栃木県出身、今は埼玉県川口市に暮らす専業主婦。
夫の満とともに、3歳の息子・奏太を育てている。
目下の夢は、マイホームを買うこと。
4月に奏太が幼稚園に入園したら、ライターの仕事を再開したいと思っている。
キリコの夫。
岐阜県でラーメン屋『おぼろさん』を営む、円田家の次男。
上京して服飾専門学校を卒業し、スタイリスト派遣事務所『フリープラン』でマネージャーをしている。
仕事が忙しく、なかなか家族の時間を持てない。
4月から幼稚園入園予定で現在は幼稚園のプレに通っている人見知りの3歳。
電車と車が好き。
満の仕事が忙しくなると「パパきらいモード」を発動する。
満の母。
35年間、夫とともに切り盛りしてきたラーメン屋『おぼろさん』の経営を長男夫婦に任せることになり引退。
店が忙しくて孫である奏太の育児を手伝えなかったことを、申し訳なく思っている。
北区赤羽。季節は12月。
前作『夫婦の言い分』で家族の再スタートをきった円田家。
キリコ退院から7ヶ月。
「家探し」をキッカケに、新たな波乱の予感?
子どもが生まれた。
親になった。
家族と過ごす時間だって大事にしたい。
でも小さい頃からの夢だった仕事だってあきらめたくない。
キリコ、満、そして奏太。それぞれの選択は…。
家族でマイホームを探して内見を続けていたキリコは屋上庭園のある、夢のような物件に出会う。
私も働けば、何とか手が届くかもしれない。
来年4月に奏太が幼稚園に入園してからライターの仕事を再開しようと思っていたキリコだったが、今のうちに仕事の当てがハッキリすれば、この家を買う方向ですぐに動き出すことができる。
年末に少しフライング気味に以前の取引先に連絡してみたところ、フリーペーパー制作会社『RAIRA』の神林から思いがけず「急ぎ」の原稿を依頼された。
この細い糸を今つなぎとめておけば、入園後にがっつり復帰できるかもしれない。そんな思いで引き受けることにしたのだが…。
毎日に追われて原稿が進まないまま迎えた、〆切の土曜日。
頼りにしていた満は休日出勤することになり、奏太は高熱を出して気管支炎と診断されてしまった。
納得しないまま提出するしかなかった原稿は、ほぼ丸々修正された状態で掲載されて…。
こんなことは初めてだ。次の仕事はもう来ないだろう。
甘かった。子育てしながら働くのがこんなに大変だなんて…。
キリコはこたつに突っ伏して、少し泣いた。
すっかり落胆しているところに帰ってきた満は「無理してまであの屋上庭園の家を買いたいとは思っていないし、川口という場所にもこだわっていない」と話す。
満との温度差を痛感して、途方に暮れるキリコ。
ここで家を買うために奏太の幼稚園を探し、助け合えるママ友との関係も大切にしてきた。
そうやってお友達ができた奏太を引っ越しさせるなんて、かわいそうだとは思わないのだろうか?
私の人生計画は、白紙に戻ってしまうのだろうか…。
そして追い打ちをかけるように、キリコも高熱を出して寝込んでしまい、休日出勤しなければならなくなった満に変わって、岐阜から義母・真由美が手伝いに来てくれることになった。
体調が悪い時に義母と一緒にいるなんて、気を遣って余計に疲れるに決まっている…。
そう思っていたキリコだったが、真由美と過ごす中で初めて「頼る」ことの安心感を知り、思いがけず子を持つ同じ母同士の「楽しさ」をも味わうことができたのだった。
スタイリスト派遣事務所『フリープラン』のマネージャーとして奔走していた満はある日、社長・篠崎から呼び出され、新規事業を兼任するよう命じられる。
内容は、衣類高級クリーニング専門店『ララウ』とともに立ち上げるという洋服の「お直し業務」。
一緒に呼び出された同僚のケンゾーが、「通常業務をしながらこれをやるのは難しい」とその場で断ってしまったため、満が一人で背負うことになった。
待っていたのは、残業や休日出勤が続く毎日…。
残業が続く毎日で全然遊んでやれない奏太には「パパきらい!」と言われてしまい、奏太とキリコが高熱で寝込んでしまった日も休日出勤しなければならなくなってしまった満。
ひとつだけ明るくなったことと言えば、その時に母・真由美に手伝ってもらったことをきっかけに、キリコと真由美の距離が縮まったこと。
そんな中、再び社長に呼び出され、マネージャー業務を外れて、新規事業に専念するよう告げられる。
どうやらララウのオフィスにデスクを置き、毎日洋服のお直し依頼の受け付けをするらしい。
もはや、自分は何者なのか。
服が好きで岐阜から上京して、服飾専門学校に行ったのに、気づけばスタイリングには全く関係のない「お直し業務」を担当している。
そもそも、マネージャー業務をやりたかったのかどうかも分からない。
好きなことだけやっていくのは難しい。育て上げなくてはいけない大切な息子もいる。
だけど…。
そんな満のもとに、地元の友人タカヒロからメッセが入った。
1ヶ月前の12月、両親が経営するラーメン屋『おぼろさん』を引退した夜。
地元の不動産王である江原と、ラッパーのタカヒロと3人で飲みに行くと、転職エージェントをしている友人K.Dを紹介するから、仕事を探してこっちで家を買えばいいと言われたのだ。
江原はすかさず、実家近くの「すんげぇいい新築戸建て」を営業してこようとして、満は慌てて断って事なきを得た。
そのK.Dこと土井和夫から、本当に求人案件が送られてきたのだ。
それは、名古屋のフォトスタジオでの、スタイリストの募集だった――。
▶︎▶︎ 次回、11話は、3/16(金)20時公開予定!