新生児がミルクを吐くのはなぜ?赤ちゃんのミルク吐き戻しの原因と対処法
8,799 View新生児の赤ちゃんとの暮らしは、分からないことだらけ。ちょっとしたことでも心配になってしまいますよね。ミルクの吐き戻しも、そのひとつ。赤ちゃんがしっかりと母乳やミルクを飲めているのか、病気ではないのか、不安になることも。そこで今回は、新生児がミルクを吐き戻すのはなぜか、その原因や理由、対処法などをご紹介します。
新生児がミルクを吐く原因
月齢の低い赤ちゃん、特に新生児は、母乳やミルクを吐くことがよくあります。
口からたらっと垂れることもあれば、ゲボッと吐いてしまうこともあり、慣れないとビックリしてしまいますよね。
よく吐く赤ちゃんの場合も、順調に体重が増えていて元気なのであれば、母乳やミルクをちゃんと飲んでいるということ。
多くの場合は、特に心配はいりません。
健康なのに新生児が吐いてしまう原因は、赤ちゃんの体の特徴にあります。
赤ちゃんの胃は、大人と違って真っ直ぐな形をしており、食道と胃がつながる部分も未発達です。
そのため、大人と比べて、飲んだものが逆流しやすいのです。
また、低月齢の赤ちゃんは、母乳やミルクを飲むのもまだ上手ではありません。
母乳やミルクと一緒に空気も飲みこんでしまうので、その空気と一緒に、吐き戻してしまうことがあります。
満腹中枢も未発達のため、特に母乳の場合はたくさんあげすぎてしまう、ということもあります。
こういう場合は、成長とともに少しずつ改善していきますので、心配はいらないでしょう。
吐き戻しと嘔吐は違うの?
健康な赤ちゃんでも、母乳やミルクを吐き戻すことは珍しくないのですが、嘔吐が、赤ちゃんの病気のサインになっていることもあります。
中には、急いで医療機関に行かなければならない、緊急性の高い嘔吐もあるのです。
大丈夫な場合と、病気を疑わなければいけない場合を見分けられるよう、ふだんから赤ちゃんの様子をよく観察しましょう。
まずは、吐いたものの色をチェック。
母乳やミルクだけを吐いているのか、別のものも混ざっていないかを確認します。
黄色や緑の場合は、胆汁の色です。生後間もない新生児の赤ちゃんの場合は、先天性の腸の閉鎖や狭窄の可能性もあります。
場合によっては、速やかに手術をしないと腸が壊死してしまうような危険な疾患もあります。
急いで受診しましょう。
赤や黒の場合は、胃から出血している可能性があります。
この場合も、やはり、速やかに医師の診察を受ける必要があります。
透明な色やミルクの色であっても、場合によっては注意が必要です。
「噴水のように勢いよく吐いてしまう」「体重が増えない」「急に嘔吐の回数が増えた」などという場合は、「幽門狭窄症(ゆうもんきょうさくしょう)」という病気が潜んでいる可能性があります。
特に、体重が増えているかどうかは継続してチェックが必要なので、こまめに測っておくといいですね。
この病気は手術が必要なこともありますので、早めにお医者さんに相談するといいでしょう。
また、ミルクアレルギーなどの可能性もありますので、気になる点があれば受診してみてください。
新生児の吐き戻しの対策
吐き戻しの原因が病気ではなく、「赤ちゃんの体の特徴のため」「空気を一緒に飲んでしまったため」「あげすぎてしまったため」であれば、パパママの工夫で軽減することもできます。
ぜひ次のようなことを試してみてください。
授乳は縦抱っこ
授乳の時は横抱きではなく、縦に抱っこすることで、母乳やミルクがスムーズに胃に入るようにしましょう。
新生児や首がまだすわっていない赤ちゃんは、しっかりと支えてあげてくださいね。
しっかりげっぷをさせる
授乳後は、縦に抱っこして背中をトントン。
げっぷが出るように手助けしてあげましょう。
よく吐く子の場合は、授乳の途中でもげっぷをさせてあげてください。
寝かせ方に工夫をする
授乳後に寝かせる場合は、そのまま平らなところに寝かせるのではなく、ひと工夫しましょう。
折り畳んだタオルなどを使って、頭を高くするのが効果的です。
吐き戻しを防ぐように傾斜のついた枕なども売られているので、そうした便利グッズを使うのもいいですね。
また、胃の出口は右側にあるので、寝かせる時に右を下にしてみるのもいいでしょう。
授乳量を確認
低月齢の赤ちゃんは、まだ、満腹感というものが分かりませんので、
与えたら与えただけ、必要以上に飲んでしまうことがあります。
特に母乳がよく出るママの場合、1回の授乳量がよく分からないことも。
母乳の場合もミルクの場合も、1回の授乳量を少し減らして、授乳回数を増やしてみてもいいかもしれません。
吐き戻しはいつまで続く?
