女性特有の子宮がんは、他のがんとの罹患数を比べても常に上位に位置しています。2019年の部位別がん罹患数では、8位でした。
子宮がんは子宮頸がん・子宮体がんに分かれますが、子宮体がんの方の罹患数が多く年々増加傾向にあります。
この記事では、「子宮体がんかもしれない」「子宮体がんと診断されたがこれからどうなっていくのだろう」と不安を抱えている方に、子宮体がんの症状・ステージ・検査などを詳しくご紹介いたします。
※この記事はメディカルドックにて『「子宮体がん」の初期症状や出血の特徴はご存知ですか?ステージについても解説!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修医師:
郷 正憲(徳島赤十字病院)
徳島赤十字病院勤務。著書は「看護師と研修医のための全身管理の本」。日本麻酔科学会専門医、日本救急医学会ICLSコースディレクター、JB-POT。
子宮体がんの予後

子宮体がんは完治するのでしょうか?
子宮体がんは決して完治しにくい病気ではありません。限局(がんが子宮に留まっている範囲)で治療できると、80%以上の方は完治が期待できます。地域がん登録による5年生存率(1993年〜2011年診断例)では、限局95.7%・領域73.2%・遠隔20.1%となっており、がんの進行度が低いほど生存率が上がっているのがわかります。したがって、子宮体がんの完治を目指すには早期発見・早期治療が重要です。
また、子宮体がんの約80%を占めるⅠ型は、Ⅱ型に比べると比較的予後が良いとされています。
早期発見のためにできることを教えてください。
一般的に、がんの早期発見の1つの手段として定期健診があります。しかし、子宮体がんについては、症状がない場合の定期健診の有効性が証明されていませんので、がんの定期健診の項目に含まれていません。子宮頸がん検診の際に不正出血など症状がみられた方に精密検査を受けてもらうことが、子宮体がんの早期発見に繋がります。子宮体がん単体での定期健診は不要ですが、不正出血・おりものの異常・下腹部痛などの症状がみられた場合は、すぐに婦人科を受診しましょう。
子宮体がんを早期発見するためにできることは、まず自分の体の変化に気付くことです。いつもと違う出血・いつもと違う痛みなどを放置しないようにしましょう。
最後に、読者へメッセージをお願いします。
子宮体がんは、早期発見・早期治療を行うことで、完治が期待できる病気です。他のがんと違い、定期健診を行うことがないがんだからこそ、自覚症状が重要になります。
特に月経期以外の出血・閉経後の出血・月経異常・褐色のおりものなどがみられた場合は婦人科をすぐに受診して、早期発見に努めましょう。
編集部まとめ

子宮体がんの症状・ステージ・予後についてご紹介いたしました。閉経後の女性に多い病気ではありますが、閉経前の女性・若い女性も増加傾向にあります。
子宮体がんは定期健診がありません。しかし、他のがんと同様に、早期発見が遅れると完治の可能性も低くなります。
初期症状に気付いた場合は、「ただの生理不順かな」「閉経が近いのかな」などと自己判断して放置せずに、早めに病院を受診しましょう。
参考文献
子宮体がん(子宮内膜がん)について(がん情報サービス)
子宮体がん(日本婦人科腫瘍学会)
子宮体がん(日本産婦人科学会)

