
コミックの映像化や、小説のコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョン マンガ部」。今回は、『よいたん3歳、ときどき先輩。』や『しおさん1歳 令和ギャル爆誕の道のり』で知られるコミックエッセイスト・まぼさんが描く『勤労ロードショー 今日も財布がさみしくて』(KADOKAWA)をピックアップ。
まぼさんが5月11日にX(旧Twitter)で本作を投稿したところ、多くの「いいね」と反響コメントが寄せられた。本記事では、まぼさんにインタビューを行い、創作のきっかけや漫画を描く際のこだわりについて語ってもらった。
■育児をしながら仕事をする、ということ

コミックエッセイストのまぼさんの、高校生から現在までのお仕事遍歴が描かれた本作。
第一子出産後、幼いわが子を保育園に預け仕事に復帰していたまぼさん。改めて“働く”ことは自身の自己実現である、と感じていた。
しかし、保育園に入園して半年ほどは子どもの発熱で何度も仕事を休むことに。ある時、しばらくはクライアントワークではなく、事務職として働こうかな、と悩みを母親に打ち明けると、母は自身の経験から「死ぬ気で仕事に食らいついた」「一回降りたら二度とパスが回ってこなくなる世界もある」と言われる。
まぼさんは働いている母が好きだったことを思い出し、「お母さんをもっとうまく使いなさい!」という母に頼りながら、時には職場に子どもを連れていきながら、必死で仕事をつづけた。
そしてその後、第二子を出産。第一子の頃は頑張りすぎていたな、と感じ、自分の考え方が変わっていくものなんだな、としみじみ思うのだった。
『勤労ロードショー 今日も財布がさみしくて』を読んだ読者からは、「働くことの面白さ、厳しさ、選び選ばれることの怖さ、人と巡り合う面白さ、色々感じられる一冊でした」「周りの人に協力してもらいながら、きっとなんとかなるだろうと、希望をもらえた気がします」など、反響の声が多く寄せられている。
■作者・まぼさん「「こんなんでも、あんなんでも大丈夫だよ」と伝えられたら…」

――『勤労ロードショー 今日も財布がさみしくて』は、まぼさんのこれまで経験された様々なお仕事遍歴を描かれたコミックエッセイですが、これまでで一番印象に残っているお仕事は何ですか?
たびたび出てくる蕎麦屋でのバイトですね。あんなに適当な職場で、不思議な店長とともに働いた経験は後にも先にもあれだけです。
バイトを始めた当初はとにかく店長と同じ空間にいることが怖くて苦痛でしたが、気づけば警戒心も消え、店長に気を使わずあれこれ話せるようになってました。
本を読んでくださった方には「あんな人本当にいるの?」とよく聞かれますが、実話です。店長の実家に遊びに行ったこともあります笑
――本作を描いたうえで「こだわった点」あるいは「ここに注目してほしい!」というポイントがあればお教えください。
バイト遍歴を綴った漫画ではありますが、自分が今日にいたるまでの暮らしも描いているので、ガラケーがでてきたり、デート中にCD屋で視聴したり、mixiのようなSNSが出てきたり…当時の「なつかしい」をたくさん詰め込んでみました!
――まぼさんが育児をしながら仕事を続けるうえで、一番辛かったことはなんでしょうか?
漫画にも描いたのですが、どうにも避けられない子どの体調不良による仕事の調整です。
私が休めば誰かに皺寄せがいき、サポートしてくれた社員の大切な予定を潰してしまったかもしれない。と思いを馳せながら看病する時間もつらければ、「今日だけは看病でなく仕事しなければ…!」と、熱で苦しむ子どもを病児保育に預け仕事に向かったこともありますが、「本当にこれが私がしたかった仕事なのか?」と葛藤しながら一日過ごしたり…やはりいま思い出すだけでも胸が痛みます。
夫は会食や打ち合わせなどの仕事が多く、私はPCに向かって作業する時間が多い職種だったこともあり、急な体調不良に対し、どうしても私が仕事を調整する割合が高くなって、その度に夫と何度もぶつかりました。お互い仕事も子どもも愛しているだけなのに、体調不良で苦しむ我が子を押し付け合っているような感覚になり、それも精神的にしんどかったですね…
――『勤労ロードショー 今日も財布がさみしくて』に込めた想いや、伝えたい事をお聞かせください。
これまでたくさんのバイトを通して本当に変わった人たちに出会ってきましたし、過酷な思いもしてきました(特にデザイン事務所…)
特に蕎麦屋の店長は私が出会った中でも一番へんてこな人で、「こんな人でも商売もできるし、生きていけるんだ…」と不思議といつも勇気付けられておりました笑
いま「働く」の壁にぶつかって立ち止まっている方に、「こんなんでも、あんなんでも大丈夫だよ」と伝えられたら嬉しいです。
――最後に、読者やファンの方へメッセージをお願いします。
いつも漫画を読んでくださってありがとうございます!
コメントや引用RP、楽しく読ませていただいております。
この本を読んでくださった方によく「これ本当に実話?」と聞かれるのですが、実話です…笑

