落ちシーズンへ移行で大型も 横須賀沖のタイラバが熱い!

落ちシーズンへ移行で大型も 横須賀沖のタイラバが熱い!

東京湾のタイラバは夏の浅場シーズンから秋の「落ち」シーズンへと移行している。

「10月中旬から急に秋の場所で食い出しました」とは、東京湾奥金沢八景・野毛屋の黒川勇治船長。

それまでは八景~小柴沖の水深20m前後を主戦場としていたが、目下は横須賀沖の水深40m前後へ。

取材日は開始から0.6~1kgクラスが連発し、「後半は大型が出る」との船長の言葉どおり4.2kgの大ダイが浮上。

残念ながら一人だけボウズが出てしまったがトップ6枚、2番手5枚が二人と上々の釣果に。

潮が速い場所のため使用タイラバは80~100gとやや重いが、釣れるマダイは絶品中の絶品。

出船は大潮回りのみなので確認して釣行計画を。

釣行の写真

上げ潮に変わった後半に出た当日最大の4.2kg

ネクタイ使い分け

多くの人は同じようなカラーのタイラバヘッドを使っているが、「アタリの差はネクタイで出る」と井上直美さん。

普段は写真のような4パターンを使い分けて実績を上げているので参考にしよう。

①シンプルなノーマルタイプ、②シンプル+ ワーム、③アピールしたいときは波動の大きいカーリータイプ、④さらにアピールしたいときはビッグなカーリーを使用する。

ネクタイの写真

東京湾のタイラバが秋の好シーズンを迎えている。

今期は9~10月にかけては八景沖など近場の浅場を狙うことが多く夏のマダイ釣りの様相だったが、10月中旬からは横須賀沖のやや深場で口を使うようになり完全に秋ダイへと移行した。

秋の本命場所の水深40m前後で釣れ始めればいよいよ秋冬の落ちダイシーズンの開幕。

迎える冬に備えしっかりと栄養を蓄える時期で活発にエサを追う。

今回は東京湾タイラバのパイオニアである東京湾奥金沢八景・野毛屋の黒川勇治船長をして「あの人はどの釣り座でも確実に釣る」と言わしめる常連の土屋眞治さんに、東京湾で釣るための基本をあれこれ聞いた。

まず、始めに東京湾のタイラバ船の出船形態から。この釣りは毎日出船するのではなく、基本は大潮・中潮回りの限定出船となる。潮が小さくても釣れないことはないが、やはり干満の差があったほうが潮が流れて食いがよくなるという。

