人と関わるための基礎となる信頼感は、乳幼児期の愛着が土台になると言われています。
特に0~1歳の頃に、声をかけたり、微笑みかけたり、スキンシップをはかったりするなど子どもとコミュニケーションをたっぷりとり、親子が心のつながりを築くことが大切とされています。
また、泣いたり笑ったりなど、子どもから発せられる信号を敏感に察知し応えてあげるのも、愛着を形成する上で重要な過程。
言葉の発達とともにこの心の絆を基盤として、外の世界で人間関係を築いていけるようになります。
赤ちゃんから幼児に移行するにつれ、友だちとの関わり方はどのように変化していくのでしょうか。
人と関わる力の土台を育む時期である0~2歳、友だちとの関わりが増え始める3~5歳の友だちとの関わり方の変化を見ていきましょう。
赤ちゃん~幼児期、友だちとの関わり方はどのように変化する?
8,420 View子どもは成長とともに、一人遊びから友だちと一緒に過ごす時間が増えていきます。そんな中、子ども同士の交友関係を心配し過ぎてしまう親御さんも少なくないのではないでしょうか。この記事では、乳幼児期における友だちとの関わり方と、社会性が身につく頃でもある幼児期後期に、友だちとうまく関われない時に親ができることについて紹介します。
対人関係の広がりの基盤は家庭にある
人間関係が広がり、簡単なルールが分かるようになる幼児期
0~2歳の頃は友だちとの関わりというよりも、家族など親しい人との信頼関係をまず育み、楽しみを共有する経験が大切な時期にあります。
他者と関わるための準備期間であり、同じくらいの年齢の子ども同士を仲良く遊ばせるのは難しいかもしれません。
特に1歳後半から2歳になると、親やきょうだいなど信頼関係のある人と見知らぬ人との判別ができるようになり、人見知りを始める子も。
でもこれは特定の人との愛着が育っている証拠と言えるでしょう。
人間関係が広がり、簡単なルールが分かるようになってくるのは3歳以降で、友だちと遊ぶ機会が増え、少しずつ相手の気持ちを理解したり、感情をコントロールしたりできるようになります。
豊かな心や社会性は、特定の人との愛着を基盤に、人間関係が広がる時期にごく自然に身に着いていくものです。
子どもが自由に遊べて、何かあった時にいつも守ってくれる人がいるという安心感が身についていくと、友だちと関わる時期になった時に、不安を感じることなく、他者と関わっていくことができるようになるものです。
友だちとの関わりが増え、自我がはっきりしてくる3歳頃
2歳半~3歳頃になると、自我がはっきりして、自分でできることはやってみたいという自立心が芽生え始めます。
乳児期よりも友だちとの関わりも増えて、最初は一人だけで遊んでいたのが、みんなで遊ぶようになっていきます。
友だちのやっていることへ興味を持ち始めるものの、まだまだ安心できる人やものを見つけて過ごすことが多い時期でもあり、自分の思い通りにしたがるなど、物の取り合いなどのトラブルが出てくることもあります。
また自分から友だちと一緒に遊びたいという気持ちも高まります。
自分の思いを言葉で表現することも多くなり、友だちと一緒に遊ぶ楽しさが分かってくるようです。
甘えたい気持ちと自分でしたい気持ちの間で揺れ動く年齢であるため、思いが達成されないことで泣いたり怒ったりする場面も増えてきます。
これは成長の過程なので、手助けしたり、励ましたりしながらも、温かく見守ることが大切。
何度か友だちとのトラブルを経験していくうちに、人との距離感や友だちが何を嫌がり、どう伝えれば楽しく遊べるかが分かり始めるものです。
あまり焦らず、大らかな気持ちで気長に接していきたいものですね。
競争心とともに、思いやる心も芽生え始める4歳頃
4歳は身近な人の気持ちが分かるようになり、思いやる心や自分の気持ちに折り合いをつけることができるようになる頃。
また、今までなんとも思っていなかったことに対して、他人の評価が気になったり、他人と比較してみたりする時期でもあります。
友だちとの関わり方もだいぶ変わり、大人と遊ぶよりも友だちと関わることを好むようになります。
