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公開 2020年03月18日  

関根勤さんが思春期の娘に伝えた「父の覚悟」。全力でやり切った子育て

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かわいい孫娘に囲まれ「今が人生の最盛期」と語る関根勤さん。「同じくらいかわいかった」という一人娘の麻里さんの幼い頃は、毎日ひたすら笑わせる育児を実践していたそうです。そこには父としての大きな覚悟が秘められていました。インタビュー前編をお届けします。


毎日本気で遊んでいた


―― 麻里さんの子どもの頃は、毎日一緒に遊んでいたそうですね。

僕は子どもが大好きで、結婚したのも父親になりたかったからです。

妻の妊娠がわかったときはうれしくて、麻里が生まれたときには、天にも昇る気持ちでした。

当時は仕事が週に2日しかなかったので、娘とずっと遊び暮らしていました。

麻里も「小さい頃の記憶は笑っていたことだけ」と話すほど。

とにかく笑わせて、疲れ果てて眠るという毎日でした。


―― クタクタになるまで、2人でどんな遊びをしていたんですか?

お風呂に入るときは、麻里の目の前でお尻をふる「ケツケツダンス」、浴室の入り口をいろんなポーズで横切る僕を麻里がお風呂から見る「フライング裸」、お尻がどんぶらこっこと流れてくる「桃太郎ごっこ」など、基本的には尻ネタです。

夜は桃太郎のお話をアレンジして寝かしつけていました。

「おばあさんが川で洗濯をしていると、桃が流れてきて、なんとそれは花咲じいさんのお尻でした」とかね。

いつもより先の枝に花を咲かせようとしたら、落ちちゃったという設定にして。

伝えたかったのは、「桃太郎も花咲じいさんも、同じ時代に生きていたかもしれないんだ。枠にとらわれるな!」という人生教訓です(笑)。

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その後、桃を持ち帰ったおじいさんとおばあさんが包丁ではなく刀で桃を切ったら、桃太郎が桃の中で真剣白刃取りをしていたり。

毎回ギャグをアレンジして足していくうちに、最終的に40分の大作になりました。

麻里がゲラゲラ笑ってくれるから、うれしくてどんどんエスカレートしていくんです。


―― 楽しい入眠儀式ですね(笑)。

「乳首探しゲーム」もよくやりました。

僕はロボット役だから電子音で「右ノ、チクビヲ、サガセ」と言うと、麻里が服の上から「ここだ!」って当てる。

外れたら「ブー!」、当たれば「ピンポーン!」。それを延々と繰り返すわけです。

しつこいから僕も疲れて、ロボットが壊れたフリをする。

すると麻里は「あれ、壊れたのかな?」って僕の首を持ち上げて、うなじの辺りをガチャガチャ動かして、「よし直った!」ってまたやらせるの。

子どもの方が一枚上手です。

毎日本気で遊んでいましたね。

仕事柄、自分の娘を笑わせられない人が、人様を笑わせられるのかというチャレンジの気持ちもありました。


今日という日は二度と来ない


―― 毎日本気で子どもと遊ぶって、大変なときもありますよね?

仕事から疲れて帰ってきたときは、玄関のドアの前でためらうこともありました。

でも、「今日という日はもう二度と来ないんだ。今日しかないんだ」って、自分自身に言い聞かせて、「よし! 頑張って笑わせるぞ」とドアを開けていました。

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僕はお酒を飲まないし、麻雀も賭け事もやらないから、仕事帰りに仲間から誘われることもあまりなかった。

仕事が終わったらいつも家に直帰していましたね。


―― その後、ご自身のお仕事も忙しくなられたのでは?