野毛屋の場合はHPで次回の出船日が掲載されるので、確認してから釣行計画を立てていただきたい。

ちなみにそのほかの潮回りの日は目下はシャクリのアオリイカに出船中だ。

船の流し方はスパンカーを立てたエンジン流し釣り。船長は船首を風上に向け、道糸が常に垂直になるように操船する。

まず、この前提を理解しておきたい。

ポイントである横須賀沖とは、第二海堡と観音崎沖の間くらいに位置する。

潮の流れの速い場所のためタイラバヘッドの重量は80~100gほどを使用する。

その日の潮の流れによって船長から指示が出るので両方用意しておきたい。

取材日は開始直後の船長アナウンスで100号の指示があったが、「タングステンの人は80号でもいい」と付け加えられた。

カラーはオレンジが鉄板で必携。

続いて赤、緑、金など。ちなみに取材日は船中20枚ほどのマダイが上がったが、やはりその多くはオレンジ系だった。

最大魚は緑系にヒットし何枚か上がっていた。

これらが東京湾タイラバ攻略の前提となる基本事項だ。

仕掛けの写真

仕掛けの図

魚に一番近い場所 「ハリが重要!」

常連の土屋さんに仕掛けについてたずねると、開口一番「ハリが重要」との答えが返ってきた。

東京湾のタイラバはときに数が釣れることもあるが、2~3枚も釣れれば御の字の釣り。

それだけ価値があるわけだが、そんなに多くないアタリをいかにハリ掛かりさせるかが重要。

まずは魚に一番近い場所にあるハリにこだわるという。

土屋さんが好んで使っているのが、がまかつの「桜幻スーパークイック」のMサイズ。

ハリは細軸だがとにかく刺さりがよくしっかりと貫通してくれるという。

ただし、細身で掛かりがいい分、ハリ先は鈍りやすいので、まずまずのサイズを1枚釣ったら交換している。

「大型は無理して巻くととハリが曲がっちゃうので、竿でいなしながら上げてきます」

タイラバヘッドはオレンジ系を基本にしている。

ネクタイの色はあまり気にしていないと言うが、カーリータイプのオレンジ、ピンクに黒金模様が入っているものを使用していた。

一日で3~5回くらいのアタリでは、何がよくて何が悪いという比較はなかなかできないと言い、ある程度決めたものを使うことが多いそうだ。

「ほかの魚、フグでもなんでもいいからアタリがあればその色はそのまま使うようにしています。ただ、フグばかり食ってくるようなら地味な色に替えます」

オレンジヘッドに大きいネクタイを使用すると、この海域に多いタチウオがよく掛かってくるという。

タチウオはライントラブルの元になるし、タイラバヘッドのロストにもつながるので、この場合も色のトーンを抑えネクタイも地味かつ細身のものに交換して対応している。

タイラバは「あのヘッドがよかった、あのネクタイがよかった」ということがよくあるが、土屋さんはそれよりもていねいに釣ることを心がけている。

タイラバでのドラグ調整は「大きいのが掛かったら出るくらい」と考える人がいるが、実はその強弱でハリ掛かり率も大きく変わってくる。

一つテンヤマダイのドラグ調整と同等、いやそれ以上に重要と言えるかもしれない。

ドラグ調整が強いと、タイラバをくわえたときに違和感を感じて放してしまうためだ。

さらに掛かったとしてもハリが1本掛かっているだけのことが多く、バラシにつながってしまう。

「ズルズルよりも気持ちだけ強いくらいですね」

潮が速いときは抵抗が大きくなるので若干強めにするのが基本だそう。

釣り方はエンジン流しなので道糸は船下に真っすぐ入っていくが、潮の流れによって向きが変わることもある。

こんなときはサミングしてできるだけ真下に垂直に落とすように意識してやる。

斜めに入ると着底(ボトムタッチ)してからすぐに巻き始めてもタイラバが海底から離れるのにタイムラグが生じてしまう。

これを防ぐために垂直に落ちるようにするのだ。

落ちてくるタイラバをエサだと思って追ってきて、着底直後に上がっていくものに飛び付いてくる。

底で仕掛けがじっとしていたら見切られてしまうので、着底後は即巻きが基本だ。

巻きのペースは1秒1mを基準に、巻いているときに感じる潮の抵抗によってスピードを調整する。

緩いときは早め、速いときはゆっくりめといった具合に状況を見て調整する。

ちなみにこの日、4.2kgの大ダイを上げた田村修さんは、後半はかなりの早巻きでマダイを連発させた。

東京湾ではときに早巻きが絶大な効果を生むこともある。

「巻くのは秋冬なら7~8mくらいが基本かな」と土屋さん。

春の浮いたマダイを釣るときは、ときに海底から20mほどまで探ることがあるが秋冬は低めだ。

そして潮が速いときはあまり上まで巻かないという。

その理由は、落とすときに仕掛けが斜めに入っていきやすいから。

浅場の釣りなら広く探れるという考え方もできるが、秋冬はあくまで垂直の釣りが基本だという。

最初にアタリがあったらズルズルになってもそのまま巻き続けることが重要だという。

テンションをかけ巻き続けるとやがてマダイが反転してフッキングする。

ここで合わせを入れてもいいが、土屋さんは竿を起こすぐらいでいいという。

アタリがあってもフッキングに至らない場合はドラグ調整が強すぎる可能性があるので、今一度確認してみよう。

この日、井上直美さんが1枚目を掛けたとき、操船室から見ていた黒川船長が「ちょっとドラグが強いかもね、次はもっと緩くていい。緩いとハリが2本掛かるからね」とアドバイス。

そして上がった魚を見ればハリは唇に1本だけ掛かっていた。

ドラグがさらに緩ければもっとしっかりとハリ掛かりしていた可能性があったわけだ。

巻き上げの基本は竿を起こし気味にして一定の速度で巻き続ける。

大型の場合は無理せずドラグを出して対応する。

小型だと分かったらドラグを締めていき巻き上げてもいいが、大型の場合は無闇に触れないほうがいい。

土屋さんのヤリトリはゆっくり竿を持ち上げながらのポンピング。

竿を下げたときに糸が緩んでバラシにつながることもあるのでビギナー向きではないが、この方法で巻き上げている。

「たくさん釣って色んなパターンを知るしかないですね」と最後に締めてくれた。

このエリアで釣れる晩秋から冬場のマダイは、脂の乗りが最高で超美味。

まずは自分で釣ってその味を確かめていただきたい。

ドラグ調整の図

釣り方の図

配信元: FISHING JAPAN