「肺が苦しい」症状が特徴的な病気・疾患
ここではメディカルドック監修医が、「肺が苦しい」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。
肺癌
肺癌は、肺の細胞が異常に増殖することで発生する悪性腫瘍です。喫煙が最も大きな原因といわれていますが、それ以外にも遺伝的要因や大気汚染、アスベストなどの有害物質の吸入も考えられています。肺がんの治療法としては、手術、化学療法(抗がん剤治療)、放射線治療が一般的です。肺癌は、初期症状が現れにくく、進行してから発見されることが多いため、早期に発見することが重要です。定期的な肺がん検診を受診しましょう。
症状としては、長引く咳、血痰、胸の痛み、息切れ、体重減少などがあるため、これらの症状がみられた場合はすぐに呼吸器内科を受診しましょう。
心不全
心不全は、心臓の機能が低下して十分な量の血液を全身に送り出せなくなる状態のことで、心筋梗塞、弁膜症、不整脈などの心臓病が原因の場合があります。心不全の治療法としては、生活習慣の改善と薬物療法が基本です。心不全の症状としては、息切れ、むくみ、体重増加、食欲不振、腹部膨満感、疲れやすさ、手足の冷えなどがみられます。特に、階段や坂道を上ると息切れが激しくなる、夜間に咳が続く、横になると息苦しくなるといった症状がある場合は、心不全の可能性が高いため、すぐに循環器内科を受診しましょう。
狭心症
狭心症は、心臓に血液を供給する冠動脈が狭くなることで、心臓に十分な血液が行き渡らなくなる病気で、主な発症原因としては、動脈硬化が考えられます。狭心症の治療法としては、生活習慣の改善と薬物療法が基本です。狭心症の症状としては、胸の圧迫感や痛み、息切れ、冷や汗などがみられるため、これらの症状がみられた場合は、循環器内科をすぐに受診しましょう。
貧血
貧血は、血液中の赤血球の中の酸素を運搬する役割をもつヘモグロビンの量が不足して、全身に十分な酸素が送られない状態のことです。主な発症原因として、鉄分不足が最も多くみられますが、それ以外でも、栄養不足や消化管出血などが原因の場合もあります。そのため、貧血の治療法としては、どの原因によって貧血が生じているのかを特定して、治療をおこないます。
貧血の症状としては、疲れやすさ、めまい、息切れ、動悸、顔色の悪さ、頭痛などがあるため、これらの症状がみられる場合は、早めに内科や血液内科を受診しましょう。貧血は重症になると、心不全などの重篤な症状が出ることもあり注意が必要です。
神経筋疾患
神経筋疾患は、脳、脊髄、末梢神経、または筋肉自体の異常によって運動障害を引き起こす病気の総称で、代表的な疾患として、パーキンソン病、脊髄小脳変性症、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、ギラン・バレー症候群、筋ジストロフィーなどがあります。これらの疾患は、遺伝的要因、自己免疫反応、神経の変性など、さまざまな原因で発症します。
神経筋疾患の治療法としては、根本的な治療が確立されていない疾患も多いため、症状に応じたリハビリテーションや薬物療法が中心となり、進行を遅らせることが主な目的です。神経筋疾患の症状としては、筋力低下、しびれ、めまい、歩行困難、ふらつき、しゃべりにくい、物が二重に見えるなどの症状があります。また、筋委縮性側索硬化症では呼吸筋にも障害が起こり、人工呼吸器の使用が必要となることもあります。ふらつきやしびれ、身体が動かしにくいなど、少しでも違和感がある場合は、神経内科を受診しましょう。
「肺が苦しい」の正しい対処法は?
肺が苦しいと感じたときは、なるべく症状を落ち着かせましょう。具体的には、ゆっくりと深呼吸をしたり、前かがみや横になる姿勢をとることで呼吸が楽になる場合があります。また、肺が苦しくて咳が続く場合は、内科、呼吸器内科を受診して原因を調べましょう。
大きな病気がない場合には、湿度を保つために加湿器を使用したり、温かい飲み物を摂ると効果的です。冷たい飲み物を飲むと粘膜が刺激されてしまうので、注意が必要です。
それ以外にも睡眠やストレスを緩和させることも重要です。十分な睡眠をとることで、身体の回復力が高まり、症状の改善が期待できます。また、ストレスを感じると呼吸が浅くなることが多いため、深呼吸や瞑想、軽い運動などをおこなって、リラックスするための方法を見つけましょう。

