【医師監修】母乳にいい食事ってあるの?母乳育児に必要なカロリーなども解説
21,368 Viewママの血液から作られている母乳。授乳中はいつも以上にエネルギーを消費するのでお腹もよく空きます。しかし、食べ物や飲み物からの母乳への影響も気になりますよね。今回は母乳に良い食べ物や栄養素、消費するエネルギーに対して必要なカロリーはどれぐらいでしょうか。おすすめな食材や、反対に控えるべき食材などを理由とともにご紹介いたします。《監修:つづきレディスクリニック》
母乳の量や質と食事は関係があるの?
母乳の分泌量や質を良くするためにも、授乳中の食生活には気を配りたいもの。
しかし、実際には母乳の質はママがどんなものを食べたかはあまり関係なく、常に良い栄養バランスで赤ちゃんに供給されることが最近の研究でわかっています。
ある一定の食材を食べることによって母乳の出が良くなる、または母乳が詰まりやすくなるといった、明らかな因果関係が証明されているものは今までに見つかっていません。
ただし、食事の量が極端に少なくなると授乳に必要なカロリーを補うことができず、母乳の量が少なくなるといった可能性があります。
また、ママの健康状態や体調を整えるためにも、バランスの取れた食事や十分な水分摂取が必要となってきます。
あまり意識しすぎると、逆にストレスとなってしまいます。
負担にならない程度に、健康的な食生活やカロリー摂取を心がけましょう。
参考:利根中産科通信「ママの食事と母乳の関係」
参考:桶谷式母乳育児ママサポートサイトOPPA「授乳中の食事は、どういうものがおすすめですか?」
授乳時期に摂りたい栄養一覧
授乳中のママが健康的に過ごすためにも、栄養バランスの取れた食生活を心がけましょう。
主に授乳期に摂取したい栄養素や、それらが多く含まれる食材について紹介していきます。
たんぱく質
体をつくるために必要な栄養素、たんぱく質は意識して食事に取り入れましょう。
特に脂分が少なく良質なたんぱく質を摂取するためには、鶏肉、卵、豆類、魚、赤身の牛肉などの食材がおすすめです。
上手にたんぱく質を取り入れることで、貧血防止にもなります。
カルシウム
授乳中は多くのカルシウムを必要とするため、カルシウムが多く含まれた牛乳や乳製品を毎日摂取するようにしましょう。
その他にも、ナッツ、豆腐、ゴマ、緑の葉物野菜など、乳製品以外の食品からもカルシウムを摂取することは可能です。
鉄分
母乳はママの血液から作られているため、貧血をおこしやすくなります。
そのため鉄分は、母乳を作り出すために必要不可欠な栄養素でもあるので、副菜などで取り入れてみましょう。
鉄分が多く含まれるひじきやほうれん草、レバーといった食材もおすすめです。
ビタミン類
ビタミン類は、鉄分やカルシウムの吸収を促すために必要な栄養素です。
根菜類や果物に多く含まれているほか、肉、魚、貝類からしか摂れない種類のビタミンもあります。
そのため、さまざまな食材をバランスよく食事に取り入れるよう意識してみましょう。
授乳中でも摂取可能なサプリメントなどで、ビタミンを補うのもおすすめです。
葉酸
赤血球をつくるのに必要な葉酸は、授乳中の食事にぜひ取り入れて欲しい栄養素のひとつです。
その他にも葉酸には、酸素や栄養素を体中に送る役割もあります。
主にほうれん草、春菊、納豆など緑黄色野菜全般から摂取することが可能です。
参考:meijiほほえみクラブ「授乳中の食事は?」
授乳中のママに必要なカロリー量
授乳期間は、授乳をしていない時と比べてより多くのエネルギーを必要とします。
授乳時のエネルギーの消費量は、1時間以上のジョギングをした場合の消費カロリーにも匹敵するといわれています。
それだけのエネルギーを補うためには、食事量を増やしてカロリーを調整する必要があります。
1日に必要なカロリー量には個人差がありますが、授乳中は妊娠前のエネルギー必要量+450kcalを目安に摂取するようにしましょう。
ご飯などの主食を普段より多めにして、全体のカロリー量を増やしましょう。
授乳中は、1日にご飯を中盛りで4杯~5杯程度食べても問題ありません。
3食でそこまで多くのご飯を食べる事ができない場合は、間食におにぎりやふかし芋、糖分や脂肪分の少ないパンなどを選ぶと良いでしょう。
参考:kikkoman「気になる家族の食生活診断」
授乳中におすすめの食べ物、飲み物
授乳中はどういった食べ物を意識的に摂取すると良いのでしょうか。
授乳中におすすめの飲み物などと一緒に、ご紹介していきます。
白米
授乳中は多くのエネルギーを消費するため、主食を中心とした食生活を心がけましょう。
体型などを気にして炭水化物は避けてしまいがちかもしれませんが、炭水化物は母乳の主成分であり、体のエネルギー源です。
