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公開 2020年08月25日  

朝は戦場?いいえ我が家はディストピア。でもたまに感じるユートピア

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私も朝起きて白湯を飲んだりストレッチしたり、ゆっくりとおいしいコーヒーを淹れる生活がしたいと思いながらこの10年。
怒涛の朝をご紹介します。


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5時起床、早いのか普通なのか、私はつらい

私の朝は毎日5時から始まる。

それは平日なら「俺は絶対座って会社に行きたい」という主張を結婚以来断固として崩さない夫が朝5時に

「朝ごはん作って~」

と言って起こしに来るから。

夫は、洗濯も掃除も、それなりにできるのに料理はできないと言うか全然しない人で、一度、やってみようよと一緒に焼きそばを作ってみたら、焼きそばとは名ばかりの真っ黒でちりちりとした小山が出来て子ども達に全力拒否されて以来「俺には料理の才能が無いんだ」と言って手を出さなくなってしまった。

結構困るけれど、これにはひとつだけいい事があって、この夫は料理を選ばれし者の持つ特殊技能だと思っているので、基本的に私が作るものについて一切文句を言わない。

いつでも、何が食卓出されていても

「わあ、おいしそう、ありがと~」

と言って手を合わせてから食べる。

とはいっても、鯵と鯖の区別のつかない人ではある。

その料理に文句を言わない夫がご飯とお味噌汁と、少しばかりのお菜、切り干しの煮物とかひじきとか、そういうもので食事を済ませてお弁当を持って家を出るのが、大体朝6時10分、そこそこ早い。

でもここまではいい、出来たらあと1時間寝かせて欲しいところだけど100歩譲る。

恐ろしいのは次、我が家の小さな女王・次女。

これが平日休日盆暮れ正月問わず、大体同じ時刻にむっくりと起床する。

その時刻、大体5時30分。

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女王陛下のお目覚め

「ママ!ジジョチャンガオキタ!」

次女は、意外にも寝起きは良いが、自分で決して寝床から出て来てくれない。

毎回母親を呼びつけにして挙句

「ダッコチテー!ネコチャンモッテク~!」

抱き上げて一緒に寝ていたぬいぐるみと共にリビングに運べと命令してくる。

その風情と風格はまさに女王、そして陛下は

「テレビミル!」
「ゴハンタベル!」
「ニンジンジュースノム!」

好きなDVDをつけて食事を用意して頂戴、ゴハン、いややっぱりパン、ううん、パンじゃなくてケーキは?ないの?ふうん、じゃあゴハンにして、それとふりかけね、あ、飲み物は野菜ジュースが良いわというやり取りの後

「オナカスイチャッタ!ハヤクチテ!」

を連発、これはとても焦る。

だってヒートアップすると机に登って食事を早く出せと訴え始めるから。

超絶行儀が悪い、誰に似たのか、やめなさい、降りなさい。

そして、ふりかけゴハンにお味噌汁、それと夫のお弁当のおこぼれの卵焼きなんかを楽しく静かに食べてくれていたら楽なのだけれど、何しろ相手はまだ2歳8ヶ月児、こぼす、垂らす、汚す、挙句に野菜ジュースの入ったプラスチックのコップをテーブルの上にひっくり返し

「ママ~ナンカコボレチャッタ!」

『何もしてないのにパソコンが壊れました』という文言に似た口調で、テーブル中にオレンジ色の池を作った事を報告してくる。

こうなると私は次女に付きっきりになってしまって朝のすべての流れは一旦中断、ああ、洗濯機が止まっているのに、早く干さないと……。

そう思っていると起床する救世主・長男、その時刻、大体7時前。


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救世主、起きる

「あ!お兄ちゃん!ちょっと次女ちゃん見てて!」

長男が起きると朝の挨拶もそこそこに私はまずこう言う、待っていたわお兄ちゃんママを助けてください。

しかしこの長男、妹とは違って、大変寝起きが悪い。

何なら2度寝するためにもう一度自室の布団に退却してしまう。

その時の決め台詞が

「俺は将来、布団と結婚する……」

なので、母は今から君の将来がとても心配です。

お母さんは許しませんよそんな布団。

二度寝しないでここに座って次女ちゃんの事見てて!いるだけでいいから!と懇願してやっとベランダに洗濯物を干しに出て大体7時15分、それが終わると長男の朝ごはん、ここで問題なのはこの長男が昔から

