社交不安障害は、ほかの人の注目を浴びる場面で話をしたり食事をしたりする時に、強い不安と恐怖を感じる病気です。
よくあがり症と混同されますが、この病気の場合は1対1の場面などでも症状が現れ、長い期間継続します。
精神療法や薬物療法によって軽快しますが、本人も周囲もなかなか病気に気付きにくいといった特徴があります。
今回は社交不安障害について紹介しましょう。
※この記事はメディカルドックにて『「社交不安障害」を発症すると現れる症状・原因はご存知ですか?医師が監修!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修医師:
郷 正憲(徳島赤十字病院)
徳島赤十字病院勤務。著書は「看護師と研修医のための全身管理の本」。日本麻酔科学会専門医、日本救急医学会ICLSコースディレクター、JB-POT。
社交不安障害と診断されたときに気をつけること

社交不安障害は治りますか?
この病気の治療目的は、病的な不安や恐怖を軽減し、回避行動を減らすことにあります。日常生活を送るのに支障がないレベルまで長期的に症状が軽快することが目的です。治療によって、人前に立っても全く緊張しなかったり、人付き合いが上手になったりということにはなりません。ですが認知療法や薬物療法によって、日常感じていた支障を感じなくなったら病気が軽快したといっていいでしょう。
日常生活で気をつけることはありますか?
この病気は本人の治療だけでなく、周囲の方の理解とサポートも必要となることが多いです。社交不安障害は身近な人には症状が現れないため、家族の理解を得られないことがあります。家族や周囲の方もこの病気の理解を深め、例えば本人の休学・休職という選択を肯定してあげる、人付き合いが苦手なことをわかってあげるなどのサポートをしてあげるといいでしょう。
最後に、読者へメッセージをお願いします。
社交不安障害は比較的新しい病気ですが、幼少期からこの病気に苦しんでいる人もいます。この病気は放っておくと本人にとって強いストレスとなり、引きこもりやうつ病、果てはアルコール依存症などに繋がりかねません。対人関係で辛いと感じることがあったら、まずは精神科やメンタルクリニックを受診してみることをおすすめします。また病気を治すには周囲の人の理解とサポートが必要です。この病気に苦しんでいる人の家族も医師の説明を聞いて、病気について理解を深めるといいでしょう。
編集部まとめ

社交不安障害は、人に見られている場面で何かをすることに、強い恐怖や不安を感じる病気です。
家族など身近な人に接する時には症状が現れないため、周囲の人の理解を得づらいといった特徴があります。
精神療法や薬物療法によって軽快する病気ですので、もし人付き合いで辛さを感じている人がいたら、まずは精神科やメンタルクリニックを受診してみましょう。
参考文献
社交不安症の診療ガイドライン

