3. 【疲労回復】多忙なビジネス層にうれしいビタミンB群と食物繊維が豊富
穀類の中で、そばはビタミンB群の含有量が比較的高いのも特徴です。
●ビタミンB1: 糖質の代謝を促し、疲労回復をサポート。
●ナイアシン: アルコールの分解を促進するため、飲み会の後のシメにそばを食べるのは理にかなっています。
●パントテン酸: 肌や髪の健康を保ち、ストレスを和らげる働きも期待できます。
さらに、そばには食物繊維も多く含まれており、腸内環境を整えてくれることも、健康維持にうれしいポイントです。
【飲むべき!】江戸時代から伝わる知恵!「そば湯」が「二日酔い・疲労」に効く理由
そばを食べた後に提供される「そば湯」。単なるゆで汁だと思って捨ててしまっていませんか?
実は、そばに含まれるたんぱく質、ルチン、ビタミンB群は、いずれも水溶性です。そばをゆでる過程で、これらの貴重な栄養成分の多くがゆで汁に溶け出してしまいます。
つまり、そば湯には、この記事で解説した血管強化のルチンや疲労回復のビタミンB群などの栄養素が溶け出してはいるのです。
まさに、このそば湯こそが栄養士が推す「食べる点滴」(※)です。そば屋でお酒とそばがセットで楽しまれてきた背景には、アルコール分解を助けるナイアシンをそば湯で補給し、悪酔いを避ける狙いもあったのでしょう。昔の人は経験から、そばが健康維持に役立つことを知っていたのです。(※「食べる点滴」は、栄養価が高く体に必要な成分を補給できることから、読者への分かりやすさを重視した比喩表現です。)
栄養士からワンポイントアドバイス:ルチンの吸収を高める食べ方
ルチンは、ビタミンCと一緒に摂ると吸収率がアップすることが知られています。ネギ、大根おろし、海苔などを薬味としてたっぷり使うと、よりそばの栄養を効率よく体に取り込めます。特にネギや大根おろしは、消化を助ける酵素も含まれているため、消化器の負担も減らせて一石二鳥です。
知っておくべき「そばアレルギー」の最も危険な落とし穴
一方で、「そば」はアレルゲンとしても知られ、命に関わる重篤な反応(アナフィラキシー)も起こりうる可能性が潜んでいます。
そばのたんぱく質が原因でアレルギー反応が起こりますが、最も注意が必要なのは「コンタミネーション(混入)」のリスクです。
そばのたんぱく質は水溶性です。そのため、そばと同じ釜でうどんをゆでると、ゆで汁を介してうどんにアレルゲンが混入してしまう可能性があります。そばアレルギーを持つ方は、お店で「そばと同じ釜でゆでているか」を必ず確認し、注意が必要です。
※参考文献:『日本食品標準成分表(八訂)増補2023年』、杉田浩一ほか監修『新版 日本食品大事典』医歯薬出版株式会社,2017、池上文雄ほか監修『からだのための食材大全』NHK出版,2019、名取貴光監修『新・野菜の便利帳 健康編』高橋書店,2016、レジア編『日本の食材図鑑』新星出版社,2018 他
(野村ゆき)