麻里が中学生になって親離れをし始めた頃に、僕の仕事もだんだん忙しくなり、おふざけは少しずつ減りましたね。

世間一般のお父さんは、子どもが小さい頃は働き盛りで忙しく、仕事が落ち着いた頃に娘が年頃になって「結婚します」なんて聞くから寂しくなっちゃうのかもしれません。

僕はその真逆で、ラッキーでした。

全力で子育てをして、すべてを出し切った。

やり切った感がありました。

だから麻里が年頃になったときは、「素敵な彼氏ができるといいな」と心から願えましたし、結婚が決まったときも素直に喜べました。

孫が生まれた今が人生の最盛期

―― そして今度は孫育てが始まったんですね。

子育てが終わり、燃え尽き症候群になるタイミングで今度は孫。うれしかったですね。

今、上の孫は4歳ですが、麻里のときと同じようにおふざけをして遊んでいます。

ちょっと性格が違いますけど、デジャブのような感覚です。

かわいがって育てた娘が生んだ孫ですから、まさにかわいさのダブルバーガー。

今が僕の人生の最盛期です。

麻里も2〜6歳くらいが一番かわいくて面白かったなぁ。

この時期がかわいさのチャンピオンですよね。

孫は最初、「ママ」「パパ」「ばぁば」は言えたのに、「じぃじ」だけが言えずに「ドゥドゥ」だったんです。

それから僕はずっとドゥドゥ。

先日孫のお友達と遊んでいたら、「おじいちゃん」と言われてギョッとしました。

「え?僕、おじいちゃんなの?」って。自分はドゥドゥだと思ってますから……。

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―― お近くに住んでいるんでしょうか?

歩いて5分くらいの場所に住んでいます。

朝、顔を見に行って、仕事帰りにまた遊びに行く日もあるくらい、しょっちゅう行き来しています。

お婿さんのK君もふくめて仲良くしているので、遠慮なく遊びに行ってますね。


―― 麻里さんファミリーとお出かけもされますか?

よく行きますよ。マザー牧場とかドイツ村とか、いろんなところへ行きました。

横浜のアンパンマンミュージアムにも3回くらい行ったなぁ。
ディズニーランドの年間パスポートは、麻里に買わされました。

年パスを持っていると、パレードだけ見に行ったり、贅沢な使い方ができていいですね。

独身の頃は、乗り物に1時間並ぶのは苦痛だったけど、孫と一緒だと全然平気。僕も丸くなったんだと思います。

車も近いうちに全員で乗れるようなファミリーカーに買い換える予定です。


―― お孫さんにはかなり甘いおじいちゃんでしょうか……?

甘々です。

「何でも買い与えたらダメ!」「ガチャガチャは1回まで」と、麻里に叱られています。

麻里は結構甘やかして育てたと思いますけど、親になったらしっかりしています。妻の教育の賜物でしょうね。

「買わない・妥協しない・甘やかさない」という方針で、ごねる子どもと根気強く交渉してますよ。


頭ごなしに怒ることだけはしなかった

―― ご自身の子育てと今の孫育てで、時代の差を感じることはありますか?

やっぱり遊びにスマホやPCなどの電子機器が入ってきたことでしょうか。

絵本も日本の昔話より、ディズニーや英語の絵本が多いです。

麻里がインターナショナル・スクールに通っていた影響もありますが。

僕の桃太郎の話だけは、麻里から孫へ伝統芸として受け継いでほしいですけどね(笑)。

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―― 麻里さんをインターナショナル・スクールに入れたのは理由が?

「これからの時代は英語が大事」と夫婦で考えたことが、一番の理由でした。

僕がテレビに出ていることを知っている人が少なかったのも良かったですね。

おかげで特別扱いされたり、いじめられることはなかったようです。

学校行事に参加しても、僕は関根勤ではなく「麻里パパ」として見られる。

彼女を中心にした関係で、とても居心地がよかったです。


―― 子育て中に気をつけていたことはありますか?

