義姉が原因で夫と言い合いをしてしまった
「かなこはさ、姉さんのこと嫌いだから悪く言うんでしょ。テニスなんて健康的な趣味なんだから放っておいてよ」
「話を聞き入れてくれそうにない」という私の予想は、まさに的中していました。
「ネットワークビジネスを調べていろいろ見たんだけど、行くのやめたほうがいいよ」という言葉は、彼にとってただの「義姉への悪口」か「ヒステリックな妻の心配」としてしか響かないようでした。
私は無力感に襲われました。真正面から理論でぶつかってもダメ。情に訴えてもダメ。このままでは正春はテニスに行き、義姉と、その仲間たちから巧妙に勧誘されることになるのに。
「もういい……。分かった。でも、何か変な話があったら、絶対にすぐ私に電話して」
私はそう言って話を打ち切りました。夫を信じたい気持ちと、義姉の執念深さを知っている不安が、ぐるぐると頭の中で渦巻いていたのです―――。
あとがき:家庭を守りたいだけなのに
妻として家族を守りたいかなこと、平穏と現状維持を望む夫・正春の価値観の衝突が描かれます。「姉に文句を言われるのが嫌だから行く」という夫の言葉は、かなこにとって、ネットワークビジネスの危険性よりも身近な人間関係のストレス回避を優先する夫の諦めにも似た心情を象徴しています。
これは、夫婦間でいかに共通の危機意識を持つことが難しいかを示しています。危険から目を逸らす夫に対し、かなこは、感情的な訴えではなく、客観的な「何か」が必要だと、自己の無力感を乗り越える決意を固めます。
※このお話は、ママリに寄せられた体験談をもとに編集部が再構成しています。個人が特定されないよう、内容や表現を変更・編集しています
記事作成: ゆずプー
(配信元: ママリ)