産後ゆっくり食事をとるのが難しい場合、片手で食べられるおにぎりなどを用意しておくと、手軽に白米を摂取できておすすめです。
玄米や雑穀米は栄養価が高いですが、白米に比べると消化がしにくいため注意が必要です。
レバー
母乳は血液から作られるため、鉄分が不足しがちです。
鳥のレバーには、産後のママに必要な鉄分だけでなく葉酸が多く含まれています。
生姜などと一緒に炊くことでレバーの独特な臭み対策にもなり、生姜は血の巡りを良くするため、一緒に摂取するとより効果的でしょう。
ほうれん草
ほうれん草にもまた、多くの鉄分が含まれているため、貧血予防に適した食材と言えるでしょう。
ただし、ほうれん草のアクにはシュウ酸が含まれるため、食べる際にはサッと湯通しする必要があります。
お浸しや胡麻和えなど、副菜のもう一品にぴったりな料理と言えます。
牛乳
授乳期には多くのカルシウム量が必要となるため、カルシウムを多く含む牛乳を摂取することがおすすめです。
牛乳の他にも、チーズやヨーグルトなどの乳製品や、ひじきや根菜類、緑黄色野菜など、カルシウムを多く含む食材を選ぶのも良いでしょう。
ルイボスティー
ルイボスティーにはカルシウムや、マグネシウムといったミネラルが豊富に含まれています。
また、ルイボスティーはノンカフェインのため授乳中でも安心して飲むことができます。
ホットで飲めば体が温まり血行も良くなるので、寒い時期にはおすすめです。
参考:厚生労働省「妊産婦のための食事バランスガイド」
授乳期に控えたい主な食べ物、飲み物
授乳中に避けるべき食べ物は、どんなものがあげられるのでしょうか。また、その理由とは?
授乳中に控えるべき飲み物と一緒にご紹介いたします。
脂っこいもの
ママが脂っこい食事を摂取すると、母乳の脂肪分も多くなり詰まりやすくなると言われています。
しかし、これには医学的な根拠はいまのところありません。
とはいえ、ママが健康的な食生活をおくるためにも、脂っこいものよりも脂質が少ない魚や和食中心の食事を心がけましょう。
香辛料や刺激の強い食べ物
唐辛子やスパイスといった、刺激物や香辛料も普通に食べるには特に問題ありません。
過度に摂取してしまうと、お腹を壊したり体調に影響を及ぼしたりする可能性があるので、注意しましょう。
また、香辛料などで母乳の味が変わってしまうことも懸念されます。
味の変化に敏感な赤ちゃんは、母乳を嫌がってしまう場合もあるため、様子をみながら食べるようにしましょう。
ファストフードやインスタント食品
ファストフードやインスタント食品の多くには、リンが含まれています。
リンはカルシウムの吸収を抑えてしまうので、カルシウム不足の要因となります。
授乳期のママには多くのカルシウムが必要なため、ファストフードやインスタント食品の食べすぎには注意しましょう。
カフェイン類
コーヒーや紅茶、チョコレートにも含まれているカフェイン。
少量ですが母乳から赤ちゃんに移行して、影響を与えると言われています。
コーヒーは1日2~3杯程度であれば問題はありませんが、心配であればカフェインレスのコーヒーを選ぶようにしましょう。
アルコール類
アルコールを飲むと、母乳中のアルコール濃度は最大で母体の血中アルコール濃度と同程度まで上昇するといわれています。
その母乳を飲んだ赤ちゃんにはアルコールの分解が難しく、大きな負担となりその後の発育に悪影響を及ぼす可能性があります。
原則授乳中はアルコールを控えるようにしましょう。
どうしてもアルコールが飲みたい場合は過度な摂取はせず、飲酒後アルコールが分解されると言われる2時間半以上は、授乳を控えるようにしましょう。
ノンアルコール飲料などで、代用してみるのもおすすめです。
無理なく健康的な食生活を心がけよう!
実はママの食べたものが母乳の質に関わるといった医学的な根拠はないため、ストレスにならないように好きなものを食べても問題はないと考えられます。
しかし、授乳中は多くのエネルギーを必要とするため、健康的な体づくりのためにもバランスの取れた食生活は必要と言えます。
ママと赤ちゃんが無理なく母乳育児を継続するためにも、しっかりと食事を摂ることを心がけましょう。
【監修】つづきレディスクリニック
・理事長 吉岡範人
2005年、聖マリアンナ医科大学大学院を卒業後、同大学初期臨床研修センター産婦人科に入局。
16年間の医局勤務中、約2年間にわたりカナダ・バンクーバーにあるブリティッシュコロンビア大学へ留学しがんの研究に従事。
2019年に事業を引き継ぐ形でつづきレディスクリニックの院長に就任。
つづきレディスクリニック(http://www.tsuzuki-ladys.com/)
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