母親と二人で一膳飯屋を切り盛りする独身のお以之(ともさかりえさん)、武家に嫁いだ志花(佐藤江梨子さん)、小間物屋で女主人を務めるお蝶(田中麗奈さん)。
この仲良し3人組は、若い頃は「馬喰町の猪鹿蝶(いのしかちょう)」と呼ばれ、町の不良を成敗するなど周囲からも評判の娘たちでした。
今は三十路を過ぎ、それぞれの生活を送っています。
しかし、お以乃はやりたいことが見つからずに仕事を転々とし、志花は姑にいびられる毎日。
お蝶は懇意にしていた男に浮気され、また母や妹など家族ともうまくいっていない事情を抱えていました。
そんな自分たちの今の生活に嫌気がさした3人は、家のことや面倒なことをかなぐり捨て、お伊勢参りをする旅に出かけることに。
「ぬけまいる」とは「抜け参り」、つまり親や主人の許可を得ず、着の身着のままでお伊勢参りに行くことを言います。
旅のお供に携えたのは柄杓(ひしゃく)。柄杓を持っていると、道中に施行を受けられ食べ物やお金を恵んでもらえるのです。
そんな、現代で言うヒッチハイクのような女子旅で、猪鹿蝶の3人は無事お伊勢参りをすることができるのでしょうか。
ちょっと羨ましいかも!?三十路女3人のお伊勢参りを描く新作ドラマ『ぬけまいる』
5,442 View10月27日(土)からスタートしたドラマ「ぬけまいる~女三人伊勢参り~」(NHK・土曜18時5分)。朝井まかてさんによる長編時代小説が原作となっている本作は、江戸時代を舞台にワケありの女3人が何もかもを捨ててお伊勢参りの旅に出るというお話です。江戸時代という時代設定なのに、現代の30代女性が共感してしまう面白さが満載の本作を紹介します。
三十路を過ぎたワケあり女3人のお伊勢参り物語
現代女性に通じる悩みや葛藤もコミカルに描く
時代設定とお伊勢参りという江戸情緒溢れる内容であるにも関わらず、本作がとても魅力的なのは、猪鹿蝶を巡る事情が現代の女性にも通じているというところ。
若い頃は自由に生きて輝いていたのに、30を過ぎていつの間にか輝きがなくなり、くすんでいる自分がいる。
仕事や子育て、嫁姑関係と毎日必死に頑張っているのに、誰も褒めてはくれないし、なんだか頑張っている甲斐がない。
本作の猪鹿蝶のもやもやした悩みや境遇は現代の女性たちの状況とリンクし、いつの間にか3人に感情移入してしまいます。
第1話では、若い娘旅のグループに騙された挙句、「おばさん」とバカにされ、母親と同世代くらいの女流しに対して「いい年して、ああはなりたくない」と呟いていた3人。
若くもなく、でもまだ年老いてもいない30代。若さと老いの狭間で揺れ動く30代特有の葛藤もコミカルに描いてくれるので、自分のことのように共感しつつもクスっと笑いながら観ることができます。
また気風のいい男グループとの一期一会の出会いや宿場ごとの美味しいグルメなど、女子旅に欠かせないポイントもたびたび登場するので、3人と一緒に旅をしている気分にも。
時代劇によくある言葉遣いのセリフがないので、普通のドラマと同じようにとても観やすく、スっと物語の中に惹き込まれます。
始まったばかりの旅で早速一文無しになった猪鹿蝶の3人は…
第2話は11月3日(土)放送。娘旅のグループに騙され、一文無しになってしまった猪鹿蝶の3人は、小田原でとある夫婦と出会います。
その夫婦の営む茶屋を手伝いながら、旅人相手の足裏按摩でお金を稼ぐことに。しかし、この夫婦にも他人には言えない事情があり…。
今後は滝沢秀明さんや舘ひろしさんなど、毎話に豪華ゲストが登場。
旅行に行きたいけどなかなか行けない方は、本作を観て、3人と一緒にお伊勢に旅している気分を味わってみては?
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