“ホワイト離職”時代にあえて“熱血指導”を貫く
実際に山本社長はコンプライアンスやハラスメントを過剰に気にする企業の在り方に疑問を投げかけ、企業や個人の成長のために熱く厳しい指導を行っていることでも有名。本気でやる気のある若い社員に昭和気質のやり方を貫き、社員たちもそれを求めているのでモチベーション高く働いているのでしょう。実際に同社の離職率は低いことでも知られています。近年、コンプライアンスやワークライフバランスが重要視される風潮の一方で、若者が逆に仕事のやりがいや目標を見出せずに離職してしまう現象、“ホワイト離職”という言葉が聞かれるようになっています。この現象の背景として、「働きやすいけれどホワイトすぎてつまらない」「この会社にいても成長できない」「上司からの指導もなく関係性が希薄で面白くない」といった理由が挙げられます。
こうした若者にとっては、同社のような社風の企業のほうが魅力的である可能性もあり、同社のやり方が時代に逆行しているようでむしろ令和の新しい働き方を提示しているとも言えるのではないでしょうか。
批判が逆に追い風に?話題動画が採用に効く理由
また、この賛否を巻き起こした現象そのものも好意的に捉えられることがあります。今回の動画の公開によって社内の雰囲気を広く伝え、本当に同社で働きたい人を選別することが可能になったという意見がありました。「ここに行きたい人だけが行くから採用の効率がいいし、離職率低下にも繋がるのは納得」「これにアンチコな人はグローバルパートナーズも採用したくないからブランディングとしても成功」「この会社のノリが嫌いな人が文句言いながら拡散してるけど、社員は皆この会社のこのノリが好きで入社してるからまた同じノリの優秀な社員が増える」といった肯定的なコメントも相次ぎ、企業戦略として成功していると見る向きもあります。
また批判的なポストが殺到してしまっても、それが決して自分の会社のマイナスにはなっていないことを社員の多くが自覚していることも印象的でした。社員の多くがアンチコメントをしている人とレスバトルするわけでも攻撃的な反論をするわけでもなく、あくまで「他人がどう思おうと自分はこの会社にいられて幸せ」というスタンスを貫いているのです。
「こんな会社で働きたくない」というアンチコメントが殺到した結果、大きく拡散された今回のゾス飲み動画。飲み会でコールをして士気を高める企業文化を公開し、「これはうちの会社のスタイルだから、来たい人だけ来てほしい」と明確にアピールすることで、入社後のミスマッチを防げる企業モデルと言えるのではないでしょうか。
<文/エタノール純子>
【エタノール純子】
編集プロダクション勤務を経てフリーライターに。エンタメ、女性にまつわる問題、育児などをテーマに、 各Webサイトで執筆中

