それではさっそく、生後1ヶ月の赤ちゃんの発育、発達についてみていきましょう。
生後1ヶ月の赤ちゃんは、生まれた時より身長が2.5~3.8センチメートル伸び、体重が680~907グラム増えるとされています。
ただ、生まれたときの体重や身長は、赤ちゃんによって異なります。
その後の成長具合も個人差があるため、上記に当てはまらないからといって不安になる必要はありません。
コミュニケーションも、生まれたときよりもはっきりとれるようになり、
「お腹が空いた」「疲れて眠りたい」「おむつが濡れている」
などの不快感を泣いて伝えるだけだった赤ちゃんも、ママの声に反応して笑顔をみせてくれることも出てくるでしょう。
また、生後1ヶ月の赤ちゃんはまだ、母乳やミルクしか口にしていません。
そのため、便は黄色~淡い茶色もしくは明るい緑色で、ゆるいでしょう。
回数は、母乳を飲むたびにうんちをする赤ちゃんもいれば、便秘気味という赤ちゃんもいます。
うんちが柔らかくても赤ちゃんが元気、便秘気味でも出ている、という状態であれば特に心配はいらないでしょう。
もし、気になるようであれば、遠慮せずに小児科を受診するようにしてください。
ママのおなかから出てきたばかりの生後1ヶ月の赤ちゃんは、慣れない環境に順応しようと頑張っています。
その過程で、さまざまなトラブルが生じる場合も。
いざというときに慌てないよう、よくある「こんな時はどうする?」をご紹介しましょう。
【あせも(汗疹)】
あせも(汗疹)は新陳代謝が活発な赤ちゃんによくある皮膚の炎症です。
汗をたくさんかいたり、角質で毛穴がふさがれて皮膚の表面に汗をうまく排出できなかった時に起こります。
夏場はエアコンを上手に使って汗をかかせすぎないようにし、汗をかいたらこまめにお風呂やシャワーで流しましょう。
石鹸で体を洗うのは1日1回までとし、汗疹予防に効果がある沐浴剤などを使うと便利です。
冬場は厚着させすぎないように気をつけ、赤ちゃんの衣服は「大人より1枚少なめ」を意識しましょう。
【乳児湿疹】
大人の皮膚の半分ほどの厚さしかない赤ちゃんの皮膚は、角質のバリア機能が未熟です。
ちょっとした刺激でも湿疹になりやすいため、刺激の少ない石鹸を選び、洗った後は赤ちゃん用のボディクリームなどで保湿するように心がけましょう。
【乳児脂漏性湿疹】
乳児脂漏性湿疹は、赤ちゃんの顔や頭にできやすい湿疹です。
生後1週間から見られ、1歳までの乳児期を過ぎれば治まることが多いようです。
ワセリンやオリーブオイルなどを塗ってかさぶたのような湿疹をふやかしたのちに入浴・洗髪すれば、きれいに洗い流せます。
【発熱】
部屋が暑い時や激しく泣いた後、母乳やミルクを飲んだあとの赤ちゃんは体温が高くなりがちです。
部屋の温度を下げることで体温も下がり、赤ちゃんが元気であれば特に心配ありません。
しかし、38.0℃以上の発熱があった場合は、すぐに病院を受診しましょう。
【目やに】
白~薄い黄色の目やにで、お湯でしぼったガーゼで軽く拭えばとれる程度ならそれほど心配はいりません。
おうちで様子を見てみましょう。
もし、結膜が充血している、発熱がある、緑色や膿が混ざったような目やにが大量に出ているようであれば、視力に問題をきたす可能性があるため眼科を受診しましょう。
また、目をあまり動かさないときなどは、夜間、休日問わずにすぐ受診してください。
【手足の痙攣】
神経の発達が未熟な赤ちゃんは、外からのちょっとした刺激で手足がピクピクと痙攣することがあります。
痙攣(身震い)とともに高熱が認められるときは、重い尿路感染の可能性もあるため受診しましょう。
【コリック(黄昏泣き)】
特に理由もないのに何時間も泣き止まないことをコリックといいます。
夕方によくみられるため黄昏泣きともいわれます。
生後2~4週間ころから生後3~4ヶ月まで続くことが多いようです。
もし、赤ちゃんが1日に3時間以上続けて泣いたり、1週間に3回以上泣いたりする症状が3週間ほど続くときは小児科を受診しましょう。
「乳幼児突然死症候群(SIDS)」という言葉を聞いたことがある人もいるかもしれません。
乳幼児突然死症候群(SIDS)とは、何の予兆も既往歴もないまま乳幼児が突然死にいたる病気のことです。
乳幼児の死亡原因として4番目に多く、平成30年には60名(概数)の乳幼児が乳幼児突然死症候群(SIDS)で亡くなっています。
乳幼児突然死症候群(SIDS)の原因はわかっていませんが、次ののポイントを守ることで発症率を下げられるというデータがあります。
・1歳になるまでは、うつ伏せではなくあおむけに寝かせる
・可能な限り母乳育児にトライする
・たばこをやめる
「赤ちゃんが生まれたらたばこをやめる」ではなく、妊娠中から周りの人もたばこをやめることが大切です。
つづいて、生後1ヶ月の赤ちゃんの授乳、ミルクについてご紹介します。
生後1ヶ月の赤ちゃんに与えるミルクの量は、1回約120ml、1日6~7回が目安です。
ただし、赤ちゃんの食欲には個人差があり、体調も日によって異なります。
赤ちゃんの機嫌がよいかどうか、健康で順調に発育しているかどうかをチェックしながら飲ませるようにしましょう。
