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公開 2020年05月26日  

1歳スタート、ゴールは4歳(涙)焦り続けたトイトレの夜明け

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我が家の長男がトイレトレーニングを終了したのは4月17日だ。
長男、この時4歳。
トイトレの渦中にいるには若干トウの立った長男のトイトレは、開始から約3年の歳月を経て、この日ついに終了した。


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トイトレの季節はいつ?

トイレトレーニング。

これまで幼児の後ろ姿にプリっと可愛いフォルムを形成してきたオムツを脱ぎ捨ててお兄さん、お姉さんのパンツになりましょうというムーブメントは、大体その子が1歳から3歳の間、あたたかな春を超えて初夏の風を感じる丁度今頃にやって来る。

『イヤイヤ、でも焦ってもね』

そう思って鷹揚ぶっていた、まだそれなりに若かった私も、長男1歳の春。

「ウチの子、今オムツじゃないのよ」
「頑張ったら1週間で外れたわ!」

という驚きの現実を見ると、にわかに焦りだした。

何が鷹揚だ。


そのころまだ手さぐりで、今もかもしれないけれど、第1子を育てていた私は、外に出たら最後、興味の行く先に爆走する癖に、まるで言葉を発さず、ダメもやめなさいも一切聞かない暴走特急・長男を連れて屋外に出るたび、お友達同士、たどたどしくも言葉を交わしながら仲良く遊ぶ幼児を眺めては

「あの子もあの子も皆同じ学年の筈なのに、なんでどうしてウチの子は、こうも皆が出来ている事が皆目出来ていないの」

実のところは心底焦っていた。

これで集団保育の中に入ったらどうなるのか。

我が子の至らなさの露見100%、お母さんこれまで何してたんですかアナタと先生から詰問されてしまう。

長男も周りから浮いてしまうのではないか、果てはグレて教室から遁走するとか。

若干想像力豊か過ぎの悩みを紋々と抱えていたこの時、私は焦りすぎて気づいていなかったのだ。


長男が3月も末の生まれで、そのトイトレを早々にクリアしたお友達とは、1歳近く月齢にひらきがある事を。

焦るあまり私は長男1歳の夏に向かうこの時期、トイレ自立に挑戦することを決めた。

今の私ならその時の自分にこう言ってやれるのに。

「焦るな、まだその時じゃない」

必勝法は何処にあるのか、そんなこと私が聞きたい。

トイトレ、そのセオリーみたいなものは、かの業界には星の数程ある。

まさに玉石混合、まずオムツをはずせと指南するものもあるし、「濡れた」事が感知できるトレーニングパンツから始めよいうものもあるし、時間毎にトイレに座らせてみましょうというものもある。

でもどれが正解なのは全然わからない。

多分その子の性格、その時の身体や情緒の発達、家庭の状況その他細かい要因によって、何がベストかというのは微妙に違うのだ。

と思う。

私はこの件については、どんな方法論が存在しているのかという事だけには詳しい、なぜならほぼ全部試したから。

出来ればこの世に

「アナタのお子さんにはこのトレーニングメニューがベストマッチ!」

みたいなマッチングアプリがあったらいいな思うけれどそんなもの今も昔も多分無い。

そうなるとひとつひとつつぶしていくしかないのだ。

まさにどぶ板方式現場100回。

とりあえず、初手で私は長男をトイレにちょこんと座らせて私も小狭いトイレにしゃがみ込み優しく促してみた。

「長男君、トイレだよ~オシッコ出るかな?」

何かよくわからんが、これまで自分は全然入れてもらえなかった小部屋にホイと入れられて、何やら見た目だけは可愛い補助便座に座った長男は、一瞬不可解な顔をし

『なんやこの乗り物みたいな顔して動かん何かは、つまらないぜ、もう降りるぜ俺は』

突然その補助便座の上で片膝立てて立ち上がり

便座から落ちた。

みんなは気を付けよう、アレから結構幼児は落ちる。

「アー―――――ッ!!」
「ちちちち長男君大丈夫?おでこ!おでこ見せて?血出た?」


その後、このトイレに座らせてみましょう作戦は、座らせてもウンともスンとも言わないばかりか、トイレという場所自体が長男にとって恐怖の小部屋となり、なかなか入室すらしてくれない場所となった。

初戦敗退。


そんな手痛い失敗を経て、じゃあどうだろう、一度普通に布製のお兄さんパンツにして、濡らしてしまえば濡れた衣類など気持ちが悪いものだし、それからトイレを意識してくれないものかと思って、フライング気味に沢山購入していたパンツを履かせてみた。

