保育園の送り迎え、ご飯の準備、お風呂、寝かしつけ…。
すべてが私の肩にかかっていた。信男は疲れて帰ってきても、自分の趣味のことで頭がいっぱいで、私の苦労には気づいていないようだった。一度、「少しは育児を手伝ってほしい」と伝えたことがある。
信男は一瞬、顔をくもらせたかと思うと、
「俺の方が稼いでるんだから、これくらいは当然だろ」
と吐き捨てた。その一言に、私の心は完全に閉じてしまった。
「なんで、私ばっかり…。子育てなんてしたくない。仕事をしてた方がラク」
いつしか、そんな考えが頭に浮かんでしまう自分がいた。
私は、「母親に向いていないんじゃないか」と毎日、自分を責めた。マモルの寝顔を見るたびに、「こんな母親でごめんね」と心の中であやまった。
育児中のつらさや孤独から逃げ出したくて、私はあることをしてしまった。
それは、不倫だった。
ワンオペ育児で追い詰められた妻の過ち
仕事をしながら家事も育児も、すべてこなすのは、精神的にも体力的にもツラいもの。
夫にSOSを出したものの、里子は希望を打ち砕かれます。その結果、「不倫」という道へ逃避してしまったのです。
そんなある日、夫から不倫の証拠を突きつけられた里子は、凍りつきます…。
不倫がバレ、すべてをうしなった日
信男の冷たい声が、部屋に響き渡った。私は声が出せず、ただ、信男の突きつけたスマホの画面を凝視することしかできなかった。
「探偵を雇った。ずっとお前を調べていた」
信男の言葉は、まるで映画のセリフのように現実感がなかった。彼の目は、まるでゴミを見るかのようだ。私の不貞行為は決定的なものだった…。
「もうお前とはやっていけない。離婚だ」
信男は淡々とそう告げた。
「り、離婚…?」
のどから、かろうじてしぼり出した声は、ひどく震えていた。
「そうだ。そして、マモルの親権は俺が取るからな」
信男はそう言うと、リビングで遊んでいたマモルを抱き上げた。 マモルは信男のうでの中でうれしそうに笑っていた。何も知らないその笑顔が、私の心をさらに深くえぐった。
里子にとって、不倫はツラい現実から逃避する手段でした。ですが、息子・マモルを取り上げられ、里子は取り返しのつかないことをしたことに気づきます。
このあと、里子は家を追い出され、ビジネスホテルに滞在。離婚、親権の問題と、課題が山積みの中、さらに里子を追い詰めるできごとが起こります。

