転職活動していることが職場にバレた!「無断リファレンスチェック」は違法?

転職活動していることが職場にバレた!「無断リファレンスチェック」は違法?

会社が人を採用する際に、転職したい人が以前働いていた会社の上司や同僚に、その人の仕事ぶりや人柄を聞く「リファレンスチェック」を行う企業が増えています。

一般的に、リファレンスチェックを行うときは、転職希望者の同意を得てから行われます。ところが、この同意をなしにリファレンスチェックを受けた結果、意図せず、職場に転職活動がバレてしまったという相談が弁護士ドットコムに寄せられました。

相談者は、転職面接を受けた際、面接官が偶然相談者の前職の同僚と知り合いだったようです。面接官は相談者に無断で前職の同僚に相談者の転職活動のことを伝えたり、相談者が前職でどういう仕事をしていた等を聞いたりしていたようです。

このように、会社が転職希望者に黙って、勝手に前の職場に連絡を取って情報を集めた場合(無断リファレンスチェック)、どのような問題が起こるでしょうか?

●「個人情報保護法」というルールに違反する

リファレンスチェックで聞かれる情報(氏名、仕事の経験、勤務態度、辞めた理由など)は、すべて法律で守られている「個人情報」です。

人を採用する会社は、応募者の履歴書などを扱う以上、必ずこの個人情報保護法のルールを守る義務があります。

まず、個人情報を「偽りその他不正の手段により取得」してはならないという規定にも違反するリスクがあります(同法20条1項)。

つぎに、個人情報保護法では、個人情報を取得した際に、利用目的(何のために使うか)を本人に伝えなければならないと定めています(同法21条)。採用したい会社が、転職希望者に黙ってリファレンスチェックをすることは、この「利用目的の通知・明示義務」に違反する可能性があります。

さらに、転職希望者が働いていた前の職場も、本人の同意がない限り、その人の個人情報を外部の会社(採用企業)に教えてはいけません(同法27条1項「第三者提供の制限」)。前の職場が承諾なしに回答した場合も、この規定に違反する可能性があります。

つまり、無断リファレンスチェックは、情報を集める側(採用企業)と、情報を提供する側(前の職場)の両方が、個人情報保護法に違反するリスクを負う行為なのです。

●転職希望者の「プライバシー権」の侵害

「プライバシー権」とは、自分の私的な事柄を、勝手に他人に公開されたり知られたりしない権利のことです。これは憲法で保障されている人格権の一つとして、裁判所でも認められています。

転職活動をしているという事実は、本来、本人が「誰に、いつ伝えるか」を決めるべき私的な情報です。無断で前の職場に連絡がいくと、そこで初めて転職活動中であることがバレてしまいます。

もし、この無断連絡によって転職希望者が前の職場で立場が悪くなるなどの不利益を被った場合、「プライバシー権の侵害」として、民法上の不法行為(民法709条)が成立する可能性があり、情報を集めた会社に対して損害賠償(金銭的な補償)を請求できる場合があります。

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