波乱の半生が呼び起こす「サナ」への共感
しかし、「サナ活」の真髄は、美容やファッションにとどまりません。多くの女性たちが熱狂するのは、高市首相が公にしている仕事と両立させてきた私生活の苦労。そこに自らの人生を重ね合わせているからのようです。
彼女の人生は、結婚と離婚、そして再婚という紆余(うよ)曲折を経てきました。夫の子どもたちを育てる立場になった経験や、公表している不妊の経験。そして、両親の介護に加え、脳梗塞の後遺症が残る夫の介護を担ってきた姿は、現代の女性が直面する「仕事と介護の両立」という重いテーマを体現しているのです。
「日本女子が高市早苗のこと『うちらのサナ』って呼んでたり、深堀すると私生活ですごい苦労や努力していて……」という女性ユーザーの投稿に見られるように、女性たちは彼女を「男社会で戦いながら、家庭の苦労を乗り越えてきた私たちの代表」として捉えています。
さらに、リウマチの持病や更年期障害の経験まで包み隠さず公表してきたことは、「今を生きる女性マス層の多くが自分の苦労と重ね合わせやすい」と分析されるように、働く女性たちが感じる身体的な困難や孤独感に寄り添うことになりました。
苦難を乗り越え、少子化対策など「女性への温もりある社会を」という公約につなげる姿勢は、彼女の人生の努力と公的な献身が融合した姿として、「守りたいものがあるってかっこいいと気づく」と、女性たちに勇気を与えています。「サナ活」は、個人の苦労を共有し、お互いをエンパワーメントする場にもなっているようです。
※ ※ ※
「サナ活」は、「サナかわいい!」という親しみから始まり、その半生への深い共感へと至る、新しい形の政治参加と言えるかも知れません。メイクやファッションの親しみやすさと、人生の困難を乗り越える強さ、公務への献身が、現代の働く女性たちの心に響き、“好きから始まるやさしい政治参加”として、政治への関心を広げています。
女性も働き続けることが当たり前となった社会で、仕事もプライベートも手を抜かず、努力を重ねてきた高市首相の姿は、「うちらのサナ」として、日本の未来を考える新たなきっかけを生み出していると言えそうです。
(LASISA編集部)

