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公開 2020年05月21日  

家族に挨拶はいらないと思っていた私を、180度変えたきっかけ<第四回投稿コンテストNO.20>

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「家族間では気を使わなくていい」という家庭で育ったママンレーヌさん。しかし今では、家族と交わす「おはよう」のやりとりをとても大切にするようになったそうです。



朝起きて、家族が顔を合わせたらまずおはよう。

夜、休むときはおやすみ。

当たり前な挨拶から一日が始まり、終える。

この挨拶の習慣を、家族にもたらしたのは、主人だ。


私の生まれた家では、家族同士で挨拶をする習慣がなかった。

それだけでなく、家族内では、気を使わなくていい、という暗黙の謎ルールが横行しており、「ありがとう」という言葉もついぞ、使ったことがなかった。

私自身、あまりそういう基本的な礼儀が身についてない、かわいげのない子どもだったと断言できる。

主人と結婚した当初、「挨拶は、社会生活の基本的な礼儀だ」と、言われると、「貴族かよ!」と反論するような、野蛮人に成長した。


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長女が生まれて、私は初めての育児に疲労困憊した。

落ち武者のように、よたつきながら、家事、育児をする私に、主人は、「おはよう、いってきます。ただいま、おやすみ」と、言い続けた。

疲れ切った私は、「優雅に挨拶する余裕などないわぁ!」とますます、荒ぶった。

主人は、決して円満な人格ではないのだが、私が無視しても、挨拶の習慣を欠かさなかった。

なんて、憎らしい嫁なのだろう、とつくづく感心する。

「ただいま」と言われたら、「おかえり」くらい言えばいいいではないか。

そんな余裕のない育児ばかりしていたが、今、中学生の長女と小学生の長男は、ちゃんと挨拶をする人間になっている。


これは間違いなく、主人のおかげだ。

主人に影響されて、私も挨拶を覚え、子どもたちに、声掛けをするようになった。

反抗期前というのもあるのかもしれないが、子どもたちは、親が挨拶をして、無視することはまず、ない。

おはようと言い、おはようと応える。

ただ、それだけのことが、家族の一日の始まりの合図になるのだ。

挨拶を常に省略する実家では、そんなものなのだ、と気にならなかったが、今、親になって思う。


「起きたんだね。よく眠れた?」

「元気な声だね。今日も頑張っていこうぜ。」

そんな思いを瞬間的に「おはよう」の一言に込めている。


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私の両親は、共働きで常に忙しがっていた。

子どものことにはあまり、関心を持たなかった。

私の成績が良くても悪くても、別段構わないようだった。

習い事をしたことはないし、塾も行ったことがない。

旅行に行ったことも、映画に連れて行ってもらったこともない。

風呂に一緒に入って、おしゃべりをしたこともない。

そのくせ、主人と結婚するとき、「結納金が少ない」と、嫌味を言うような人たちだった。

私は、自分の生まれた環境がイヤだった。

それなのに、かつての文化を持ち込むところだった。

子どもは、親の愛情を、敏感に感じ取る能力がある。

挨拶をする、感謝の言葉を述べる。

それは、気取りでもなんでもないことだったのだ、と、私はひざをポンと打ちたかった。

大事に思っていることを日常的に、気軽に示せる格好のチャンスなのだ。

そんなチャンスを逃すなんて、もったいない。

主人は、それを知っていたのだろうか。

いや、多分、そんな深淵な考えはない。

ただ、この御仁は自分の親にそう育てられたから、自分も疑問を持たずにそのように接しているようだ。

自分がされてうれしかったこと、それを元に接するという、シンプルで手抜き感さえ漂う流儀。

子育てに正解がないなら、模索してじたばたするより、自分の「快」と感じてきたことを子どもと共有するのは、理にかなっているのかもしれない。


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おはよう(元気な子どもたちよ、さっさと朝ごはんを食べるのだ。)

いってらっしゃい(気をつけてね、あそこの家の猫に構って遅刻するんじゃないよ。)

おかえり(ささ、早く塾に行くんだ!)

おやすみ(もーう、金曜ロードショーに夢中になってないで、さっさと寝なさい。)

たった一言の挨拶に、万感の思いを込めて、私は、挨拶をこまめにする。


ありがとう(大事なこと、あなたは教えてくれたよ。) 



(ライター:ママンレーヌ)


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※ この記事は2024年09月26日に再公開された記事です。

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