫細胞が集まることでリンパ節の腫脹を引き起こします。これらの症状は治療しない場合でも数週間で自然に消失しますが、体内では感染が進行しているため、早期の正確な診断と治療が重要になります。

女性の梅毒初期症状を教えてください。

女性の梅毒の初期症状は男性と似ていますがいくつか特有の点があります。初期硬結や硬性下疳の生じる場所です。

大陰唇

小陰唇

膣内

梅毒の初期症状である発疹などの皮膚症状は、出現したり消失したりを繰り返すことが特徴です。そのため、治ったと誤解し、進行してから感染が判明することもあります。また、痛みや違和感を伴わないことも症状や感染の自覚が乏しくなる原因です。女性器の方が、病変部を確認しづらいという報告もあります。リンパ節の腫れや口腔内や唇の病変は男性と同様です。

症状がまったく出ないこともありますか?

梅毒は症状がまったく出ないこともあります。これは、特に潜伏梅毒と呼ばれる状態です。潜伏梅毒とは血清反応が陽性であっても無症候性で、かつ中枢神経浸潤のない状態を指します。また、感染成立後1年以内であれば早期潜伏梅毒、1年以上経過していれば後期潜伏梅毒と区別可能です。特に、早期潜伏梅毒では性交渉での感染リスクが高く、一方で後期潜伏梅毒ではやや感染リスクは低くなります。身体的な症状が一切見られないものの、体内には梅毒トレポネーマが存在しており、経胎盤感染は起こりえるため注意が必要です。

梅毒と口内炎の見分け方を教えてください。

梅毒と口内炎は、どちらもお口の中にできる病変です。しかし原因や特徴が異なります。梅毒の特徴には次のようなものがあります。

原因:主に性的接触による梅毒トレポネーマの感染

病変の特徴:硬く痛みのないしこりや潰瘍

色:赤みのある境界明瞭の潰瘍

痛み:ほとんど痛みを感じない

治癒までの期間:数週間で自然に消失するが感染は進行する

その他の症状:発疹やリンパ節の腫脹、発熱などの全身症状

次に口内炎の特徴をみてみましょう。

原因:噛み傷や火傷などの物理的刺激とストレスや栄養不足などの内因性要因

病変の特徴:やわらかい円形や楕円形の潰瘍

色:中央が白く周囲が赤い

治癒までの期間:1〜2週間で自然治癒

その他の症状:全身症状はなし

痛み:接触や刺激物により強い痛みが生じる

梅毒は放置すると進行する病気のため、口内炎と見分け、疑わしい場合は早めの受診が重要です。

編集部まとめ

医師

梅毒は、梅毒トレポネーマによる感染症の一つです。感染経路は主に性行為による接触感染で、感染後約3週間の潜伏期間を経て、症状が出現します。

潜伏期間は長い期間で90日間との報告もあり、個人差があるため注意が必要です。初期の症状は痛みを伴わないしこりや潰瘍で、放置しても自然に消失します。

梅毒は進行すると神経梅毒と呼ばれる状態になり、中枢神経が侵されて重症化する可能性があります。治療後も定期的な検査が推奨され、治療中には性行為を控えることが望ましいです。

参考文献

梅毒に関するQ&A|厚生労働省

梅毒 Syphilis|東京都感染症情報センター

梅毒診療ガイド

配信元: Medical DOC

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