ハイレベルな「寝ない子育児」を3人実践!あえて語る"楽しかった記憶"のタイトル画像
公開 2019年11月28日  

ハイレベルな「寝ない子育児」を3人実践!あえて語る"楽しかった記憶"

26,851 View

とにかく寝てくれなかった長男・長女・次女三人を育てた『激闘!寝かしつけ』の記録。お役立ち知識は皆無です。


case1 長男の「寝ない」

今はもう10歳になっているウチの長男は乳児期、本気で眠らなかった。

思い返せば、 出産直後の産婦人科での母子同室中に既に不穏な空気は流れていた。

お隣の新生児ちゃんが、あの透明な新生児用コットの中ですやすや眠っていると言うのに

うちの長男は

「そんなとこに俺は入らん。」

という固い決意があるのかどうかは知らないが、ずっと新米母である私の腕の中でしか眠らない。

私は心から

「思ってたんと違う」

と叫びたかったが、そこは病室。

無音で耐えた。

そして『赤ちゃんて夜もっとすやすや眠るんじゃないの?紙おむつのCMみたいに!』

と思って内心、泣いた。

腕の中の息子は生後数日にして反抗期か何なのか、眉間にしわを寄せ、まだ供給量の少ない私の乳に噛み付いているか、抱っこしてユラユラ揺れていないと断固として眠らない。

おかげでは私は、産婦人科入院の段階で裸族となった。

乳を仕舞う隙が無い。

時、春まだ浅き3月。

寒いがな。

新生児の癖に反抗期真っ盛りな息子は、結局退院まで不機嫌のまま、退院した。



とにかく何をしても寝てくれない 反抗期赤ちゃん

その気難しい息子は自宅に帰っても裸族の母を更に翻弄する。

抱いてないと寝ないを通り越して、寝ない。

じゃあ起きているのかと言われたらそうでもなく、半分寝ているような感じで反り返って泣きわめくので、こちらもどうしていいのやら。

夜中は1時間毎に起きる上、ひたすら授乳を繰り返さないと怒って泣く。

息子は哺乳瓶という哺乳瓶を全拒否していて、授乳を夫に交代という技を使えなかった。

そうなると母は一体いつ寝れば良いのか。

ええと、こういうのはプレママ教室でやりましたっけ?

沐浴の仕方とかオムツの替え方はいいから。

「いいか!お前ら!赤ん坊は寝ないぞ」
「オーケー歯を食いしばれ!」
「抱っこして授乳して夜を凌ぐんだ」

とか屈強な元海兵隊員にこのサバイバル寝かしつけを訓練して貰っておくべきだったのでは。

もう後の祭りだけど。

そして私は、無知な新米母にとって、結構な難易度の新生児を抱えてしまった苦境を、生後1ヶ月の新生児訪問の保健師さんに訴えまくった。

「あかりを暗くしてる?」
「落ち着く音楽は?」
「スリングで抱っこしては」

打開策を色々提案してもらったが、すでに部屋の隅には息子に通用しなかったベビーメリーとか赤ちゃんが寝てくれるオルゴールぬいぐるみとか各種スリングとかの残骸が、山盛りあった。

処置なし。

この時の保健師さんの気の毒そうな顔は忘れられない。

長男の『夜間1時間毎に起きて泣きわめく現象』は1歳過ぎまで続いた。

お陰様で息子の乳児期はいつもひたすら眠たくて、よく包丁で大根なんかと指をざっくりやっていた。

特に寝てくれなかった生後8か月頃に、8時にウトウトしていた長男の寝かしつけチャレンジに失敗しては、抱っこ、失敗しては抱っこを繰り返し、立って座って授乳しての半裸状態まま夜が明けてきてしまった時には、我が目を疑った。