だがしかし、この長男、大物というか、肝が太いというか、無神経というか。

全ッ然気にしなかった。

水遊びしているの僕、みたいな顔をして足元に水たまりを作ったまま電車で遊び続ける。

そしてその水たまりに楽しく新幹線を突っ込んでいて私は泣いた。

この作戦はウチの畳に哀しい位シミを作っただけで終わる。


あらゆるトイトレ必勝、攻略法を試すもすべて惨敗。

我が家には可愛いキャラクターの補助便座、もしかしたらコレかと思って用意したおまる、啓発系絵本、ご褒美シールとポスター、それらがすべて長男に敗退した残骸として転がった。

ああ、どうして私の子育てはいつも思うようにいかないの。

たかだかトイトレ、されどトイトレ。

その難所に立ち往生して、厭世観にひたっているうちに、季節は秋から冬になり、おなかに2人目の子ども、長女がやって来た頃、私のつわりも手伝ってトイレトレはあえなく一旦中止となった。

敗北から1年、幼稚園はやって来る。

トイトレを一旦中止しているその間、周囲がどんどんオムツを卒業してすっきりとしたお尻のラインを手に入れる、数え年3歳の頃になっても、長男のオムツで膨れてプリっとしたお尻は変わらず。

私は自宅にところ狭しと紙おむつの新生児用サイズと幼児パンツタイプLが並んでいる光景をあまり見ないようにしていたが、そうも言っていられない季節がやって来ていた。

幼稚園の入園である。

入園前説明会で「入園に際してのお願い」を聞いて私はめまいがした。

「入園後は男児については、出来たら立ってオシッコができるように練習してくださいね」

私はすっかり忘れていたが、男子というものはその身体的な構造上、立って用を足すものなのだ。

いやいやそれ以前にウチの子オムツもとれていないし、来年度の春まで間に合う気配もないのですが、これは一体どうしたら、もしや入園する前に退園か。

焦った私は、説明会終了後即、その日連れて来ていた長女を抱っこ紐に、更に長男を横抱きにして副園長先生の元に走り

「うちの子、立ってオシッコどころか、未だオムツが外れる気配も無いんですがどうしたら」

恐る恐る質問という名の直訴に出たものだった。

アナタ何してたんですか、もう入園前の秋ですよと詰問されることを覚悟で。

すると先生はこともなげに

「『立ってオシッコ』はあくまで目標ですから、春までおトイレが間に合わなかったらそれはそれで連れてきちゃってください!」

そんなの平気平気!とちょっとふっくらとして優しい副園長先生は笑い、長男の頭を撫でてくれた。

が、そうはいっても一応オムツは無しでと言われている幼稚園生活、その後の努力0で先生がいいって言ったからと、おもらし上等で入園させていいものではないだろう。

一応努力はしてみた。

結論としては無理だった。


何しろ、多分早すぎたトイレトレ開始から約1年、それを放置していた長男は、なんか世の中にはトイレという場所もあるみたいですね、まあ僕はかんけいないみたいですが、みたいな態度で全然、本当に全然トイレで用を足さなかったのだ。

そして迎えた入園。

1学期の間、長男はほとんど毎日「トイレでちょっと失敗しました」というメモ書きの付いたパンツを持ち帰った。

が、当の長男は幼稚園のトイレは好きだと言う。

何しろ、大好きな先生が毎回付いてきて頑張れ頑張れと言ってくれる上、小さいこびとさんのおうちみたいなつくりで

「チョーナンクン、ガンバッテンノヨ!」

と鼻を膨らませて報告してくれて、なんだよ、その掌返しは、ヨウはアレかギャラリーが優しい先生ならいいのかよと思ったが、まあ怖い顔したママが青筋立ててさあ用を足せと脅迫してくるトイレでは、出るものも出ないのかもしれないなと思って少し肩の荷が下りた。

ママばっかり頑張っててもダメなんだよねえと。


そして年中さんのある日やっと、最後まで懸案事項だったトイレでうんちが完了した。

ある日突然

「ママ!うんち!」

と言い放ってトイレで成功させたのだ。

この日、4月17日。

それは連絡帳に取り急ぎ先生への報告として書きこまれ、私は夕方祝電ならぬお祝いの電話をいただいたものだった。

「お母さんおめでとうございます!引き続き注意はしますけど、一区切りですね!」

その時私はひとつだけ悟った。

トイトレ、育児全般そうだけれど、必要なのは共闘してくれる誰かだなと。


お陰様を持ちまして、今2歳、絶賛トイトレの季節を迎えた末っ子の次女は、3人目ですっかりやる気のない母をヨソに、尿意があるのか無いのか、毎日

「オーイ!トイレイクヨー!」

と言っては休校期間で自宅にいる兄や姉、たまに休みの父を捕まえてはトイレに行く。

そのやる気や良し、頼もしい末っ子よ。

ただ、問題は長男同様、全然ウンともスンとも何も出ていない事である。




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