疲れやすい、やる気が出ない、イライラする…そんな経験はありませんか?もしかしたら、それは適応障害の症状の現れかもしれません。適応障害は、仕事や人間関係などのストレスによって心身に不調が現れる病気です。
本記事では適応障害の症状についてご紹介します。
※この記事はメディカルドックにて『「適応障害を疑う症状」はご存知ですか?適応障害の人がとる行動も解説!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修医師:
大迫 鑑顕(医師)
千葉大学医学部卒業 。千葉大学医学部附属病院精神神経科、袖ヶ浦さつき台病院心療内科・精神科、総合病院国保旭中央病院神経精神科、国際医療福祉大学医学部精神医学教室、成田病院精神科助教、千葉大学大学院医学研究院精神医学教室特任助教(兼任)、Bellvitge University Hospital(Barcelona, Spain)。主な研究領域は 精神医学(摂食障害、せん妄)。
適応障害の症状

心理的(情緒的)症状について教えてください
適応障害における心理的(情緒的)症状は、不安や抑うつ、無気力といった感情面での変化が特徴的です。これらの症状が強く現れると、思考力や集中力が低下し、日常生活での計画や仕事の遂行が難しくなります。また、悲壮感やイライラ、緊張感が高まり、混乱したり焦りを感じることも少なくありません。こうした情緒的な揺れが長期にわたると、物事に対する興味や関心を失い、意欲が低下してしまいます。
発症時の年齢が低い場合は、赤ちゃん返りのような幼児的な行動が現れることもあります。これらの症状は、社会生活に大きな影響を与える可能性があるため、早期の対処が必要です。
身体的症状ではどのような症状が現れますか?
適応障害の代表的な身体的症状には、全身のだるさや倦怠感、不眠、食欲不振、動悸や過呼吸などがあります。また、頭痛や肩こり、腹痛、めまい、さらには手の震えや発汗といった症状も見られます。身体的症状が持続すると、仕事や学校でのパフォーマンスが著しく低下し、普段の生活を送ることが難しくなります。不眠や憂うつ感が長期にわたる場合には、適応障害からうつ病に進行する可能性もあるため、早めの対応が求められます。
適応障害の問題行動を教えてください
適応障害の症状が進行すると、行動面にも普段とは異なる問題行動が現れることがあります。例えば、無断欠勤や遅刻、早退といった職場での規律違反、不登校など学校での問題行動が見られます。また、過剰な飲酒や暴食、無謀な運転、さらにはギャンブル中毒や喧嘩、器物損壊などのリスクの高い行動を取る場合もあります。これらの行動が続くと、職場や学校での立場が悪くなり、人間関係にもトラブルを引き起こす可能性があります。
こうした行動の変化に気付いた周囲の方々のサポートが、適応障害の早期発見や改善につながります。
編集部まとめ

ここまで適応障害の症状についてお伝えしてきました。適応障害における症状の要点をまとめると以下のとおりです。
・適応障害の心理的(情緒的)症状は、不安や抑うつ、無気力といった感情面での変化、身体的症状には全身のだるさや倦怠感、不眠、食欲不振など、行動面では無断欠勤や不登校などの症状が現れる
・適応障害の症状が現れる主な原因はストレスであり、個人を取り巻く環境や人間関係の変化が引き起こすストレスや、性格や感情の傾向がストレスへの反応に影響を与えている可能性が考えられる
・適応障害の症状が現れた際は、休養と環境調整を基本とし、カウンセリングや認知行動療法を通じてストレスへの対処法を学ぶことが重要である
適応障害は自覚しにくいものですが、適切なケアを行えば改善が見込める症状です。
過ごしやすい毎日を送るためにも、この記事がご参考になれば幸いです。最後までお読みいただき、ありがとうございました。
参考文献
適応障害 | e-ヘルスネット(厚生労働省)
適応障害|MSDマニュアル家庭版
日本における「適応障害」患者数の増加|J-STAGE

