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公開 2018年11月06日  

とにかく早かった。第二子で経験したスピード出産<投稿コンテストNo.57>

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第二子の出産で、スピード出産を経験したさちさん。その時の実況中継さながらの体験談です。

出典:http://amanaimages.com/info/infoRF.aspx?SearchKey=10387001019

>【第一話】から読む


これは、私が体験した第二子となる女の子を里帰り出産した時の話です。

上の子は2歳。

ヤンチャ盛りな男の子で、妊娠中は体がついていかずに憂鬱な時期も多かったため、待ちに待った臨月は、すでにゴールを迎えたかのような晴れ晴れとした気持ちでいっぱいに!

とはいえ、もちろん出産に対して一抹の不安も…。

なぜなら、1人目の出産のときは、予定日を2日超過した日の妊婦健診で、子宮口の開きと定期的なお腹の張りがあったためそのまま入院。

助産師さんに促され、病院の中を歩き回っているうちに「気付いたら陣痛が始まっていた」という流れだったので、自分自身で出産の兆候をしっかり捉えて無事に病院へ辿り着くことができるだろうか?!と戦々恐々でした。

それに加えて、実家から病院まで車で40分ほどかかること、健診のたびに先生から「何かのキッカケで陣痛が来たらスルッとすぐ産まれそうだね〜」と言われ続けたことが、わたしの不安を更に煽っていました。


そして迎えた予定日前夜。

ちょうどこの日は休日で、主人が実家へ来てくれていたので「今夜産まれたらいいね〜」なんて話しつつも、内心は「これはまた予定日超過で事前に入院のパターンか?!」と半ば期待していた私。

22時過ぎに就寝したのち、0時を過ぎ、日付が予定日当日に変わって間もなく、ふと目が覚めて寝返りを打った瞬間…。

「ゴボッ!」と、まるで水の中に空気が漏れ出したような音がお腹の右側から聞こえたかと思うと、お尻に違和感が。

急いで起き上がり確認すると、漏れた自覚がないのにパジャマが少し湿っている…。

「破水だっっ!」そう判断した私はまず実母の元へ行き、事情を説明してから病院へ連絡。

名前と症状を伝えると「準備をしてすぐに来てください」と。

そのあと、「痛みはまだないですか?」と確認され「まだないです」と言うと、少し安心したように「そう、じゃあ気を付けてきてくださいね」と声をかけてくれました。


すぐに濡れたズボンと下着を着替え、寝ている息子を実母へ託し、姉の運転する車で主人とともに病院へ向かいました。


発車してすぐ、振動で刺激されたのか車の中で陣痛開始。

このとき時刻は0時30分―

呼吸を整えて陣痛に耐えていると、姉が異変に気付きます。

「陣痛の間隔、もう1分もないよね?」

そう。陣痛が始まってすぐ、まさかの1分間隔!

私も車の中の時計を見て確認すると、ハッキリとした強弱はあるものの、確かに1分もせず次々と波が!

幸いだったのは、痛みの程度がまだ弱かったため、冷静でいられたこと。

1人目のときの本陣痛に比べればまだまだ序の口。

間隔が短いとはいえ、「この痛みじゃまだ産まれないだろう」と思っていました。

姉とお喋りする余裕もありつつ、ようやく病院に到着すると、時刻は午前1時を回っていました。

電話口で対応してくれた看護師さんが出迎えてくれたのですが、痛がる私を見て様子が一変。

「あれ?もしかして陣痛始まった?さっきは痛くないって言ってたよね?!」

車で痛みが始まったと伝えると「そっか、じゃあまずすぐに内診しよう!」と診察室へ。

すると、さらに看護師さんが慌てだし、

「もう卵膜がすぐそこにあるね!破水はしてないみたいだけど…今破水したら産まれちゃうかも。分娩台行こう!」

陣痛室をすっ飛ばし、すぐに分娩台へ上がると助産師さんもバタバタと準備を始めながら「まだ先生と連絡とれてないの〜頑張って呼吸しててね!」と励ましてくれました。

とはいえ、スタッフさんの慌ただしさと裏腹に、私はまだまだ余裕だったので…

「え、もう分娩台上がるのか〜ここから何時間も分娩台とか嫌だな〜あの体勢疲れるんだよなぁ」

「まだ陣痛室でいいのになぁ」

「破水じゃなかったのなら、さっきのアレはなんだったんだろう?でもすぐ陣痛きたし、間違ってても早めに連絡してて良かったよな〜ラッキー」

なんて甘いことを思っていました。


この時点で午前1時15分を過ぎ、点滴やらなにやら準備が完了したところで助産師さんが一言。

「試しにいきんでみようか」

「え?試しに?!試しってなに?どこまで力入れていいの?てゆーか、先生いないけどいきんじゃって大丈夫?!」と、ここで初めて焦りを感じるわたし。

恐る恐るお腹に力を入れてみると、水が滴る感触が。

「破水したね〜よし、じゃあもう1回行くよ〜」

この時ですら、痛みの間隔は短いもののまだ余裕はあったので、周りの様子を見ながらもう1度恐る恐るいきんでいるところへようやく先生が登場。


「あ、先生きた。良かったー」と気を取られてしまったせいか、一瞬わたしの力が緩んだようで横にいた看護師さんが慌ててお腹の上の方をぐっと押したかと思うと、助産師さんも慌てて、

「頑張って!もう半分出てきてるよ!」

「…って、えぇぇぇぇぇー!?こんな感じで産まれそうだったの???」

まさかの事態にようやく事態を重く受け止め、そのまま本意気でいきむとすぐ、ズルっとした感覚とともに分娩室に元気な泣き声が響きました。

「おめでとうございます!」

誕生直後に分娩室に呼ばれてきた主人も「え?もう?早かったですね!?」と、驚きを隠せない様子。

当の本人も、我が子の誕生に感動すらしたものの、展開が早すぎて、産後の処置を施されてる間も出産を終えた実感がなくて不思議な気持ちでした。

最後に先生は、「ほらね?言った通りすぐ産まれたでしょう?」とドヤ顔をしたあとで、「じゃ!お疲れ様!」と颯爽と去って行きました。

まさかのウルトラスーパー安産。

多少裂けてはいたものの、会陰切開もなく、体力の消耗も最小限だったためか、産後の回復も早くて有り難い限り。

とはいえ、助産師さんの後日談では、安産が故のリスクのお話も。

「羊水が濁っていたから、赤ちゃんお腹の中で少し苦しかったみたい。あと少し到着が遅かったら、車の中で産まれていてもおかしくなかった。危なかったね」

まさに出産は表裏一体。ひとつひとつが奇跡で出来ているんだなぁ、と感慨深くなりました。

ちなみに、わたしが破水だと勘違いしたものの正体は、実は「おりもの」だったそうで。

出産が近づき子宮口が開いて、粘膜栓と呼ばれるおりものの塊が流れ出たときに、水っぽいおりものも一緒にたくさん出てきたため、そう感じたのではないか?とのこと。

なにはともあれ、間に合って本当に良かった…。

あっという間だったけど、きっといつまでも記憶に残るようなお産でした。


ライター:さち

※ この記事は2024年12月14日に再公開された記事です。

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連載「第一回 記事投稿コンテスト 『出産』」 #57
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