赤ちゃんならではの吐きやすい状態は、だいたい生後3ヶ月ごろまで続きます。
だんだんと体が発達し、母乳やミルクをしっかり飲んでも吐かなくなっていくので、パパやママもゆっくり見守っていきましょう。
少しずつ吐くことが減っていき、ほとんどの子は、1才くらいまでには、吐かないようになっていくでしょう。
ただし、母乳やミルクの吐き戻しに限らず、体調不良の時、咳が出る時、激しく泣いた時、単に疲れている時なども、赤ちゃんは吐きます。
そのような場合の基本的な対処法も、覚えておくと安心ですね。
■吐いたものが気道に入らないよう注意する(顔を横に向かせるなど)
■衣類や寝具を取り換えるなど清潔にし、吐いたニオイで続けて吐かないようにする
■様子を見ながら少しずつ水分をとらせる
■おかゆやうどんなど消化のよいものを食べさせる
医療機関の受診が必要な場合の見分け方
「吐き戻しと嘔吐は違うの?」でもご紹介したように、まずは、赤ちゃんの吐いたものの色や、吐き方をチェックしてみてください。
(黄色や緑→胆汁の色、緊急性が高い。赤や黒→出血の可能性あり)
また、吐いてしまった場合は、嘔吐以外の体調をチェックすることも大切です。
吐いてしまっても、少しずつ水分をとることができ、特に苦しそうということもなければ、少し様子を見ても構いません。
しかし、その他にも心配な症状があるなら、急いで受診したほうがいいこともあります。
「何回も吐く」「水分をあげても受け付けない」「熱や下痢などの症状がある」「ぐったりしている」「強い腹痛がある」などの場合は、夜間や休日であっても、急いで受診しましょう。
重い病気が原因のこともありますし、嘔吐による脱水も心配だからです。
■激しい腹痛がある場合…腹膜炎や虫垂炎
■10~30分ごとに突然泣き出す、ひどく機嫌が悪い…腸重積(ちょうじゅうせき)
■風邪やおたふくなどにかかっている、熱が高い、ぐったりしている…髄膜炎、脳炎など
■頭を打ったあと何度も吐く…頭蓋内出血(直後だけでなく打ってから24時間は注意)
■水様便、血便など…食中毒など
嘔吐の原因となるものはいろいろあります。
家庭では、すぐに原因が分からないことも多いでしょう。
だからこそ、たとえ原因が分からなくても、「いつもと違う」「様子がおかしい」と気づくことが大切です。
受診の際には、子どもの様子をしっかりと観察して、「どんな吐き方をしたか」「何回吐いたか」「何を吐いたか」「嘔吐以外に症状があるか」「その症状はどんなものか」などをお医者さんに伝えましょう。
危険なポイントを押さえたら、慌てずに対処しよう!
さまざまな原因で吐いてしまう赤ちゃん。
ただのミルクの吐き戻しではなく、時には大きな病気が隠れていることもありますので、決して油断はできません。
しかし、多くの場合は新生児の赤ちゃん特有のもので、だんだんと改善していきます。
「危険なサインを知っておく」「不安なことは医師に相談する」という2点をしっかり押さえておけば、過剰に心配することはありません。
吐いてしまう赤ちゃんに慌ててしまうこともありますが、しっかりと対処したいですね。
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