予定日を間近に控えた、お盆最終日。
私は夢を見ました。
眼鏡をかけた中年の助産師さんが小さな男の子を抱きながら「4時間半~6時間で生まれたね。3100gの元気な男の子だよ。」と言いました。
周りを見ると、出産に立ち会ってもらう予定の旦那と実母、実妹が居て、温かく柔らかくて頼りなさげな赤ちゃんを渡された私は、「どうやって抱っこしたらいいんですか?!」と、あたふたしていました。
なんともリアルな夢で、目が覚めても、まだ見ぬ出産を終えたかのような疲労感がありま
した。
普段からツルっと生まれておいでよーと声をかけていたので、安産の良い夢を見たのかと思いながら時計を見ると、3:30。
まだそれくらいか~・・と目を閉じました。
朝起きて、感覚や情景をあまりに鮮明に覚えていたので、家族に事細かに話しました。
前区陣痛もあり、トイレに行くと、おしるしがきて、「あ、もう来るよって教えてくれて
いるんだ」と感じながら、家族とお盆を過ごしました。
無事生まれるように見守っててね。頑張るからね。とご先祖様に伝え、いつ陣痛が来てもいいようにとすぐシャワーを浴び、入院準備の確認をし、久々に会う従兄弟たちと話そうとゴロンと横になって5分・・・
パンッ!
と音がし、隣にいた妹に「何の音?」って聞くや否や、徐々に股から生温かいものが・・
止めようとしても止まらない。
破水だ!!と思うとともに、あまりに流れ続けているからどうしようもなく、「破水したっぽいー!」とケラケラ笑っていました。
みんな目が点・・からの大騒ぎで、母はバスタオルでぐるぐる巻いてくれ、私は病院へ電
話、兄が旦那に電話をしてくれ、父と妹は「何がいる?!」と慌て、それを叔母がムービ
ーで撮ってくれていました(笑)。
すぐに病院に来てくださいと看護師さんに言われました。
入院準備をさっきしたところだったので、防水シーツを自分で車に敷き、あれやこれやと指示を出しながら、元気なまま母と妹に付き添われ病院へ。
思ったより冷静でいる自分に、家族も自分自身もビックリでした。
病院へつき内診をし、2cm開いているので朝の10時ごろには生まれるでしょう。と先生に言われ、とりあえず陣痛の間隔を見てみようと機械に繋がれました。
カーテン越しに人がいるのがわかり、声を出さないよう小さく長く息を吐き、痛みを逃し
ていました。
20分くらい繋ぐね、と言われてから気がつけば1時間経過していました。どうやら進みが早かったらしく外すに外せなかったそうです。
その後内診で、まだ5cmだから一旦部屋に行こう。と、病院に到着した旦那も一緒に病室で待つことになりました。
陣痛アプリで間隔をみると2・3分。その間、赤ちゃんまだ出ないだろうと慎重にトイレに行ったり、ビデオを向けてくる妹に愛想したり。
思ったより凶暴にならんなー。絶対罵声浴びせられると思ったわ―!とケラケラ笑う旦那と妹・・・言い返す元気はなく、一人静かに痛みと闘っていました。
すると赤ちゃんが降りてくる感覚があり、内診をしてもらうと子宮口7cm。
このまま陣痛室で待とうね!と言われ、旦那と陣痛室へ移動しました。
この頃には間隔も短くなり、痛さも激しくなり、喋る余裕はなかったけど、赤ちゃんがぐっと降りてくる感覚が「赤ちゃんも頑張ってる!」と私を勇気づけてくれました。
旦那が張りきって拳で押してくれるものの(※私はテニスボールが合わなかったので・・)「そこじゃないんよなー・・」と心で思いつつ、頑張ってくれている旦那に身を任せたまま、時間が過ぎていきました。
そろそろかと、部屋で待っていた母を呼んでもらい、赤ちゃんがメリリっと降りてきたとき便意に似た感覚があったと伝え、ナースコールをしてもらいました。
母「う○ち出そうみたいです!!」
助産師「はい、すぐ行きます!!」
母の言い方に、そんなストレートに言う?もう少しオブラートに包んでよ・・と冷静に思ったのを覚えています・・(笑)。
子宮口が全開だったため、分娩室に移動するよう言われたけれど、その時には痛くて痛くて・・・
元々子供のころから武道をしていたため、忍耐力と体力はあるほうだと思っていましたが、今まで以上の痛さに「痛い、痛い・・」と漏らすと、「今よりもっと痛くなるよ!動けるときに移動するよ!!」とまさかの助産師さんからの渇!!
痛いよね、頑張ろうねって言ってくれる助産師さんを想像していたものの・・
男前な助産師さんのおかげで弱音も吹き飛び、気合が入りそそくさと移動し、自ら分娩台によじ登りました。
いきみ逃がしの時に声が出てしまい、痛-いーーって唸っていると、助産師さんが「声出さないよ!私が言うようにすれば、一番早い方法で出産させてあげるから!」と言われ、目が覚めたようにまたも気合が入り、冷静に出産に臨めました。
冷静すぎて、横に立って励ましてくれていた旦那に「そんなに見ないで・・」とまさかの拒否(笑)。
まだそんなに余裕あるの?と母、妹に笑われました。
赤ちゃんがメリメリと下がって、頭が出てきた時に息が続かなくなり一度はさんでしまったりしたけど、「次で出す!あともう1回頑張ろう!」と心で赤ちゃんに誓い、再度挑戦。
・・ヌポンッ!!と想像以上の勢いで出てきて、すぐ泣き始めた息子を見て一安心しました。
胸に抱いた時の温かさ、柔らかさ、頼りなさ。
時計は3:07を指していて、「5時間か、初産婦にしては早かったね!よく頑張ったね!」と言っていくれた助産師さんは、私に渇を入れてくれた、中年の眼鏡をかけた男前な女性でした。
私が強くデジャブを感じるとともに、夢を知っていた家族も、時間だけでなく、助産師さんまで夢通りで本当に驚いていました。
出生体重は見た夢とは100gほどの誤差があったけど、ほぼ夢通りに安産で生まれてくれ、母体にも負担が少なく、母親思いの息子だなーと感謝しています。
息子を授かる前から、不思議と何度も男の子を抱く夢を見ていて、僕が行くよって教えてくれていたように感じます。
夢のおかげで、私は安産だと思い込む事ができたので、不安も比較的少なく出産を楽しみに待つことができた、不思議で幸せな出産でした。
ライター:かんちゃん