
草なぎ剛主演のドラマ「終幕のロンド ―もう二度と、会えないあなたに―」(毎週月曜夜10:00-10:54、カンテレ・フジテレビ系/FOD・TVerにて配信)の第3話が10月27日(月)に放送される。この度、“樹”を演じる草なぎと、樹に生前整理を依頼するこはる役の風吹ジュンが対談した。
■遺品を通して家族や人生と向き合うヒューマンドラマ
本作は、妻を亡くし、幼い息子を男手一つで育てるシングルファーザーで、遺品整理人に鳥飼樹(草なぎ)が、遺品整理会社の仲間たちと共に、ときに孤独死した方の特殊清掃や遺品整理から、依頼主と直接向き合う生前整理まで、さまざまな事情を抱えた家族に寄り添っていく心温まるヒューマンドラマ。遺品に込められた故人の最期のメッセージを解き明かす人間ドラマの他、切ない大人の恋も描かれる。

■14年ぶりの共演に「本当にうれしい」
――映画「僕と妻の1778の物語」(2011年)以来の共演となりますが、今作でのお互いの印象はいかがですか?
草なぎ:相変わらずかわいらしくてすてきで優しい方なので、風吹さんと一緒にいるとすごく安心します。今回の作品は、風吹さん演じるこはるさんが第1話からとても重要な役割を担っているので、その役を全身全霊で演じている姿を間近で見ていると、やっぱりすごいなと思います。風吹さんの偉大さを感じますし、同じ役者として心からリスペクトしています。
風吹:そんなに褒められると、なんだか照れちゃう!私が草なぎさんと初めて共演したのは「降霊~KOUREI~」(2001年)という映画だったんですけど、当時20代後半で多忙を極めていた草なぎさんは、空き時間になぜか床で仮眠されていて(笑)、その姿を見た私は、思わず「ワンちゃんみたい…」とキュンとしてしまったんです。でも、いざ本番になるとまるで魂がスッと入ったように見事なお芝居をされて、「すごい!」と驚いたことを覚えています。
以来、大好きな役者さんとして陰ながらずっと成長を見守ってきて、実は今回も、最初にお話を頂いたときはタイミング的にお引き受けするのが難しいかなと思っていたんですけど、主演が草なぎさんと聞いて、「それは何としてもやらなきゃ!」と。久しぶりにご一緒できて、本当にうれしいです。
草なぎ:風吹さんに褒めていただいて光栄です。僕、大丈夫ですか?ちゃんと成長できてますか?(笑)
風吹:大丈夫、とってもすてきですよ。主人公の鳥飼樹さんは、激しい感情の起伏があるタイプではなく、草なぎさんもどこか淡々と演じているように見えるけど、不思議なことに見ていて全く飽きないの。物静かな感じすらする話し方なのに、その言葉は受け取る側の人間にメッセージとしてちゃんと届いている。そこが素晴らしいと思います。
草なぎ:僕も、今回の鳥飼樹はすごくおとなしい人物、過去の復讐シリーズに比べるとだいぶおとなしいテイストだなと思ったんです。でも、撮影が進んでいくうちに、実はこの作品はすごく大きなエネルギーを持っている力強い作品なんだなと気付いて。遺品整理と聞くとシリアスなイメージを抱く方が多いかもしれないけれど、演じている僕自身はむしろ1話ごとに感動を覚えています。毎回、遺品から亡くなった方の人生が見えてくるシーンがあるんですけど、そのシーンがすごく感動するんですよ。これはもう人間ドラマ。すごく重厚で大人のドラマだなと思っています。
風吹:本当にそうね。遺品整理=ただの終末ということではなく、“ロンド”というタイトルのごとく、この作品では亡くなった方の人生が温かく、丸く描かれていると思います。死生観をこんなに温かくとらえた作品は、今までなかったんじゃないかと思うくらい。それに、学ぶことも多いですよね。死生観はもちろん、人が亡くなったときのまわりの人の受け止め方まで、いろいろな情報を得ることができて、新しい意識が生まれるんじゃないかと思えるドラマです。

