主人公・中須ゆりには、4歳の息子・泰一(たいち)と、おなかの中に妊娠7か月ほどになる赤ちゃんがいます。ご近所さんも優しく、ママ友とも良好な関係ですが、最近1点だけ悩みがありました…。
仲良しなママ友の息子に抱える悩み
私は中須ゆり(34)といいます。4歳の息子がおり、今は2人目の子を妊娠中です。息子は素直にすくすくと育ち、ご近所のママ友さん達とも仲良くしていただいて平和に過ごしていました。
一点だけある悩みを除いては―――。
その悩みというのが、一番仲良しなママ友である桜田まやさんの息子・こうきくんのこと。こうきくんは泰一よりも3つ年上の7歳です。まやさんはとても厳しい方で、こうきくんがいけないことをすると小さなことでもかなり厳しく𠮟ります。だからこそこうきくんはしっかりしているのですが、実は気掛かりなことがあるんです。
それは、こうきくんがパパやママの前でだけはいい子にするということ。ご両親がいない場では、実はとてもイジワルになるのです。最初のうちは「甘えているのかな」という程度でしたが、最近はその二面性が極端化してきて、役者並みの豹変ぶりになってきました。
見ていると少しだけ、恐怖を感じるくらいに―――。
その二面性とは?
こうき君の二面性は、まやさんが居ない場で私が子どもたちを見ているときにだけ姿を現します。
ある日、わが家でこうきくんと泰一が遊んでいるとき。こうき君がこちらに急に走って来たかと思うと、目の前まで来て立ち止まり、ニヤっと目を合わせてから私のお腹を軽くパンチしたのです。
いくら子どもだからといって、妊娠中の人のおなかをパンチしてはいけないことはわかると思うのですが…。私は思わず「おなかに赤ちゃんがいるんだからおなかはダメ!」と強くいってしまいました。
それでもこうきくんは悪びれることなく「ママのお腹よりおっきい~」と言いながら遊びに戻ってしまいます。以前、まやさんもいる場でおなかの赤ちゃんの話をしたときは「赤ちゃんがいるからおなかが大事なんだよね」と屈託のない笑顔で話してくれていたのに。まやさんが居ないだけでこんなにも態度が変わるとは、びっくりしたできごとでした。

