乳がんについてよくある質問
ここまで乳がんを紹介しました。ここでは「乳がん」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。
初期の乳がんも骨に転移することがあるのですか?
はい、まれにですが、初期の乳がん(ステージ1など)と診断された後でも骨転移が判明することがあります。これは、診断時に画像検査ではとらえきれない微小な転移がすでに存在していた場合(潜在性転移)などが考えられます。そのため、ステージが早期であっても、治療後も定期的な経過観察と、体調の変化に注意を払うことが重要です。
乳がん骨転移の治療法を教えてください。
乳がん骨転移の治療は、大きく分けて乳がんそのものに対する全身療法と骨病変に対する局所療法の2本柱で行われます。全身療法としては、ホルモン療法、化学療法(抗がん剤)、分子標的治療、免疫療法などがあり、がんの進行を抑制することを目的とします。
骨病変に対する局所療法としては、痛みの緩和や骨折予防のための放射線治療、骨の安定化や神経圧迫解除のための手術、骨の破壊を抑える骨修飾薬(ビスホスホネート製剤、デノスマブなど)の使用、痛みを和らげるための鎮痛薬などがあります。
骨転移した乳がんの余命はどの程度ですか?
骨転移した乳がん(ステージIV)の余命は、患者さん一人ひとりの状態によって大きく異なり、一概に〇年と断定することはできません。がんのサブタイプ、転移部位の数と広がり、これまでの治療歴と効果、全身状態、治療への反応性など、さまざまな要因が影響します。
まとめ

乳がんの骨転移は、ステージ1と診断された後でも起こりえる可能性があり、その症状は痛み、病的骨折、神経症状、高カルシウム血症など多岐にわたります。骨転移の診断には、骨シンチグラフィ、PET検査、CT、MRI、X線検査、血液検査などが用いられます。治療は、乳がんそのものに対する全身療法と、骨病変に対する局所療法を組み合わせることで、がんの進行を抑制し、痛みを緩和し、QOLを維持することを目指します。
骨転移と診断された場合でも、現在の医療では病状をコントロールし、がんと共存しながら生活できる期間が延びています。不安や疑問があれば、主治医や医療チームに積極的に相談し、適切な情報に基づいて治療を進めることが、充実した日々を送るための鍵となります。

