「ASDとSLDの特徴の違い」は何かご存じですか?発達障害について解説!

「ASDとSLDの特徴の違い」は何かご存じですか?発達障害について解説!

発達障害は大きく3つに分類され、それぞれ異なる特徴を持ちます。この章では、自閉スペクトラム症(ASD)と限局性学習症(SLD)に注目し、対人関係の難しさや学習面での課題など、具体的な症状とその対処のヒントについて詳しくご紹介します。

三浦 暁彦

監修医師:
三浦 暁彦(医師)

【経歴】
2018年富山大学医学部医学科卒業。慶應大学病院、国立病院機構久里浜医療センター、国立国際医療研究センター国府台病院等で研鑽を積む。自身が不登校、うつ病となった経験から、誰でも気軽にかかれる医療を目指して2023年6月に「おおかみこころのクリニック」を開院。医師偏在等の精神科医療の問題点を克服するため、遠隔診療の研究にも従事し、2025年9月にAIを用いたオンライン診療所「ココフィー」をリリース。著書「脱うつのトリセツ」
【資格】
日本精神神経学会 専門医

自閉スペクトラム症(ASD)と限局性学習症(SLD)の特徴

発達障害は大きく3つの種類に分類され、それぞれ異なる特徴を持っています。ここではまず、自閉スペクトラム症(ASD)と限局性学習症(SLD)について説明します。

自閉スペクトラム症(ASD)

自閉スペクトラム症(ASD)は、社会的コミュニケーションの困難さと、限定的で反復的な行動パターンが特徴の発達障害です。以前は自閉症、アスペルガー症候群、広汎性発達障害などと分類されていましたが、現在はこれらを総称してASDと呼んでいます。

ASDの方は、相手の表情や声のトーンから感情を読み取ることが苦手で、場の空気を読むことが困難です。会話において、相手の興味や関心を理解せずに一方的に話し続けてしまったり、適切な距離感を保つことができなかったりします。非言語的なコミュニケーション、例えばジェスチャーや表情を使った意思疎通も難しいことがあります。

こだわりの強さも特徴的で、特定の興味や活動に異常なほど集中します。また、日常生活でのルーティンにこだわり、変更があると強い不安やストレスを感じます。

感覚過敏も多くの方に見られ、特定の音や光、触感に対して過敏に反応します。一方で、痛みや温度に対しては鈍感な場合もあります。これらの感覚特性は、日常生活での困りごとの原因となることがあります。

ASDの方は優れた記憶力や集中力を持つことが多く、専門的な分野では高い能力を発揮することがあります。ただし、社会的なスキルやコミュニケーション能力に課題があるため、適切な支援と理解が必要です。

限局性学習症(SLD)

限局性学習症(SLD)は、知的能力には問題がないにもかかわらず、特定の学習スキルに著しい困難がある状態です。以前は学習障害(LD)と呼ばれていましたが、現在はSLDという診断名が使用されています。

SLDは主に3つの領域に分類されます。読字の困難(ディスレクシア)では、文字を正確に読むことができない、読むスピードが非常に遅い、内容を理解することが困難といった症状があります。単語を正しく認識できず、似た形の文字を間違えてしまうことも多くあります。

書字の困難(ディスグラフィア)では、文字を正しく書くことができない、筆順が覚えられない、文字のバランスが悪いといった問題があります。また、考えていることを文章にまとめることができない、漢字を覚えることが困難といった症状も見られます。

算数の困難(ディスカリキュリア)では、数の概念を理解することができない、計算方法を覚えることができない、図形の理解が困難といった問題があります。九九を覚えられない、位取りの概念が理解できないなど、基本的な算数スキルに困難を示します。

SLDの方は、得意な分野と苦手な分野の差が大きいことが特徴です。大人になってからのSLDの影響は、職場での書類作成、計算業務、読解業務などで現れます。適切な支援ツールの活用や業務内容の調整により、能力を発揮することができる環境を整えることが重要です。

まとめ

発達障害は決して珍しいものではなく、適切な理解と支援があれば、その方の持つ能力を十分に発揮することができます。大人になってから発達障害に気づいた場合でも、遅すぎることはありません。自分自身の特性を理解し、適切な環境調整や支援を受けることで、より良い生活を送ることが可能です。周囲の理解と協力も得ながら、一人ひとりが自分らしく生きられる社会の実現が重要です。

参考文献

厚生労働省 発達障害の理解のために

厚生労働省 発達障害の特性(代表例)

日本発達障害学会

配信元: Medical DOC

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