「俺、味噌汁は生涯飲まなくてもいい」
「卵は特に食べたいと思わない」
「豆腐は味が無い」
「納豆とか許されへんやろ」

という事を言い続けているハイクラスな偏食で、これでは苦労するだろうと思う。

この前、ねえねえ、そんな和食が駄目なら修学旅行の時の朝ごはんはどうするのと聞いたら

「俺は好きな薄皮つぶあんパンを持っていくからいい」

という寂しい返事が返って来た、いいのかアンパンで。

それでここまで、夫と次女が和食を食べていても、ここで一旦、パンに切り替える事になる、正直面倒くさい。

いつもの長男の朝食は大体トースト、果物、ハムかソーセージ、でもあまり朝から食べてくれない。

何なら昼も夜もあまり食べてくれない偏食な小食。

そしてトーストを食べているお兄ちゃんを見た次女がもうすでにご飯を食べ終わっている癖に

「パン?アタチモタベル!」

と言い出す、この次女はいつもこうやって朝ごはんを2回食べる、正直面倒くさい。

そして7時30分、長女は起きる気配が無い。


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眠り姫は絶対起きない

8時の登校時間を考えると7時30分はデッドライン。

それなのに長女は毎朝全然起きてこない。

この時間は長男は朝食を終えて着替え、次女は長男に『アソボ、エホンヨンデ、ヤッパリネンドダシテ』と瞬発力高めの我儘を言う。

私はその隙に皿を洗い夕食の仕込みをして小学校組の水筒に麦茶をたっぷりと入れて、そしてもう一度沸かしてという作業をせわしなくこなしている時間で、台所を離れたくない、離れたくないからここは次女に依頼する。

「次女ちゃん!ネェネ叩き起こしてきて!」

そうやって2歳の幼児に起こされた長女がやっと起床して7時40分。

時間的には相当厳しい、ああもうゴハン食べて!お味噌汁!ホラ卵焼き!あと髪の毛!このまま結ぶから頭を動かさないで!もう!どうしていつもこんな髪がくしゃくしゃなの。

肩甲骨まである長女の髪の毛を結いながら、長女は朝食を食べ、それから洋服を持ってきて着せる、その様子はまさに姫と下女、この姫もまた寝起きが悪くてぐらぐらウトウトする。

毎日2歳児と一緒に夜9時には布団に入っているのにこれはどういう事なの。

そしてランドセルを背負わせてマスクをかけて水筒を渡して7時55分。

「早く行くぞ!」

長女は長男に急かされて集団登校の集合場所に向かう。

それを見た次女が「ジジョチャンモイク―!」と言って2人が出て行く玄関の扉の隙間に顔を突っ込まんばかりに突進し3回に1回は

「ジジョチャンモイキタカッタ!」

と言ってワンワン泣くので

「じゃあ掃除機かけたらお散歩に行こうか……」

そう約束してしまって、本当なら小学生が出た後はすっかり冷めてしまったコーヒーを温め直してひと休みしたいと思うけれど、散歩という言葉を聞いてしまった次女はもう帽子をかぶってニコニコと玄関で待ち構えているし。早々に掃除機を取り出さなければいけない。

今日もここまでの時間、着替えも洗顔も出来ていないし、朝食も食べられなかったなあと、長男の残していったパンの耳を食む、それが私の朝。

正直疲れる、もう母になって10年超、この朝の戦いに何とか敗れずにやってきたものの、そろそろ負けそう、何と言っても人間、寄る年波には勝てない。

朝は苦行だ。

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陛下、お散歩に行く

そう思っていたら、ここのところの猛暑のせいで何となく朝のお散歩に行きづらくなった。

大体いくら急いでも、次女と散歩に出られる時間には結構日が高く昇ってしまっていて、気温は30度超、熱中症が心配だ。

それでこの前の日曜日、思い立って朝6時、例によって早起きしてゴハンにしてよと騒ぐ次女に

「今、お散歩に行こうか」

そう誘ってみた、今ならまだ日差しもないし、公園を覗いてそれからコンビニに行ってみようか。

「オサンポ?イコイコ!」

次女はとてもとても喜んで、早々に自分で靴を履き、帽子を頭に乗せ、あ、それとぬいぐるみとそれからお菓子とそれから……

2歳児の外出の手荷物は無駄に多いけれどあれはどうしてなんだろう、そんなものが詰まった小さな手提げを自分で準備した。

そうして出かけた早朝の街、人は少ないし、いつも昼前には見かけないお散歩の小型犬が何匹か散歩をしていて次女のお膝をクンクンと挨拶し、次女はぴょこぴょこ跳ねて喜んだ。

それからコンビニに立ち寄ってリンゴジュースとアイスコーヒーをひとつずつ買った。

この時にはもう次女は普段とは違う楽しいイベント、と言ってもほんの近所の散歩なのだけれど、それに最高に盛り上がってしまって

「さ、次女ちゃんお会計しようか」

と言ったら

「ウワーイ!オカイケイタノシミー!」

と言ってレジのお兄さんに超笑われた。

次女はこの散歩中、大体20分程度の間、ずっと抱っこもせがまずに1人で歩いて、次はネエネもニイニも連れていこうね、パン屋さんに行きたいなと言いながらずっと上機嫌だった。

「ルーティーン」という単語には、日課とか定型的な仕事という意味合いがあるけれど、実は私はその単語をあまり肯定的な意味に捉えていなくて、習慣化された、そして単調なものという意味合いに捉えてしまっていたけれど。

早朝の散歩、これは楽しいルーティーンかもしれないねと思って 、次女の「マタイコウネ」にそうだねえそうしようねえと頷いた。

そんなわけで今朝も夫はひとを5時に叩き起こすし、次女は、6時頃から靴を履く。

長男と長女も夏休みなんだから着いて来てよ。


※ この記事は2024年11月07日に再公開された記事です。

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