授乳の後は、赤ちゃんの体を起こして背中をトントンたたき、ゲップさせるようにしましょう。
赤ちゃんは、ミルクと一緒に空気も飲みこんでしまいます。
おなかの中に空気がたまって苦しくなるとぐずりだしてしまったり、飲みこんだ空気と一緒にミルクを吐き戻してしまったりすることも。
そのため、左右のおっぱいを交代するときやミルクを飲み終わった後は、ゲップをさせてあげましょう。
ただし、おなかに空気がたまらずにミルクが飲めるとゲップは出ません。
ゲップをしないまま寝てしまって心配なときは、赤ちゃんを仰向けに寝かせず、体の右側を下にして寝かせるようにしましょう。
母乳で育てたいと思っていても、産後すぐにたっぷりの母乳が出るとは限りません。
母乳が出ないからといってあきらめず、赤ちゃんにおっぱいを吸ってもらって刺激を与えながら様子を見てください。
また、母乳はママの血液からできるものです。
そのため、母乳に必要な栄養が十分とれているかママの食生活を見直し、適度な運動と十分な睡眠で健康を保ちましょう。
どうしても母乳が出ない場合には、ミルクで育てるという方法もあります。
母乳にこだわりすぎず、肩の力を抜いて新生児期の赤ちゃんとの生活を楽しみましょう。
生後1ヶ月の赤ちゃんの寝かしつけは、いったいどうすれば良いのでしょうか。
生後1ヶ月の赤ちゃんは、1日14~17時間ほどの睡眠をとると言われています。
まとまった時間寝るのではなく、お腹がすいたら起き、授乳すると眠るなど、昼夜問わず数時間おきに寝たり起きたりを繰り返すのが一般的です。
成長とともに赤ちゃんの睡眠サイクルも大人に近づいてきますので、この時期は赤ちゃんが眠そうにしていたら寝かしつけるようにしましょう。
赤ちゃんの夜泣きの原因は、生活リズムがまだできていない、寝室の環境が整っていないなどの理由が原因とも考えられます。
赤ちゃんが安心して眠れる環境を整えましょう。
夜泣きしてしまった場合には、
・赤ちゃんをゆっくり揺らしてあげる
・赤ちゃんがリラックスできる音楽を流す
・優しく話しかけてママの声を聴かせてあげる
などしながら寝かしつけてみてください。
生後1ヶ月の赤ちゃんの過ごし方、お世話についてご紹介します。
赤ちゃんと快適に生活するためのポイントをご紹介します。
【生活リズム】
生後1ヶ月の赤ちゃんは、1~2時間起きては1~4時間眠るなど、数時間おきに覚醒と睡眠を繰り返します。
体内時計をつかさどるメラトニンが生後1ヶ月頃から分泌され、次第に朝と夜のリズムができてくると言われています。
【お風呂デビュー】
赤ちゃんのお風呂デビューはへその緒が完全に乾く生後1ヶ月頃が目安です。
赤ちゃんはまだ抵抗力が低いため、早すぎるお風呂デビューは控えましょう。
【おでかけデビュー】
赤ちゃんは免疫力が低いため、生後28日未満は外出を控えるべきとされています。
赤ちゃんの初めての外出は、1ヶ月検診になることが多いようです。
【生後1ヶ月の赤ちゃんに必要な生活グッズ】
お出かけデビュー前の生後1ヶ月の赤ちゃんに必要なグッズは次のとおりです。
・肌着、部屋着、スタイ
・おむつ、おしりふき
・ベビーバス、湯温計、赤ちゃん用石鹸、沐浴剤
・布団、おくるみ
・哺乳瓶、哺乳瓶用洗剤
【スキンケア】
薄くて弱い赤ちゃんの肌を守るため、ぬるめのお湯で優しく手洗いし、ベビーバスを出たらすぐに保湿をしましょう。
こまめなスキンケアが大切です。
視力はまだ弱いながらも、生後1ヶ月の赤ちゃんは赤色や縞模様、チェック模様、直線模様などを好みます。
明るくカラフルで模様のついたおもちゃなどで遊んであげると喜ぶでしょう。
また、赤ちゃんの前に座って優しく腕をとりパチパチ手をたたいたり、赤ちゃんの両足をもって自転車をこぐようにゆっくり動かしてみたりするのもおすすめです。
赤ちゃんの筋肉や運動機能の発達を促します。
最後に、産後1ヶ月のママの身体・生活についてご紹介します。
産後1ヶ月は、妊娠・出産前の体調に戻るために必要な時間ととらえ、急がず焦らず無理のない程度で日常生活を取り戻していきましょう。
赤ちゃんを母乳で育てるママの中には、乳腺炎と呼ばれるおっぱいの炎症が出てくる人もいます。
乳首ではなくおっぱいが痛む、発熱や吐き気などの症状が現れたら、産婦人科を受診しましょう。
産後1ヶ月は、まだまだ赤ちゃんのお世話と体調の回復に集中するようにしましょう。
食洗機やロボット掃除機などの家電を活用しつつ家事の手間を省き、適度な気分転換を心がけるのがおすすめです。
ファミリーサポートなどに登録しておくと、いざという時に助かります。
家事も育児も完璧を目指す必要はありません。
産後1ヶ月、体調の回復途中にあるママはまだ無理は禁物です。
昼夜問わず、短時間おきの授乳もあるため、可能であれば赤ちゃんと一緒にお昼寝をしましょう。
夜も早めに寝るようにし、意識的に体を休めるようにしてください。
産後1ヶ月、ママの体は回復してきますが、出産前のように家事や買い物などの用事が出来なくて当たり前です。
まだまだ無理は禁物な時期ですから、赤ちゃんの睡眠に合わせて短時間でも一緒に寝るようにしましょう。
この時期は、ママの体調回復と赤ちゃんのお世話を最優先に考えつつ、ゆったりした気持ちで過ごしてください。