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公開 2020年11月10日  

家族のピンチに母は戦う!きなさい、冬場の感染症諸君…!

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散々手を洗っても、家中を消毒しても、冬場に猛威をふるう感染症。
1人が感染したらそのまま家庭内ドミノが起きる憎いアイツと、ある母親の闘いの記録です。


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私が何より憎いもの

私が憎んでいるもの。

夫のカバンの中の飲み残しのお茶のペットボトル。残量あと1㎝。

長男がそっと出してくる締め切りが3日過ぎた学校のプリント。

長女の連絡帳に書かれた「図工・綿。ガーゼ・空き箱、明日まで」の無茶振り。

そして何よりも、発熱する系のウイルス性疾患全般。


特に生後間もない時期に肺炎で一時結構危ない橋を渡り、1歳直前の突発疹の高熱で救急車に乗った事もある若干体の弱い次女を育ててもうすぐ3年。

ウイルスには、これまで散々酷い目に遭わされて来た。

医者でも研究者でもないけれど、私個人が人体に有害なウイルスをこの世から駆逐したい気持ちは日曜朝の戦闘ヒーローが世界の悪を滅ぼす気持ちより強い、多分。

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それでもアイツはやって来る

だからこそ、毎年、冬が佳境を迎える大寒の時期には必ず流行してしまうインフルエンザ、あの極小の悪魔に対して私は、家族全員にワクチンを接種することを忘れず、そして手洗いうがいを子ども達に徹底させ、掃除の際にはドアノブをアルコールで拭きまくるといういささか神経質すぎる位の防衛に努めてきた。

それなのに、罹患してしまうのはどうしてなの神様。

だけど罹患したとしてもワクチンを打っているお陰で症状の軽減ができていると信じている、信じているんだけれど、そこまでやっておいたのに我が子が発熱してこれはもしやと飛び込んだ小児科で

「ハイお母さん、陽性~」

と言われた瞬間の落胆と暗澹。

そしてその後即開始される家族間感染を防ぐその苦労。

例えば、我が家では今年の1月、長男長女の通う小学校でインフルエンザが大流行し、学校からのお知らせメールで今日はあの学年で学年閉鎖、明日はこのクラスが学級閉鎖という一報が舞い込んでいた。

そんな状況下、ほどなくしてそれは起きた。

「おやついらない」

いつもなら、お菓子が大好きで、あと1つ頂戴、もう1個食べたいなと言っては夕ご飯が入らなくなる程お菓子ばかり食べたがる長女が、大好きなシュークリームをいらないと言った。

ハイ熱、ハイ風邪。

こういう時、数年子育てを経験していると否が応でも「これヤバイやつ」という予感がしてそれが的中してしまう事ってないですか、私はあります、かなり嫌だけど。

それで慌てて夕方16時から午後診が開始される近所の小児科に、長女とそれから2歳になったばかりの次女を小脇に抱えて走った15時59分。

「今さっき発熱したなら検査してもちゃんとした結果出ないかもよ」

代診だという若い先生を、心配と焦りのあまり、ええから早いこと検査せえと恫喝したのは私です。先生ごめん。

でもこういう時、親はというか私は必死だ 。

インフルエンザなら悪化すると普段はとても健康な子だって重症化して入院とかそんな事態になる事もあるし、何より、ただの風邪かもと思ってとりあえずの風邪薬を処方してもらって帰宅したその後、結局熱が下がらずやっぱりインフルエンザでしたという話になる時の徒労を考えると、勝負は一発で決めたい。

そして頂きました、インフルエンザA型。

そうなるとごめん長女ちゃん、次女ちゃんから出来るだけ離れて。

ここから、数日の自宅隔離生活が始まる。

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子どもの隔離それは無理

我が家が20LDKくらいの豪邸だったらと思う。

特に、子どもが感染症になった時。

「長女チャン!アソボ!」という2語文を話すようになったこの頃の次女は長女が大好きで朝から晩まで顔を見れば付きまとい、四六時中くっついているという状態で、同じ空間にいてある程度の距離を保つと言う事なんか絶対できない。

しかし、当時も今も大して広くもない賃貸にキチキチな状態で家族5人暮らしている我が家は、子どもを隔離しておく余分な部屋が無い。

それで長女には申し訳ないのだけれど、その頃あまりにも手入れが悪くて「布団部屋」と呼ばれていた物置みたいな小さな洋間をほんのり片付けてそこに居てもらう事にした。

「次女ちゃんにうつしたら大変な事になるからごめんね」

とても寂しがりやな性格の長女を、可哀相だなあと思ったのをよく覚えている。

それでも当の長女は

「いいの、次女ちゃんにうつしたら可哀相だから」

と言って本当に健気で、私は長女と次女がもう少し大きくなってから、姉妹で喧嘩をするような事があれば、次女にこの日のお姉ちゃんの愛を語って旗色を悪くしてやろうと思っている。