■ミニマリストを目指した過去も
――お二人は「娘の真琴(中村ゆり)に余命を伝えない」と決めたこはるの生き方に共感できますか?
風吹:こはるは愛に生きる人なので、会えばけんかばかりしてしまう娘でも、そこには母親としての愛情しかなくて、それが彼女の決意、ひいては“死に様”につながっているんだと思います。私にも娘がいるのでこはるに共感するところはあるし、愛する対象がいるからこそ最後まで人生をまっとうできるんじゃないかしら。
草なぎ:そうですね。自分がこの世に別れを告げる日が分かっていて、そこから逆算してどう生きるかを考えられるならいいんでしょうけど、人間そうはいかないもの。だからこそ、自分がやりたいことに対して素直に生きたいですよね。余命を宣告されたから焦って何かをするわけじゃなくて、普段どおりに最後まで生きられたらいいなと思います。そういう意味では、僕、生前整理はちょっとできそうにないかも。必要以上に部屋から物をなくすと、なんだか寂しくなりませんか?
風吹:ミニマリストになれるかっていうこと?私も仕事柄、特に衣装とかはなかなか捨てられないでいます。10年ごとに整理はしているけれど、それでも増えていくのはしょうがないかな。でも、生前整理っていい意味でクリエーティブな生活ができそうじゃない?
草なぎ:確かに、身動きはとりやすくなりそうですよね。でも実は僕、一度ミニマリストを目指してみようと試したことがあって。でも結局ダメだったんですけどね。やっぱり部屋に物があふれてるとストレスになるじゃないですか。きちんと整理した方が頭も整理されると思いますし。だから、1回全部なくしてみようと思って、家にあるものを次から次へと人にあげたんです。結果、そのときはすごくすがすがしい気持ちになったんですけど、しばらくしたら同じものがまた欲しくなっちゃって。「なんであれを手放したんだ!?」って結局同じものをまた買い直し。そのとき、僕にはミニマリストは向いてないなって悟りました(笑)。
風吹:ちょっと極端すぎたのかもしれないわね(笑)。
草なぎ:そうなんですよ。やっぱり何事もさじ加減は大事です。でも、遺品整理人という仕事に関しては、普段の僕と少し重なるなと思う部分があったんですよ。
風吹:どういうこと?
草なぎ:僕、ビンテージや古着が好きで、自分が持っている服のしわとかを見て、「この人は農作業をやってたんだな」「これはマッチをすった後だな」って分析するのが好きなんです。それが、遺品から亡くなった人の気持ちを汲みとる樹と似ているなと思って。
風吹:演じる前から自然と役作りができていたということね。素晴らしい!

■「大切な人との別れ」の考え方
――この作品では、たくさんの“別れ”が描かれていますが、大切な人との別れを乗り越えるために必要なものは?
風吹:大切な人が亡くなったときはもちろん悲しいけれど、悲しむよりもその人と過ごした時間を思い出すことで存在を感じる、そうやって乗り越えるしかないんじゃないかしら。肉体は離れても、その人の魂は自分のそばにいる――という考え方をするようにしています。
草なぎ:悲しみは消えるものではないし、何をしても癒えないかもしれないけれど、僕も風吹さんが言うように、肉体は離れても魂はつながってると思っています。誰もがいつかはこの世に別れを告げるし、それは順番にやってくるもの。もちろん、それだけでは到底割り切れないこともあるけれど、自分がその人を思い出すことで、生きていたことを感じるのが一番なんじゃないかな。極端な話、僕は人類の長い歴史で考えたら、自分の一生なんて点にすぎないと思っていて、でもその点が自分にとっては100%のものでかけがえのないもの。だからこそ、自分の人生をどう生きていくか、まっとうするかが大切だと思うんです。このドラマも、そういうところを描いていると思います。
風吹:自分が旅立つときに思うのは、やっぱり残していく人たちに何を与えられたか、見送ってくれる方たちには傷つかないでほしいし、幸せであってほしいと願うわけじゃないですか。そこが大事。命が燃え尽きる自分よりも、残された人たちが大事。悲しんだり惜しんだりすると思うけれど、「それだけじゃないないんだよ」ということを、こはるを通して伝えたいです。
草なぎ:こはるさんは、まさにそういうことをずっと考えている人ですもんね。
風吹:そう。彼女には愛しかないの。だからこそ、そこに樹をはじめ同じ思いの人が集まってきてくれるんだと思います。彼女は孤独に見えても、決して孤独じゃない。余命3カ月なのにこんなに明るくていいのかと、演じている私が不安を覚えるほど元気ですし(笑)。
草なぎ:でも、そこが逆にリアルなんじゃないですかね。こはるさんが元気に見えるからこそ、グッとくるシーンがいっぱいありますよ。
風吹:真琴と樹と3人のシーンも、いずれ訪れる別れの日を思うと確かに切ないんだけど、残された3カ月間を全力で生きることは、こはるにとってすごく幸せで…。そういうことを感じながら演じているし、理想の最期だと思いました。

■第3話あらすじ
ある日の朝、樹が朝食の準備をしていると、陸(永瀬矢紘)が浮かない表情で腹痛を訴える。学校か病院か、どちらへ行くか自分で決めるよう促す樹に、陸は渋々登校することを選ぶが、学校へ送り届けた樹は、いつになく小さな息子の背中に心配を募らせる。
一方、生前整理を始めた母・こはる(風吹ジュン)への違和感が拭えない真琴(中村ゆり)からその真意を問いただされるも、こはるに口止めされているため本当のことを言えない樹。しかし、真琴がこはるの体調に疑いを抱き、不安を感じていることを悟った樹は、こはるにもう一度二人で話し合うよう勧めるが、こはるは「娘の負担になるのは嫌」の一点張り。そんな中、読み聞かせのため再び陸の通う小学校を訪れた真琴は、陸がいじめを受けている現場に出くわす。「自分がされて嫌なことは人にしないよ」という父親の言葉を守っているだけなのに、なぜ自分だけ嫌なことをされるのか分からないと涙を見せる陸に、真琴は思わずあることをアドバイスする。しかし、それが後に問題を引き起こすことに。
磯部(中村雅俊)のもとには、10年前に息子の文哉が自殺した一件について話を聞かせてほしいと、再び波多野(古川雄大)が訪ねてくる。過去の苦い経験からマスコミを一切信用していない磯部は、すぐさま波多野を追い返そうとするが、波多野はそんな磯部をあおり、揺さぶりをかける。
※草なぎ剛の「なぎ」は、「弓へんに前の旧字体その下に刀」が正式表記