1歳にもなっていないのにオールで騒ぐとか、なんという不良息子なのか。

それでも第一子育児で、知識が希薄だった私は「子ども育てるってみんな大変なんだなあ」と思って耐えた。

よく耐えた。

無知って怖い。

case2 長女の「寝ない」

そして息子が2歳5ヶ月を迎えて、やって来た第2子、長女。

息子程ではないが、寝なかった。

息子が1時間毎覚醒なら、娘は3時間毎覚醒というところか。

こういう算数の問題は見たことがある。

『2人が出会うのは、何時間後ですか?』

しかし、何時間後も何も、兄が泣けば妹も泣き、二人とも抱っこをしろと半目でせがんでくる。

なので仕方なく、長男をおんぶ、長女を抱っこでゆらゆらしていた。

2人とも布団に置くと泣き出すから。


頼みの夫はこの頃仕事が忙しすぎて、平日は家に居るのかいないのかよくわからない人になってしまっていた。

乳幼児2人と、夜中フラフラ歩き回る訳にも行かず、お腹を空かせたマレーグマよろしく、狭い家の中をウロウロしていた。

幼児乳児を抱えて部屋中を徘徊する、髪も衣類も乱れた女。

凄いホラー。

そしてつらい。

やっとやっと2人が布団で一晩眠ってくれるようになったのは、長女が2歳の直前、長男が幼稚園に入園し、天下御免で幼稚園の園庭で暴れまわるようになってからだった。

外でもっと遊ばせるべきだったのか、そういう年齢に達したのか、真意の程は今でも全然分からない。

兎に角2人目も母は耐えた。

偉いぞ私。


case3 次女の「寝ない」

そんな『寝ない子修羅場』を掻いくぐった私は、ちっとも懲りずに3人目を妊娠。

第3子誕生の際には

「どんな子の寝かしつけド修羅場もお任せを」

という特殊部隊的な心持ちだった。


しかしそんな寝かしつけ経験値エリートの母の元にやって来たのは

「出生後、即NICU入院を要す」

心臓疾患児の次女だった。

超肩透かし。

その上悲しい。

昼間は面会時間いっぱいNICUの次女に張り付いていたが、夜はナースによる寝かしつけが敢行され、じゃあ楽ですねママ夜は寝られますね、と思いきや。

心配で寝られない。

お母さんは心配性。

何しろ相手は病児、いつ何時NICUから『娘さんの容態が!』と連絡があるかもしれないと思うと

心配で心配で2、3時間毎にむっくり起きては携帯を覗き込む始末。

その上、毎日次女の元に持参する母乳確保の為に3時間毎の搾乳そして母乳を冷凍、搾乳器具は洗浄というNICUママの最大ミッションもあり。

全然眠れへんやないかいコレ。

そして当の次女は入院先のNICUで『新生児・乳児を取り扱ってウン十年!』というベテランマザー看護師の元、すやすやと眠りについていた。

のかと言えば

「私、夜勤中次女ちゃん抱きながら看護記録PCで打ってた」

「一番ベテランのMさんが『次女ちゃんいい加減にして!』って叫んでた」

「コットより、ベビーラックよりナースの腕の中の滞在時間が一番長い」

「背中に高性能のセンサーが付いてる。どんな猛者でもコットに置けない」

という皆さんからのお喜びの声!..じゃなくて次女の悪行の報告が面会時にナースから届いた。

「も、申し訳ねえ」

年貢米を納められない村人並みに低頭平身お詫びを申し上げる。

寝ない子って本当に寝ないなー!
プロの手にかかってもあかんのか。

半ば呆れ、半ば感心した。


何なんだウチの子ども達は。
そろいもそろって。

この私の身を呈した検証から、もし私が子育て三大お悩み『寝ない子』について、おこがましくも後輩のママ達にお伝えする事があるとするなら

「赤ちゃんが寝ないの、多分ママのせいじゃ無いよ!」

という事だけです。

寝ない子は本当に寝ないよね!

威張っていう事程のでもないけど。

ひとつだけある楽しい思い出『寝ない子だれだ集会』

私の『激闘!赤ん坊寝かしつけ三番勝負』は第一子誕生から10年の年月を経て、来月2歳になろうとしている末っ子で終わりを迎えてようとしているけれど

負けっぱなしのこの勝負、楽しかった思い出もある。

それは次女が、小児病棟に入院してから1ヶ月程が経った、生後3ヶ月頃。

次女は相変わらず、眠らなかった。

患児が心不全を起こそうが何をしようが、そうそう動じない超冷静沈着な主治医に

「ホンマよう泣く子やなぁ..」

と呆れられるレベルで、昼夜を問わず泣き喚いていた。

病室にある大きな柵付きのベッドにも、特別にナースステーションから貸し出してくれた電動のスイングラックにも次女を置く事がままならない。

泣き続ける次女を4人部屋に置いておくことが忍びなく、抱っこして病棟中を徘徊した。

すると、同じように寝かしつけ徘徊中の乳児ママに何人か出会った。

私たちは縦横にユラユラ揺れながら、とりとめのない愚痴をこぼしあった。

「家で一人で寝かしつけてるとつらい!」
「わかる、誰かと話ししてると全然まだマシ」
「これ..いつ頃からよく寝るようになるの?」
「いやー、悲しいお知らせだけどウチの上の子幼稚園児だけどまだ夜起きるよ」


そして通りすがりの夜勤のナースに

「何の集会や!?」

と笑われたりした。

『寝ない子だれだ』集会。

思えばあれは、楽しかった。


同志が傍にあるという事は心強い。

結局寝ない子と地頭には勝てなかったが。

それも3人全員全敗。

出来たら寝かしつけ担当者の傍には伴走者が居てくれたらいいなと思う。

あの病棟みたいに。

それだけで気持ちが全然違う。

それは、今これを読んでいる貴方のパートナーでも、おじいちゃんでもおばあちゃんでも、誰でもいい。

一緒に困って、愚痴を言い合い、抱っこを数時間交代して、一緒に困ってくれているだけでもとても気持ちが軽くなる。

そうだよねと、これを書いている深夜、傍ですやすやと眠っている筈の次女の方を見やると

次女がニコッと私を見つめ返した。

「ママ!オチャ!」

起きとるんかい。

寝ない子との戦いは今日もまだ続く。

もう、いいから寝て。


※ この記事は2024年10月03日に再公開された記事です。

Share!

毎日嵐でございますのタイトル画像
毎日嵐でございます #1
きなこのタイトル画像 きなこ