しかし大好きな友だちでも、時にはライバル。
自我が発達し、自分と相手との関係性を強く意識し始めると、「大好きだけれど、負けたくはない」という複雑な気持ちも見え隠れします。
競争心や思いやる心は、友だちを意識しているからこそ生まれるものです。
2、3歳児のケンカとは違い、自分の主張が強くあるため、ただなだめるだけでは納得しなくなっていきます。
まずは子どもの話に耳を傾け、言い分をしっかり聞いてあげることが大切。
気持ちを聞いてもらえれば、怒りも収まり、相手のことを考えられるようになるものです。
一方的に決めつけるのではなく、子ども自身の心が自然と変化していくまで、急かさず、じっと待ってあげましょう。
自ら気づいて判断できるよう、きっかけになり得る言葉を伝え、ただ見守るだけでいいのです。
互いを認め合い、自主性と協調性が身についていく5歳頃
5歳にもなると、お互いを認め合い、思いやりの心がより育ってきます。
集団で行動することが増える中で、ルールを守ることの大切さや友だちの話を聞く力が身についてくる頃でもあります。
自己主張がぶつかり合うこともありますが、自我を抑えて譲ることを学び、子ども同士で解決しようと奮闘するようにもなります。
友だちと過ごすようになると、楽しいことばかりではなく、さまざまなことが起こるものです。
協調性や自主性がより身についてくる時期ではありますが、集団の輪に入れなかったり、うまく関われなかったりすることも時としてあるかもしれません。
親からすると、遊んでいる子どもたちと比較して、協調性がないとネガティブに捉えてしまうかもしれません。
でも裏を返せば、好きなことにこだわりが持てるという長所であるとも言えます。
その長所を活かしながらも、友だちと関わる大切さを無理なく教えていくことが大切です。
実際は友だちと関われないわけではなく、自分だけの世界を楽しんでいる場合もあります。
せっかくの世界観を壊されてしまう方が、子どもにとってはマイナスでしかありません。
友だちと遊ばない理由に耳を傾け、強制することなく、子どもの主張を理解してあげるようにしましょう。
うまく関われない時に試してみたいこと
協調性がないことを子ども自身が気に病んでいる場合や、人とうまく関われない場合に試してみたいこととして、家庭内で無理のない課題を用意する方法があります。
社会生活はたくさんの他者との関わりによって始まります。
中には、保育園や幼稚園でお友だちや先生との関係からスタートする子どももいるでしょう。
でも周りとの関係づくりが苦手な子どもにとってはハードルが高すぎて、自己表現がなかなかできないということがあるものです。
子どもの意見や個性を尊重しながらも、友だちと遊ぶ楽しさを少しずつ教えていく意識を持つだけで十分。
周りの子どもとトラブルがあった時でも、「どうしてそうなっちゃったのかな?」、子どもが熱中している遊びがあれば「他の子に教えてあげたら喜ぶよ!」などと、子どもの目線に立って声がけしてあげるだけで、子どもの意識に変化が訪れるはずです。
もちろん子どもの興味のある習い事を習わせてあげるのもいいでしょう。
子どもの個性が失われてしまわないように、周りの評価や結果ばかりに振り回されることなく、子どもの歩幅に合わせた、友だちとの交流の機会を与えていきたいですね。
幼児期にコミュニケーションを養おう
幼児期は人間形成の基礎が作られる大事な時期。
人とうまく関わるためのコミュケーション能力は、幼児期のうちに養っていきたいものですね。
幼児期の子どもは大人との会話の中で、言葉をどんどん吸収していきます。
近しい大人が子どもの話に耳を傾け、最後まで話を聞いてくれるという安心感が、他者への信頼感を生み、言葉を使って表現する力の原動力になっていきます。
お友だちの輪にうまく入れないお子さんは、自分の要求が通らないことやお友だちとのトラブルを経験しながら、様子をうかがっているだけかもしれません。
そんな時に親は焦ることなく、おおらかに見守っていきたいものですね。
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