
ドラマストリーム「スクープのたまご」(毎週火曜深夜0:58-1:28、TBSほか/TVerにて配信あり)の10月21日放送の第3話では、新米記者・日向子(奥山葵)の初の張り込みエピソードが描かれた。また、彼女の同期で、以前「週刊千石」の記者だった桑原(本島純政)が文芸誌に移った理由も明らかになり、週刊誌の記者の過酷な現状がリアルに伝えられた。(以下、ネタバレがあります)
■スクープと向き合い、記者として成長していく姿を描く
本作は、大崎梢原作の同名小説をドラマ化。大手出版社の週刊誌編集部に異動となった入社2年目の信田日向子が、芸能ネタや横領、不審死事件など、さまざまなスクープと向き合い、記者として成長していく姿を描いていく。有名週刊誌への綿密な取材によるリアリティー満載の描写で、週刊誌編集部の裏側ものぞけるようになっている。
■日向子、初の張り込みへ
元戦隊ヒーローの俳優・高木ユタカ(西川俊介)とインフルエンサーの女(久留栖るな)の交際情報をつかんだ「週刊千石」は、二人のお泊まりデートをスクープしようと張り込みをすることに。
高木のマンションの向かいの公園から隠し撮りをすることになり、カメラマンの州崎(永岡佑)一人では怪しまれて職務質問を受ける可能性が高いため、“コンパから抜け出して公園でイチャつくカップル”という設定で日向子も同行を命じられた。彼女にとって初の張り込みだ。
心の準備ができないまま洲崎と張り込みを始めた日向子は、どうしたらいいのか分からず、退屈そうに缶ビールを飲みながらブランコで揺れていた。すると、洲崎から「もう少しだけ楽しそうに」と言われ、それならと洲崎にいろいろ話しかけるも、彼はカメラの調整に集中していて生返事ばかり。張り合いがなさすぎて黙っていると、また「何か喋ってて」。とても自然なカップルには見えない…。
日向子は、洲崎に思いきって「自分の写真で人生が狂う人が居ることに対してどんな気持ち?」と尋ねてみた。洲崎は、掲載するかどうか決めるのは編集長で、自分は雇われている立場。この仕事も、やりたくてやってるわけではなく、生活のためにはより好みしてられない。盗撮に私見を求められても困る、などと語り、“発注元”である「千石社」の社員の日向子の仕事は、「近隣住人や巡回の警察に怪しまれずに盗撮できるようにサポートすること」と、“編集者の心得”を伝えた。

■洲崎の突然のハグに日向子は…
そんな会話をしていた時、洲崎が突然抱きついてきた。日向子はわけがわからず、両手をホールドアップ状態でフリーズ。高木と女が帰宅してきたのだ。洲崎は、固まった日向子を抱きしめながらカバンの中のカメラのシャッターを切りまくった。
高木の相手の女性は一瞬、日向子らを気にする様子を見せたが、そのままマンションに入っていった。盗撮成功。任務は終わった、と帰ろうとした日向子に、洲崎は「勝負はこれから」と告げた。お泊りスクープは、すぐに出てきてしまったら薄味になるため、出てきた時間とその写真が重要とのこと。長期戦覚悟で、このまま公園で張り込むことになった。


