インフルエンザ治療薬により1日で熱が下がったときの注意点

インフルエンザの治療薬を飲むとすぐに熱が下がる理由を教えてください
インフルエンザの治療薬の一つである抗インフルエンザ薬には、ウイルスが身体内で増えるのを抑える働きがあります。その結果、免疫機能が活発に働き、発熱が早く改善することがあります。
特に発症から48時間以内に抗インフルエンザ薬を開始すると、発熱や症状の期間を平均1日ほど短縮し重症化を防ぐなどの効果が期待され、1日で熱が下がる場合もあります。ただし、熱が下がったからといってウイルスが完全に消えて非感染化した訳ではないことは覚えておきましょう。
参照:『令和6年度インフルエンザQ&A』(厚生労働省)
治療薬によって1日で熱が下がったら普段通りの生活に戻ってもよいですか?
治療薬によって熱が早く下がった場合でも、すぐに通常の生活に戻ることは避けるべきです。身体にまだインフルエンザウイルスが残っており、ほかの方に感染させる可能性があります。学校保健安全法で定められた休養期間はしっかり休む必要があります。また、1日で解熱したからといって抗インフルエンザ薬の服用を途中でやめることはせずに、すべて飲み切りましょう。
編集部まとめ

インフルエンザは多くの場合に38度以上の高熱を伴いますが、場合によっては1日で熱が下がることもあります。これは免疫反応の速さや体質、ウイルス量、そして治療薬の効果などが影響しています。
しかし、熱が早く下がったからといって病気が完全に治ったわけではなく、身体内にはまだウイルスが残っており、周囲へ感染させる可能性もあります。
解熱後すぐに登校や出社をすると、体調を悪化させるだけでなく、感染を広げる可能性があります。学校保健安全法では『発症から5日、かつ解熱から2日(幼児は3日)』を経過するまで出席停止と定められており、会社員も同様に医師の指示を踏まえた慎重な判断が求められます。
また、解熱後に再び発熱する、咳が悪化する、倦怠感が強くなるといった場合は、肺炎などの合併症が隠れている可能性もあるため、早めに受診することが推奨されます。
インフルエンザは熱が下がっても治癒しているとは限りませんので、解熱後こそ慎重に過ごすことが体調を整える近道です。
参考文献
『インフルエンザ施設内感染予防の手引き』(厚生労働省)
『新型インフルエンザ 診療ガイドライン(第1版)』(一般社団法人日本感染症学会)
『令和6年度インフルエンザQ&A』 (厚生労働省)

