息子が小学校4年生のときの話です。
当時、ゲームセンターに設置されていた人気のバトルゲームがありました。
休日になるとゲーム機の前には長蛇の列ができていました。
子どもたちのお目当ては、お金を入れると出てくる1枚のカード。
息子もカードを集めては、友達と見せ合い「〇〇くんがすごいレアカードを持っている」などと熱狂していました。
そんなある日、友達の家から帰ってきた息子が「〇〇くんとカード交換した!」と大興奮していました。
見せてもらったカードはキラキラしており、カードに詳しくない私でもレアなものとわかりました。
息子に「無理やり交換して!とお願いした?」と聞くと、「違うよ。〇〇くんが交換してって言ってきた」とのことでした。
あんまり交換しないほうがいいよということは伝えたのですが、子ども同士が納得しているなら…とそれ以上は言いませんでした。
子ども同士のトラブル発生!相手ママに感じた違和感の正体
33,418 View子ども同士での物の交換についてどう思いますか?今回は、子ども同士のカード交換で起きたトラブルから、親として考えさせられたことをご紹介します。
子供同士でカード交換をしてきた!
急な電話の内容に、戸惑い
カード交換をした数日後、交換したお友達のママから電話がかかってきました。
電話に出るなり「カード返してほしいんですけど!」と明らかに怒っている様子でした。
私は息子から聞いた話をしようとしたのですが、一方的に「無理やりカードを交換させられた」と言うばかり。
その勢いに私は息子が嘘をついたのかと不安になりました。
お友達のママの話を聞くなかで、怒っている理由がわかりました。
お友達と交換したカードは、子どもからほしいと言われ、ママがネットオークションで購入したものでした。
しかもその価格は1万円。
確かにそれほど高いカードを交換されて、怒るママの気持ちもわかります。
話しているうち
「無理やり交換を迫ったことに怒っているのではなく、価格が高いものと交換をしたから怒っている」
とそのママは言ったのです。
私はそこで「無理やり迫った」ことではなく「高いから」ということに疑問を感じました。
その電話では、もう一度息子に話をしっかり聞いてから改めて連絡することを伝えました。
このとき私は、息子を疑う気持ちと信じたい気持ちで葛藤していました。
そしてカードを返すように息子に伝えようと思いました。
交換をした本当の理由
電話がかかってきたとき、息子は夕飯を食べており何となく話の内容はわかっているようでした。
息子にカードを交換した経緯を正直に話してほしいと伝えました。
息子は「俺から交換してほしいなんて言ってない。〇〇くんが交換してほしいって言った」と話していました。
私が「信じてもいいんだよね」と言うと、息子はお友達が交換してほしいと言った本当の理由を話し出したのです。
お友達は確かにママにレアなカードを買ってほしいと言った。
でも、1万円もするなんて思っていなかった。
レアなカードを手に入れてうれしかったけど、カードを買ってもらってからというもの
「買ってあげたんだから、勉強しなさい」
と毎日言われるようになった。
勉強だけではなく、片付け・お手伝いなど、1万円のカードを理由に口うるさく言われるようになった。
だからこのカードを手放したくなった。
でも、捨てるのはママに申し訳ない。
だから交換してほしいとのことでした。
息子に感じた、成長の証
私は息子が話す様子をみて、嘘をついているようには思えませんでした。
正直に話してくれたことを褒めたあと、そのカードはお友達のママやパパが一生懸命働いて買ったカードであることを伝えました。
そして〇〇くんのことが大好きだからこそママがカードを買ったことを伝え、カードを返すように言いました。
息子は返すことに納得はしたものの、「でも、お母さんはおかしい」と言い出したのです。
「お母さんは、もし人に一度あげたら、もうそれは自分のものではない。あとで返してっていっても、それはできないよって言っていたのに」
と指摘されました。
私も息子が話す矛盾について、その通りだと思いました。
その上で「そうだね。でも今回はどうしたらいいと思う?」と聞き返すと、息子は「返すよ。もう交換はしない」と答えました。
矛盾を指摘しながらも、カードを返すことにした息子の姿に成長を感じるとともに、少し安心したことを覚えています。
お友達のママに正直に話してみた
息子の話が嘘ではないと確信した私は、お友達のママに電話をしました。
そして息子から聞いた話を正直に話すと、ママは終始黙っていました。
私は「もう一度、〇〇くんとお話してもらえませんか」と言うと、ママは「わかりました」と承知してくれました。
それから1時間後、電話がかかってきました。
「息子さんの話していたことが正しかった。申し訳なかった。そのカードは、返してもらわなくてもいい」と言われました。
しかし、私は息子と話をして返すことに決めたこと、カードを買ってあげたママの気持ちもわかることを伝えました。
また時として、親の思いと子どもの思いはすれ違いが生じてしまうことも話してみました。
お友達のママはその時も、多くは語りませんでした。
その日は、子どもから後日カードを返却するということで話を終えました。
今回の件で、どうすることが正解だったのかはわかりません。
けれど私は、子どもとの関わり方について考えさせられました。
私も「買ってあげたんだから」ということを理由にして、子どもを自分が思った通りに行動させようとしていることがあるのではないか。
自分の行動を振り返るきっかけになりました。
今回の件を通して、何かしてほしいから物を買ってあげているのではないことを改めて息子と話すことができました。
お友達のママとはその後数ヶ月は少しぎこちない感じでした。
しかし、子ども同士が仲良しということもあり、あれから6年経ったいまでは他のママも交えて数ヶ月に一度ランチにいく間柄です。
子育てには正解がなく、私もたくさんの失敗をしながら親として成長していけたらとおもいます。
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