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公開 2017年02月13日  

生活リズムは「一定であること」が大切とは限らない

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書籍「いい親よりも大切なこと~子どものために“しなくていいこと"こんなにあった!~」(著:小竹めぐみ・小笠原舞)より、全7回にわたり、「親子がもっとハッピーになれるヒント」をご紹介します。第1回目は、悩むママ・パパも多いであろう「生活リズムでしなくていいこと」について。


一日3食、食べられない日があってもいい

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「うちの子、食が細いのか、3食きちんと食べないんです。どうしたらいいですか?」と聞かれることがあります。

小さな子どもを持つママの中には、本やネットなどで見た、子どもの一日のスケジュール通りに生活しようと頑張ったり、子どもの生活リズムを整えることに必死になったりする人が多くいます。

こういった会話を聞いていると、食事以外でも毎日ハラハラしながら過ごしているようにも感じます。「13時からお昼寝させないといけないから帰るね」「うちの子、今日まだうんちが出ていないから、もっと食物繊維を食べさせなきゃ」など……。

でも、考えてみてください。
大人でも、体調やその日のスケジュール次第で一日3食、同じ時間に食べることは難しいですよね。生まれて間もない子どもがきっちり生活リズムを守れるほうが不思議なくらい。

「守らなければいけない生活リズム」があるのではなくて、子どものまだ定まっていない生活リズムを整える手助けをするために、大人がある程度、目安の時間を決めてあげよう、くらいの感覚でよいのです。

毎日3食を同じ時間にきっちり食べさせないと、ちゃんとした大人になれないのでしょうか?

そんなことはありませんね。
もちろん、毎日1食というのは心配ですが、たまには食事ができないタイミングがあっても、十分許容範囲内だと思います。

要は、それ以外の食事や、補食で栄養を補えばいいだけの話。どうか、「一日何回!」「何時にぜったい!」などという数字や時間だけにとらわれるのではなく、子ども自身をじっくりと見てあげてください。

私たちが懇意にしている栄養士さんによると、食べむらがあっても一週間の単位で見たときに、体重が極端に減っていなければ、気にしないで大丈夫とのことでしたよ。

初めから完璧を求めない

お風呂も同じです。一日の終わりに必ず入れないといけない、と誰が決めたのでしょうか。

もし、その前に子どもが疲れて寝てしまったら、次の日の朝に入ればいいだけのこと。寝てしまった子どもを無理やり起こしてまで入れる必要はありません。

どれもこれも完璧に、毎日同じリズムを守ろうとすることで親も子どもも疲れてしまう場合は、優先順位をつけてしまえばいいのです。

たとえば、眠る時間を一番優先させたいのか、毎日お風呂にだけは入れたいのか、一日3食のご飯を食べさせたいのか。もし何時までに寝かせるというルールを優先したいのであれば、そのために何かを〝しない〟ことも大事な選択のひとつ。

そして、その決めたルールを達成できたら、「 今日はこれでいいんだ」と自分にも子どもにも花丸をあげてくださいね。こんな風に、1個ずつ「できたね」を積み重ねていけばいいのです。

やれなかったことは、決して「手抜き」なんかじゃありません。ただ、今日できることをやった、ベストな結果です。

必死になって、眉間にシワを寄せて子育てするぐらいなら、「今日はこれでいっか」とできるかぎり気楽に過ごしてみませんか?

「~ねばならない」を少しだけ手放してみてください。「素敵だな」と思うママほど、心に余裕を持ち、楽観的に考えているものです。


子どもと接するときの「マナー」

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生活リズムに縛られすぎてしまうと、子どもが苦しくなってしまいます。せっかく子どもが楽しんでいるのに、それに気づけず、大人の都合で「今」を中断してしまうことほどもったいないことはありません。

0・1・2歳児は、自分のつくりだした世界に入り込んで遊ぶことが大事な時期です。遊びを中断されるということは、とても大きなストレス。さらに、子どもの探求心を阻害することにつながってしまうのです。

そもそも、子どもと大人は、流れている時間がちがいます。
突然言葉をかけられても、すぐには動けないのが子ども。一方、見通しを立てて、計画通りに進めることができるのが大人です。

遊びを中断されて「帰るよ」と言われると、床に寝っ転がって足をバタバタさせ、グズってしまう子がいますよね。それはまさに子どもらしい反応であり、自然な姿なのです。

では、どうすれば納得してくれるのでしょうか。

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私たちがよくやっている方法をお伝えします。

・「まだ遊びたいよね」と気持ちを代弁してあげながら、一緒に悲しんでみる
・この次にあるワクワクする予定を伝える(年齢によっては、あらかじめ先に伝えておく)
・「あと○回にしようか」など、終わりが見える遊び方を提案する

これは、子どもと接するときの最低限の大人側の「マナー」だと思っています。

時間の概念がまだなく、常に「今」に夢中になる子どもには、大人時間が通用しないのだということを知っておきましょう。

大人と子どもは、流れる時間がちがいます。まずは、その事実を受け止め、大人の都合だけで子どもを動かさないように意識できるとよいですね。

「今」を大事にする子どもを見守ってあげる。
そして、私たち大人も、「今」にこそ価値があることを認める。

子どもに流れる時間を認めてあげることは、子ども自身を認めてあげることにつながります。それが、自尊心の高い子に育てる、最初の一歩です。

子どもの世界に浸ってみよう

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けれども、毎日を子どもの時間軸で生活するのは大人にはとても難しいこと。

保育園や幼稚園に連れて行ったり、病院の予定があったりと、スケジュール通りに生活しないと日常は回らないのですから。

でもたまには、子どもに寄り添うことを目的にする時間をつくって、子どもの世界にどっぷり浸ってみてはいかがでしょう。あえて、時計を見ないで過ごしてみることも、おすすめです。

そうすることで、「上の子より、下の子の方がゆっくり」など、子ども独自のペースがあることに気づくはず。

大人だってペースは人によって違うのですが、意外とそこに気がつく人は少ないのです。たとえば、1冊の本を読むペースも、人それぞれちがいますよね。

見た目や性格のちがいだけを個性というのではなく、“ペース”だって立派な個性。それを尊重してあげると子どもは喜ぶでしょう。

生活リズムは、大人がつくるものではありません。
本来は、ペースと状態を見ながら、子どもと一緒に築くものなのです。

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