それなのに次女は、長女のインフルエンザが確定したその翌日、金曜日なのに長女ちゃんが学校に行っていない気配を敏感に嗅ぎつけて家中を、と言っても狭い家なので、リビング、キッチン、和室、トイレ、お風呂…その程度の範囲ではあるけれど各居室のドアというドアを開けまくり

「長女チャーン!」

姉を探しに探し、いつもなら開け放ってある荒れ放題の小部屋のドアが怪しく締まっているのを見つけると、そのドアをバンバン叩き、いるんだろ!出てこい!と、そんな事は言わないけど、中の長女を呼び続けた。

安静とは。

そして、いくら個室に隔離といえども、トイレとか、食事とか、「気持ち悪いよう」と言われれば洗面器を持って私が現場に駆け込んだりもする訳で、その隙に次女も大好きな長女の枕元に滑り込んでニコニコと長女の顔を至近距離で覗き込んだりしいて、幼児のいる家で病人の完全隔離は本気で難しいと痛感した。

そして次女はその翌日高熱を出す、夕方に38.5 ℃。

ハイ家庭内感染。

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常在戦場の心得

折悪しく、次女の発熱を感知した曜日と時刻は土曜日の夕方だった。

一般に土曜の午後診をやっている一般医院というものはとても珍しい、というかウチの近所にそんなものは存在しない。

その場合どうしたらいいのか。

これは自治体によって対応が分かれるけれど、地域の休日診療施設かもしくは、その地域で指定されている救急外来の指定病院などに子どもを抱えて駆け込む事になる。

そしてこれは該当する施設を事前に調べておかないと結構焦る。

事実、この更に数年前に長男が日曜日に目を赤く腫らして痛いと言い出した時、どこにかかれば良いのか分からず、とりあえず近所の大きな病院に電話で問い合わせて

「そういうのやってません」

と言われ、目が痛いと泣く長男を抱えて途方に暮れた事がある。

もしもの時の備えは普段から。


この時の次女は救急外来に受け入れをしてくれたのでそこは助かったのだけれど、 救急が受け入れを了承すると次に「すぐ来い、即来い」という意味で

「じゃあお母さん、何分後に来られますか?」

と聞かれる、これは超焦る。

だから病院までの道のりとか交通手段とかそういう事は、大混乱の中でも頭に大体の事を思い描いておかなくてはいけない。

親としての判断力とか瞬発力が問われる瞬間だと思う。

育児の心得その1『常在戦場』。


そうやって我が子を抱えて全速力で救急外来に滑り込み、問診票を書いて、同じく救急に駆け込んでくる「なんか大変そう」な人々を待合室で眺めながら待つこと数十分。

ぐったりした次女を抱えて運んだ診察室で、当直の若い先生に

「あー…家族に罹患者がいて急な高熱ならまずインフルかなあ。検査は今からするけど、とりあえず薬は出すから」

まだ年端のいかない幼児である上、少し基礎疾患のある次女はこの手の高熱の出る感染症に罹患すると本気で危ない場合があるのだけれど「まあ様子見で」と言われて薬を持って帰宅できた時のあの安堵。

家に帰ると、残された家族というか夫と長男の男2人が玄関と廊下の間をウロウロしていた。

次女は無事か?と言って。

発熱から2日で大体解熱した長女まで一緒になって次女の帰りを布団から這い出して待っていて、本当なら叱った方がいいこの案件も、どうも自分がうつしてしまったという責任を感じてしまっていたらしい長女を叱る事はちょっと出来なかった。

次女はこの日、夜通し熱が下がらず、夜、寝苦しいと泣き、喉が渇いたと言っては癇癪を起して、私は眠れなかった。

それでも翌日の午後には熱も下がり

「私、昨日はどうしていたのかしら」

ケロリとしていた。

そしてお母さんはやつれた。

今年も感染症、特にインフルエンザの季節がやって来る。

手を洗え、うがいをしろ、予防接種を嫌がるな、それでも罹患してしまったら頼むからその時だけ限定できょうだいは距離を保て。

たのむよ子ども達。



※ この記事は2024年12月02日に再公開された記事です。

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