■「他人の不幸でメシ食って楽しいか?」
夜になり、公園のすべり台に身を隠すように寝転がりながら、日向子はドキドキが収まらなかった。スクープ写真が撮れた高揚感なのか、久々に男性に抱きしめられたせいなのか…自分では理由が分からず、警官の職務質問を恐れてドキドキしているのだ、と無理やり自身を納得させた。
その時、遠目に警官の姿が。洲崎はトイレに行っていて孤立無援の日向子は、職質のかわし方が分からず、緊張MAXで気配を消そうとした。が、足音は近づいてくる。「ちょっと君!」…見つかった!観念して声の主を見ると…警官ではなく高木だった。
高木に何をしてるのかと聞かれた日向子は、「コンパから抜け出して…」と設定の言い訳をしたが「そういううそはいいから!」と、一瞬でうそだと見破られてしまった。高木は、日中の彼女の様子を持ち出し、「抱きしめてなかったよね?カエルみたいに手開いて固まって」と言い、「隠し撮り?」とダイレクトに聞いてきた。「何のこと言ってるか分からないです」と、あくまでトボける日向子だったが、彼は「他人の不幸でメシ食ってんだろ!?そんなクソみたいなことして楽しい?お前、盗撮犯だよ。それで金儲けして生きてんだ?最悪だな」と彼女を罵倒して去って行った。
日向子は何も言い返せなかっただけでなく、せっかく本人と接触できたのに何のコメントも取れず、写真も撮れず、しかも盗撮を気付かれたせいで別ルートでマンションを出られてしまい、記事化はボツに…。大物カップルなら入っていく写真だけでも何とかなったが、高木とインフルエンサーでは正直小物でそれだけでは弱すぎるのだ。
■桑原が「週刊千石」を離れた理由
編集部では「小粒ネタだから」とボツになったことをさほど気にしていない様子だったが、日向子は、洲崎をちゃんと抱きしめていたら…、高木が来た時に録音できていたら…、スマホででも写真が撮れていれば…と、自分のプロ意識の欠如でボツになったことを悔やんでも悔やみきれずにいた。
日向子がヘコんでいたところに、同期の桑原が通りがかり、彼女は自分の失態を打ち明けた。桑原は、入社当時「週刊千石」の配属だったが、現在は文芸誌に異動している。その理由を「体を壊したから」と聞いていた日向子だったが、彼は「そうではない」と記者当時のことを話し始めた。
聞き込みのためにドアホンを押して「週刊千石」だと名乗ると、ほとんどが冷たい反応だったが、そんな反応を知るのも仕事のうち。無視されても嫌味を言われても水をかけられてもどうってことない。気にするだけ損、頭では今でもそう思っているが、心はそうではなかった。桑島は、またつらい目に遭うと思うと怖くなってインターホンが押せなくなってしまったのだった。
そして、ネットで「週刊千石」への罵倒や嫌悪感があらわなコメントを目にすると、涙が止まらなくなった。壊れたのは体ではなく心だった。彼は当時を振り返りながら「自分の弱さを思い知らされた」と語った。
桑原は、何事にも向き不向きがあり、自分は週刊誌の記者には向いてなかったが、日向子はつらさをこらえて頑張れるかもしれない、と彼女を励まし、「失敗しても、人生が終わるわけじゃない」と言って、新たな居場所となった文芸誌編集部へ戻っていった。

■スクープを取るのは“仕事”
週刊誌は「他人の不幸でメシを食っている」側面は確かにあるし、スクープを取ることにやりがいを感じている記者も居るだろう。だが、桑原のように“仕事だから”やるしかない者も多いのではないだろうか。そして、容赦ない言葉や態度に耐えられなくなり病んでしまうことも大いにあり得ると思う。会社員である以上、配属先は選べないし、与えられた仕事を全うするしかないのだ。
日向子は今回、自分のプロ意識の欠如がボツにさせてしまったと後悔していたが、洲崎を抱きしめて完璧なカップルを演じ、高木と対峙した時に録音して写真も撮っていたら、記事は出たかもしれないが、高木と女性の運命を左右したかもしれないのだ。
前日、洲崎に、自分の写真が誰かの人生を狂わせるかもしれないことについてどう思うのかと尋ねていた日向子だが、現時点での彼女は取材対象がどうなるかまでは考えが及ばず、単に「自分の役目を果たせなかった」「編集部に迷惑をかけた」という反省しか無い。真面目に仕事に取り組んでいるとも言えるが、それは知らず知らずのうちに“週刊誌側の人間”になっていくことでもある。日向子は、これから自分の良心と与えられた仕事をやり遂げることのバランスをどう取っていくのだろうか。
◆文=ザテレビジョンドラマ部