頭ごなしにものを言うのではなく、きちんと説明して伝えようと思っていました。

麻里が小学生のとき、「勉強がつまらない」と言った時期があって。

僕も勉強は大嫌いでしたから、「つまんないよな〜」「徳川将軍の名前なんて全部覚えられないよな?」「十字軍がどこ行ったかなんて大体でいいじゃんな?」と、まずは一緒になって文句を言って共感しました。

でも僕は勉強をサボったことで、社会に出てから遠回りしたり、学び直したりして大変な思いをしました。

以前読んだ倫理社会の本に、印象的な話が載っていました。

人間の器は三角形の面積に似ている。

底辺は才能で、高さは努力。

才能がある人は底辺は広いけど、努力しなければ面積は小さいまま。

でも才能がなくても、自分にできる目一杯の努力をすれば、面積を最大限に広げられると。


僕は麻里に、努力の大切さを伝えたかった。それに、僕が年を取ってから気づいた教養や知性の大切さも。

言語や歴史、物理、数学的発想……脳のあらゆる分野を鍛えておけば、麻里が将来なにかやりたいと思ったとき、他の分野の知識がサポートしてくれるよ、と説明したんです。


―― 説得力がありますね。

授業の45分間も、子どもにとっては長いですよね。興味がなければなおさら。

でも、社会に出ればもっと大変なことはいっぱいある。

上司のつまらないダジャレに1日中、付き合わないといけなかったり……そのほうがつらくて大変だよ。

そのための忍耐力を養う修行だと思えばいいよと話したら、不平不満は言わなくなりましたね。

僕自身がダメな人だったから、勉強を嫌がる気持ちはとてもよくわかるんです。

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すばらしい親を演じなくてもいい

―― 親のダメな部分が、子育てにプラスになることもあるんでしょうか。

勉強ができて、社会的地位もあって、強くてカッコいいお父さんは自慢できますけど、子どもにとっては、つらいときがあるかもしれません。

そんな風に完璧に見えるお父さんが、実は変なフィギュアを集めていたり、お笑いのネタを練習していたり……ちょっと抜けた部分がある人だと、子どももホッとできますよね。


―― 一緒にふざけられるくらいがいいのでしょうね。

子どもって「うんち」とか「おちんちん」とか言うのが好きでしょう。

アニメやバラエティ番組でも、そうした下品な描写があると心配する親御さんもいるみたいだけど、そんな浅い部分で子どもに影響はありませんよ。

本当に心配なのは、暴力的な描写のほうじゃないかな。

思春期になったら、男の子はエッチな本を見始めるのは当然。

「あんたも一人前になったね」と喜んだらいい。


無理にふたをしたり、隠す必要はないですよ。

だって両親が愛し合って自分が生まれたんですから。

それを否定したら自分の存在を否定することになりますからね。


―― 毎日お尻ネタで笑いころげて育った麻里さんも、素敵な女性に成長されましたからね。

子どもの前ですばらしい親を演じなくていいと思います。

ダメな部分もどんどん出したらいい。

親が立派すぎないほうが、子どもの自己肯定感は育つかもしれませんね。


あと僕は、麻里が小学4年生の頃にはっきり言いました。

「お父さんは麻里のためなら死ねる」と。

『愛と誠』という漫画の主人公の名セリフ「君のためなら死ねる」になぞらえて。

麻里はきょとんとしてましたけど。

もし麻里の心臓が弱って、主治医に「お父さんの心臓を移植するしかありません。どうしますか?」と聞かれたら、「どうし……」を聞いたところで「お願いします!」と言うよと。

それくらいの覚悟で僕は生きているんだと。


だから学校でいじめられたり、嫌なことがあったとき、親に心配をかけたくないなんて考えないで、何でも言ってほしい。

一人で悩まず、お父さんとお母さんの知恵も一緒にしぼって、解決していこうと言いました。

ちょうど学校のこともあまり話さなくなって、大人への入り口に差しかかったかなと感じた頃。

これは伝えておいたほうがいいなと思ったんです。


プロフィール
関根勤
1953年生まれ。東京都出身。浅井企画所属。1974年、「ぎんざNOW」の素人コメディアン道場の初代チャンピオンになったことをきっかけに芸能界入り。人気番組「欽ちゃんのどこまでやるの⁉️」にて小堺一機と「コサキン」のコンビで一世を風靡。現在はバラエティ番組を中心に幅広く活躍中。娘はタレントの関根麻里さん。

後編はこちら

※ この記事は2024年10月20日に再公開された記事です。

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